2017-06-04 (Sun)✎
日本の滝を訪ねて 第149回 日光・裏見ノ滝 〔栃木県〕
日光の街からほど近い所に
こんな幽谷然とした名瀑があった
日光・裏見ノ滝 にっこう・うらみのたき 落差 20m 栃木県・日光市
一般的なアプローチと行程表
国道120号線・裏見ノ滝入口バス停より県道を北西約2kmで滝前駐車場に着く。
駐車場より、遊歩道を徒歩10分で滝前展望所に出る。
※ なお、今回の行程は女峰山の登山との対であり
一般的に滝見に今回のルートを行く者は皆無と思われる
行程記録 ※ 女峰山頂から避難小屋までかかり過ぎ←筆者の下りは異常に遅いしィ
《1日目》 JR日光駅よりバス(0:25)→霧降高原(0:45)→小丸山展望所(1:15)→赤薙山
《1日目》 JR日光駅よりバス(0:25)→霧降高原(0:45)→小丸山展望所(1:15)→赤薙山
(0:50)→奥社跡(0:50)→一里ヶ曽根(1:30)→女峰山(0:45)→唐沢避難小屋
※ 女峰山の冷水と呼ばれる水場へは唐沢避難小屋より往復35分
《2日目》 唐沢避難小屋(0:15)→女峰山の冷水(1:20)→馬立(1:20)→モッコ平
※ 女峰山の冷水と呼ばれる水場へは唐沢避難小屋より往復35分
《2日目》 唐沢避難小屋(0:15)→女峰山の冷水(1:20)→馬立(1:20)→モッコ平
(1:20)→裏見ノ滝(0:35)→裏見ノ滝入口バス停よりバス(0:15)→東武日光駅
※ 前回の記事『日本百景 夏 第291回 女峰山』からの続き
前回も記したけど思ったより窮屈
それにトイレ無の唐沢避難小屋
《2日目》 馬立から裏見ノ滝へ下山
朝・・、確信的に朝日にまでに起きれなかった。 まぁ、昨日の頂上からの下りで、25分の下りコースタイムを40分もかかった時点で「恐らく寝坊するだろうなぁ」と思っていたが、それがあっさりとその通りになるとは、もう取り返しが着かぬ程に『ヘタレ』が進行しているようである。
朝・・、確信的に朝日にまでに起きれなかった。 まぁ、昨日の頂上からの下りで、25分の下りコースタイムを40分もかかった時点で「恐らく寝坊するだろうなぁ」と思っていたが、それがあっさりとその通りになるとは、もう取り返しが着かぬ程に『ヘタレ』が進行しているようである。
・・で、もうとっくに夜が明けて明るくなった5時過ぎにモソモソと起き上がる。 でも、あの頂上への登りは他の登山者の多くも敬遠したみたいで、3時位から出張って頂上に行ったのはほんの数人だけであった。
『頂上で御来光』はパスして
小屋前で朝景のみ
↑
ヘタレ満開
宿泊した唐沢避難小屋の前は、男体山が良く見えるものの展望的には平凡で、頂上での朝日をパスったらする事は何もない。 そして小屋の中は割と混んでいて、朝日をパスした宿泊者が一斉に朝飯の支度をするので、朝飯を取るのは思ったより時間がかかる。 中には朝っぱらから鍋を取り出す御仁(このヒト・・少し空気が読めなさそう)もいて、テーブルは満杯となるからだ。 こういう何だカンだ・・で、朝飯を食って出発の支度が整ったのが7時過ぎとなってしまった。
さて、下山後に日光の滝めぐりをすべく《裏見ノ滝ルート》を下山ルートに取る事にしたが、追随者が一人もいない。 40人はいた宿泊者の皆・・というかワテを除く全員が尾根筋を下る《二荒山神社ルート》を取るみたいだ。
良く見えるいい天気だ
「何で? 二大下山ルートでないの?」と不可思議に思ったが、他に下山者がいようがいまいがどうでもいい事なので気にせず下山を始める。 でも、他に下山者がいないのは、このルートを通った筆者が遭遇する『オチャメ』によって明らかにされるのであるが。
まずは、昨日水場に行く時に通った痩せ尾根の通過がある。 水筒片手の完全空身でも通過が厄介な痩せ尾根は、16kgが背中に乗るとかなりおっかない。 元々バランスのない身の上(片足立ちは30秒持たないしィ、片足屈伸出来ないしィ←この身体能力でよく山に登れるよな)だから尚更である。
