2017-05-28 (Sun)✎
よも”ヤマ”話 第24話 アポイ岳 〔北海道〕 ’91・ 7
アポイ岳 811m〔名峰次選 7峰目〕
雨で視界は皆無だったけど
こんな立派な山だったのね
※ ウィキペディア画像を拝借
前回の「よも”ヤマ”話」でも述べた通り、これよりのワテは「10ヶ月働いては2ヶ月放浪する」といったフザケた生活を送る事になる。 もちろん「10ヶ月働いて」というのはフリーターである。
ヒオウギアヤメ
山に行って花を撮る為に
会社をヤメますた
『フリーター』の代表例は非正規雇用という『格差』の象徴とされる工場への派遣就労であるが、ワテに関しては好きでこのスタイルを選んだのだし、これより勤勉に務める多くの人ができない事を体験したのだから、別に格差なんて思った事はない。 当然、好きに生きたリスクとして、職業としての地位や生活収入というリスクを負う事を受け入れなければならないのだ。
アポイ岳は高山植物を撮影した
初めての山だった
でも、1度しかない人生で勤勉な『アリ』として安全パイな人生を送るのか、『キリギリス』として自分のしたい事をして生きるのか・・の選択で、ワテは『キリギリス』の生き方を選んだのである。
このリンク先にも記した事だが、物語の『キリギリス』のように自分の選択した事に対して後悔の涙を流すって事は絶対にないって事ではあるが。
ヒダカスミレ
希少種のコレを撮る為に犠牲にしたのが
「安定した地位と収入」だった
ここで誤解されてはいけないから記すけど、ワテは勤勉な『アリ』の生き方を否定している訳ではないよ。 『アリ』の生き方は模範とするべきだと思うし、迷ったなら間違いなく『アリ』の生き方を選ぶべきだとも思う。 その為に、日頃から勤勉に過ごす事を継続する意志の強さも立派だと思う。
でも、ワテには『アリ』の生き方が合わなかったのだ。 そして『アリ』に、ワテ自身が選んだ『キリギリス』の生き方を非難される云われもないのである。 また、パヨクのようにリスクを受け入れずに『格差是正』という『権利』ばかり主張するのも間違ってると思う。
好きで選んだこの道
この道を選んだ事のリスクは覚悟の上だし
ありきたりの奴から批判される事も許せなかった
話は脱線したが、このように満を持して出たこの時の北海道旅行は、今までのような鉄道を追い求めるモノではなく、旅行の日程のほとんどが山や滝めぐりに費やされたのである。 その放浪の旅を毎年繰り返す事によって、自身でも奇跡としか捉えようのない『奇跡の体力』が発動したのである。
その最初の第一歩が、このアポイ山であった。 このアポイ岳は標高が1000mに満たない山ではあるが、高山植物が咲き競う『花の名峰』でもある。 そして登山の難度も、「ここでヘバるようだと登山自体を諦めなさい」という位の超初心者ルートである。 まぁ、これより山へ行くワテにとっては”お始め”として妥当だし、また「花撮影の初心者」としても、このアポイ岳はうってつけだったのである。
黄色の花のお花畑
まぁ、登山自体は数年前は現役の『ワンゲロ』だった事もあって何事もなく登れたが、この日は雨でこの雨にまつわる事がこの登山の思い出となる。 初心者レベルの山への日帰りとはいえ、登山のセオリーは早朝登山開始なので、朝6時頃からこの山に登るべく前夜は登山口である冬島の近くである西様似の駅前に車を止めて寝る。
この当時の「放浪の友」はマツダのファミリァで、この旅で大いに故障してくれて旅の思い出をより濃いモノにしてくれた思い出深い車だ。 この車の事については、この「よも”ヤマ”話」で語る北海道の山旅に絡んでくるのでおいおい語っていこうと思う。
この時乗ってたのが
『マツダ323』と呼ばれたファミリアXG
かなり格好良かった
※ グーグル画像を拝借
このファミリァにはルーフが付いていて、暑いからとルーフを開けたまま車寝をしていると、深夜にポツ雨が降って起きたらずぶ濡れだったのは藪の中に。 でも、雨を浴びても爆睡できるなんて、若さたる所以か・・。
パン一になって着替えねばならぬ程にずぶ濡れとなったのだが、当時駅舎のあった西様似は始発に乗る乗客が来るかもしれないし、次の有人駅の様似駅では着替え自体が躊躇われたので、ずぶ濡れのまま登山口の冬島に向かう。
冬島に着くと、誰も人が立ち寄りそうになく、「パン一」になって着替えが適う場所があった。
それは登山口にある廃業したレストハウスの建物だった。 この頃はちょうどバブル経済が崩壊して、こういった観光地のサービス産業が軒並み潰れていて、この冬島のレストハウスもこのバブル経済の煽りを受けて潰れたのだろう。 建物にはエントラスとの間に塀があって、人目に触れる事無く「パン一」となって濡れた服を着替える。