もう、形振り構わず『四つん這い』になって通過する。 この状況で感じた事は、「他にこのルートを下る下山者がいなくて、本当に良かった」という卑屈な安堵である。 他の登山者に『四つん這い』を目撃されるのは、さすがに忍びないしィ。 この痩せ尾根を越えると、水場へのつづら折りの下りとなる。
昨日も述べたが、これを片道10分で行ける奴は『カモシカの足』である。 空身でも下り15分、上りは15分以上かかるよ、絶対に。
この『女峰の冷水』より先は、初めて通るルートだ。 ルートは『女峰の冷水』の沢の流れの際を伝っていくが、結構滑りやすい。 まぁ、こんなのは『オチャメ』でも何でもないので、難なく通過する。
沢の流れの際を伝っていくと、大きなガレ沢に出る。 大きな沢筋の割には水量は乏しく、恐らく大半の流水は伏流水としてガレの下を流れているのだろう。
この流水がやがて滝となる
このガレ沢を濡れる事なく渡って対岸に取り付き、沢の右岸に着けられた登山道を下っていく。
ここからは整備された登山道で傾斜も緩やかで、当初『予告』で述べた『オチャメ』とはかけ離れていってるようである。 その内に軽装の日帰り登山者と多数すれ違い、ますます『オチャメ』は有り得ない雰囲気となっている。
1ヶ月遅れで山にもやってきた
:
何て事のない樹々の新緑に
目を奪われ立ち止まる事も
しばしばのこの季節が
「こんな初心者ルートで何故に下山者が一人もいないんだろう?」と不可思議に思いながら下っていく。 途中で新緑に彩られた山肌などを撮りながらゆくと、並行していた流れのほとんどないガレ沢の縁の土手上に下り着く。
快晴が広がっていた
写真を撮りながらダラダラ下っていたので疲れは無かったのだが、取り敢えず1時間半歩いたのでひと息着く事にする。 ひと息着いた後はこのガレ沢を渡って対岸に取り付いて、日光の街の方向へ向かうつもりだった。
山風景はお終い
ひと息を入れ終えて出発しようとした矢先、登山者の団体がガレ沢からではなく右手からゾロゾロとやってきた。 そして、私のひと息着いた所で90°向きを変えて私が下ってきた道を登り出したのである。
これを見て、何となく理解できた。 「このルートは登り専用ルートなのだ」と。
でも、一服場所から数歩歩くと道標があり、この『理解』が半分誤りだと気付いたのである。
でも、一服場所から数歩歩くと道標があり、この『理解』が半分誤りだと気付いたのである。
その道標には、団体登山者がやってきた土手上の直進方向と土手下のガレ沢の2方向を指し示していたが、土手上方向を指す指標には『→志津林道』と記され、『真新しく、判り易く、ハッキリ』と記されていた。 だが、土手下のガレ沢方向を指し示す指標は補修もなく朽ちかけていた。
先は道標リボンが花盛りで
補修もなく朽ち果てた道標の指し示す側は
シャクナゲがチラホラ咲いていた
そして、土手上に延びる『志津林道』方向には道標リボンが花咲き、林立する木々に木名が掲げられるなど、思いっきり『一般登山道』してたのである。 一方、ガレ沢を渡る方向は河原の岩に消えかけたペイントがあっただけで、渡った後の対岸には『裏見ノ滝 3:30』の道標が。 この3:30に『ゲッ』と思って、地図を取り出す。
地図には先程の分岐は《馬立》と記されていて、この《馬立》から志津林道方向は所要1時間ちょっとで志津林道の車止め(舗装終点)に出れるようである。 それに比べてこちらの方は、距離にして7kmで完璧に3:30はかかりそうだ。 比べりゃぁ「そりゃぁ、このルートは通らんわなぁ」、「志津林道は車だから、日帰りがほぼ全てだろうな」と、初めて『下山者がいない理由』を正しく理解できた。
でも、志津林道に出た所で足もないし、携帯が『柔らかい銀行』なので電波も届かずタクシーも呼べないし(タクシー乗る金も持ってなかったしィ)で、予定通りこの誰も通らない長い下山路を下っていく事にする。
だが、このルートは『人が寄りつかない』という現実の通り、かなり胡散臭いルートだったのである。
ルートはすぐにクマザサの密生によって隠され、数分も歩くと踏跡が途切れて踏跡を探さねばならなくなるのである。
ルートはすぐにクマザサの密生によって隠され、数分も歩くと踏跡が途切れて踏跡を探さねばならなくなるのである。
ルートを探しに四苦八苦しながら進むと、あっという間に1時間は過ぎてしまう。 土手上を通って志津林道終点に向かったなら、今頃は舗装道を踏んでいる事だろう。 でも、コチラは《モッコ平》という草原地帯で、周囲の景色は美しくも終わりの見えない果てしない草原で、足元はこれからスクスクと伸びようとするクマザサが足に絡んで道を隠しているのである。
救いは、この山域での道標である『オリエンテーリングの指標のような木片』が木々に打ち付けられている事である。 ここは下手にクマザサの中の踏跡を探って徒労するより、この指標を見つけてクマザサの中を突貫する方が確実なのである。
しかし、突貫すると足元を無視するので、とっても無防備となるのだ。 泥濘に足を突っ込んだり、木の根に引っ掛かったり・・は序の口で、1回であるか『踏んではならないモノ』を踏んでしまったのである。 それはウンコじゃないよ。 糞ではないけど、糞以上に感触というか後味の悪いモノであった。
しかし、突貫すると足元を無視するので、とっても無防備となるのだ。 泥濘に足を突っ込んだり、木の根に引っ掛かったり・・は序の口で、1回であるか『踏んではならないモノ』を踏んでしまったのである。 それはウンコじゃないよ。 糞ではないけど、糞以上に感触というか後味の悪いモノであった。
それは白骨であったのだ。 しかも一部肉付と思しき・・のである。 その通り、ココは結構白骨が転がっているのである。 人が通らないから、野生動物のテリトリーと成りつつあるのだろう。
まぁ、クマはいなかったが、シカは前後を駆け巡っていたしィ。 このように、このルートは『廃道』に向かって一直線に進行しているようである。
まぁ、助かったのは今がクマザサの繁殖している夏でなかった事だろう。 もし、クマザサが背丈まで伸びていたなら、確実にクマザサの中に沈んで道をロストして彷徨っていた事だろう。 まぁ、彷徨ったままボツって人間の骨として転がるって事はないだろうけどね。 これが今回の『オチャメ』である。
まぁ、助かったのは今がクマザサの繁殖している夏でなかった事だろう。 もし、クマザサが背丈まで伸びていたなら、確実にクマザサの中に沈んで道をロストして彷徨っていた事だろう。 まぁ、彷徨ったままボツって人間の骨として転がるって事はないだろうけどね。 これが今回の『オチャメ』である。
さしも広い《モッコ平》も終わりに近づくと、草原地帯を抜け出て道がハッキリとしてくる。
道がハッキリし出すと、程なく道標がポツンと立つ分岐に出る。 分岐に立つ道標を見ると、直進する『道らしい道』の方向が《寂光滝》のルートで、またもやササヤブが密生して倒木の転がる不明瞭な踏跡の方向が《裏見ノ滝》へのルートである。
だが地図を見ると《寂光滝》方向が踏跡程度の灰色破線の表記であり、《裏見ノ滝》が正規のルートとある。 まぁ、地図は1998年度版なのだが。←この辺りに筆者の『クオリティ』が醸し出されているね
この踏跡程度のルートを、木に張り付けられた『オリエンテーリング指標』を頼りに進んでいくと林道に出る。 でも、日光からの逆方向だと、林道からのこの《モッコ平》ルートの取り付きは絶対に解らんぞ。
その後は車も通らず荒れ果てた林道(大木が転がっていて枝が進路を塞ぐように横たわり、その通過に2~3分かかるモノもあった)と、ササ原の踏跡を交えながら進んでいく。 歩いていく内にまた思い違いが判明したよ。 先程に、「逆方向からだと取り付きは解らないぞ!」と記したが訂正しよう。
「日光へ向かう下りでも、林道に出てからの登山路への進入口が解らん」と。
探しながら彷徨って
そんな状況に、「この道、普通の登山者が通ったら遭難もあるぞ」とブツブツ念じながら歩いていく。
事実、何度も林道からの進入路に迷い、林道を逆方向に進んで行き止まりとなって気付いた事もあった位だから。 道に迷うと、荷がどっと重くなり、疲れがどっと増していく。 道を間違えて元の位置に戻らねばならない事となったら尚更だ。