塗れた服から着替えて合羽を着てアポイ岳登山を始めるが、ゴアテックスの合羽っていう程に通気性がないんだよね・・っていうか、登山でかく汗の量+雨水から蒸れを防いで快適性を保つなんて有り得ないのである。 もう、すぐに着替えたのが無駄になる程に中の下着がずぶ濡れになる。
アポイ岳・五合目避難小屋
登り始めて1時間足らずで『5合目』かよ
※ グーグル画像を拝借
避難小屋の内部
※ アポイ岳のウェブサイトより
この時使用していたカメラは、今は極々当たり前のデュアルオートを搭載して「スーパーシューター」と呼ばれていた『キャノンA-1』だったのであるが、その実態は電子制御に欠陥を持つ『出来損ない』カメラだったのである。
Canon A-1
『デュアルオート』という斬新な機構が
受けてバカ売れだったけど
実態は電子制御が欠陥の
”使えない”カメラだった
この『キャノンA-1』は当時は他のカメラにはない『シャッタースピード優先オート』を備え、『撮り鉄』の大御所で「ドアップの廣田」として有名な廣田尚敬氏を監修に迎えて鉄道写真コンクールを開くなど、「鉄道写真を撮る為のオフィシャルカメラ」として、撮り鉄達の憧れとなっていたカメラだ。
だが、電子制御に弱かったキャノンが人気を集める『デュアルオート』搭載のカメラを売り出すに当たって、電子制御のノウハウのないままに全電子制御方式を採用した為に、カメラ自体が破綻したのである。
ワテの中古のA-1の場合、このアポイ岳での雨に当たって電池スイッチのオートオフ機能が沈黙したのである。 この事により常にスイッチが『オン』状態となり、1本で1000円近くするカメラの電池が頂上に着くまでの2時間足らず・・、36枚撮りフイルム1本持たずに切れてしまう事態となったのである。
そして、電池の切れた全電子制御の『キャノンA-1』は、電池が切れるとシャッターも切れないタダのガラクタと成り下がるのである。
イワイソツツジ
高山植物を撮るようになってから
必死になって花の名を覚えたよ
お陰で、症状の現れた頂上直下で『キャノンA-1』はタダのガラクタとなり、頂上標を撮ってアリバイを示す事も不能となっちまったよ。
アポイ岳での『アリバイ写真』
撮れなかったので
ウィキペディア画像を拝借しまっす
沈黙したカメラから電池を取り出して、「無駄な足掻き」で消耗した電池を手で握って暖めていると、電圧が少し戻ったのか2枚だけシャッターを切る事が敵ったよ。 でも、2枚の内の1枚は露出グチャグチャだったけど。
コレが電池を手で温めて
やっとシャッターが切れた2枚の内の1枚
だが、こうやって足掻いたお陰で、このカメラの使用法として「撮影する時にだけ電池を入れて、撮影が済めば電池を抜き取る」という基本動作が確定したよ。
また、こういったカメラ用の特殊電池は札幌とか千歳・苫小牧などの町のカメラ店にしか売っていない事も知ったので、次の山に移動する際に札幌の写真量販店に立ち寄って、電池を3~4本まとめ買いする事が必要となったのである。 でも、放浪のプーには「痛過ぎる電池代」である。
対処法は食費のカットとなったよ。
電池代は痛いけど
これで旅を断念したら
ワテの自我が崩壊するよ
ちなみに、こういったカメラの電子制御トラブルは『キャノンカメラ』を使うに当たっての宿命である事も、この後のF-1の「2台で合計9回の病院送り」という度重なる故障に見舞われた事で思い知らされたのである。 まぁ、一番丈夫だったのは、『撮り鉄』で使っていた一番安い『AE-1+Program』だったね。 電子制御が重くなかったから持ったのかな。
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No title * by 風来梨
tomさん、こんばんは。
様似駅からアポイ岳が見えていたとは知りませんでした。 鉄道で訪れた時は意識もしてなかったですね。
このよも“ヤマ”話では、おいおい日高の主脈が出てきますが、時系列なのでいつになることやら・・
様似駅からアポイ岳が見えていたとは知りませんでした。 鉄道で訪れた時は意識もしてなかったですね。
このよも“ヤマ”話では、おいおい日高の主脈が出てきますが、時系列なのでいつになることやら・・
初心者向けの山でもアポイ岳はちょっと気になる山ですね。訪れてみたいです。
https://blogs.yahoo.co.jp/toribasutom6425/13403434.html
様似駅からも見えていたことには最近気づきました。