・・で、結構疲れとなかなか着かない焦りを感じ始めた頃、ようやく出合う林道は舗装道となり「裏見ノ滝近き」を思わせる。 でも、またもや道標が、登山道と思しき踏跡を指し示している。
まぁ、ここまで下るとクマザサも無くなり、踏跡も明瞭となってくるが。 この割と明瞭な踏跡でさえも、倒木があって道を塞いでいた。 どうやら、通る人がいないので『放置プレイ』のようだ。
この調子では、恐らく数年後には『廃道』だね。
この明瞭な踏跡を辿っていくと、程なく滝大明神を奉る横断幕がマラソン大会の『ゴール』のように掲げられている登山口をくぐる。 この横断幕が『自然のフィルード』と人間の巣喰う『俗界』の境のようで、この横断幕の外は舗装されたロータリーに滝見観光客の車が何十台と駐車していて、タクシーも客待ちをして、水洗の障害者ウォシュレットトイレ付の公衆便所がある『観光地』となっていた。
この明瞭な踏跡を辿っていくと、程なく滝大明神を奉る横断幕がマラソン大会の『ゴール』のように掲げられている登山口をくぐる。 この横断幕が『自然のフィルード』と人間の巣喰う『俗界』の境のようで、この横断幕の外は舗装されたロータリーに滝見観光客の車が何十台と駐車していて、タクシーも客待ちをして、水洗の障害者ウォシュレットトイレ付の公衆便所がある『観光地』となっていた。
後はこのロータリーから、デカデカと『裏見ノ滝 0.5km 10分』と掲げられてよもや間違う事もない渓谷探勝路を伝って《裏見ノ滝》へ。
湧水瀑となっていた
滝に着くと微妙に日差しが差したり陰ったり・・で、滝を輝かすべくの日差し待ちで1時間近く粘ってから、帰路に着くべく《裏見ノ滝》から続く2kmの舗装道を歩いてゆく。
飛沫が輝いて
日が差すのを1時間も待ったよ
疲れた足での舗装道歩きは足裏が熱くなってキツい。 『オチャメ』なルートを歩いてヘトヘトになって、12時前に《裏見ノ滝入口》バス停に着く。 バスは20分に1本あるようなので、日光駅までの足は心配ないだろう。
※ 元ネタはメインサイトの旅行記、『名峰次選 関東制圧作戦!?』です。 宜しければどうぞ。
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No title * by リカさん
これはTVで見ました。いい滝ですね。私は日光の中では雲竜滝が一番好きです。
No title * by 風来梨
リカさん、こんばんは。
日光には多くの滝が潜んでますね。 でも、なかなか周れませんね。
私が日光の滝でめぐったのは、華厳・霧降・龍頭ノ滝・湯滝とこの滝のみです。 その中では、この滝の支瀑に日の光が当たったシーンが一番良かったですね。
雲竜滝は氷瀑の滝ですね。 行ってみたいなぁ。
日光には多くの滝が潜んでますね。 でも、なかなか周れませんね。
私が日光の滝でめぐったのは、華厳・霧降・龍頭ノ滝・湯滝とこの滝のみです。 その中では、この滝の支瀑に日の光が当たったシーンが一番良かったですね。
雲竜滝は氷瀑の滝ですね。 行ってみたいなぁ。
No title * by hassy
とても良い滝ですね。
私も訪れた事があります。
なかなかの水量で直瀑ですね。
奥日光では隠れ三滝が有りますこちらもなかなか良い滝でそれぞれ個性がありますよ。
裏見の滝トラバさせて下さい。
私も訪れた事があります。
なかなかの水量で直瀑ですね。
奥日光では隠れ三滝が有りますこちらもなかなか良い滝でそれぞれ個性がありますよ。
裏見の滝トラバさせて下さい。
No title * by 風来梨
hassyさん、こんばんは。
TBして頂き、有難うございます。
早速、見させて頂きました。
マックラ滝の柱状摂理がそそりますね。
この周辺の山をめぐる機会があった時に、滝めぐりも取り入れようかと。
その際は、もちろんマックラ滝と寂光滝は入れたいですね。
TBして頂き、有難うございます。
早速、見させて頂きました。
マックラ滝の柱状摂理がそそりますね。
この周辺の山をめぐる機会があった時に、滝めぐりも取り入れようかと。
その際は、もちろんマックラ滝と寂光滝は入れたいですね。