風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

TOP >  よも”ヤマ”話 >  ~’91・6 山旅放浪以前 >  よも”ヤマ”話  第22話  伯耆大山

よも”ヤマ”話  第22話  伯耆大山

よも”ヤマ”話  第22話  伯耆大山 〔鳥取県〕 ’91・ 5
伯耆大山 1729m (登頂可能なのは弥山の1711m) 【名峰百選 2峰目】


中国地方随一の雄峰・大山

   大   山 だいせん (大山隠岐国立公園)
中国地方の盟主・大山 1729メートル はコニーデ型とトロイデ型の二重式火山で、望む所によってそれぞれに違う印象を与えてくれる。 

・・日本海側から望むと、裾を大きく広げたコニーデ型の優しい山容を魅せてくれる。 
一方、内陸側からは、豊富な積雪がもたらす雪食により鋭く尖ったアルペン風景を魅せている。 
また、登山的な魅力も多く、独立主峰としての頂上からの眺めは中国地方随一であろう。 

そして、もう一つの楽しみである“高原ドライブ”も『大山環状道路』が充実しており、《鍵掛峠》からの展望など魅力いっぱいである。




大山・夏道登山コース 行程図

    行程表             駐車場・トイレ・山小屋情報
米子市街より車(0:40)→大山寺(0:50)→元谷小屋(1:45)→大山・弥山
 ※ 最高峰の剣ヶ峰は崩壊が激しく現在は通行禁止
大山・弥山(1:30)→阿弥陀堂(0:15)→大山寺より車(0:25)→鍵掛峠
(0:25)→大山滝入口・大山滝へは徒歩15分(1:00)→倉吉市街



大山の最高峰・剣ヶ峰を望む

「今回は、中国地方の雄峰・大山に登山して中国地方随一の絶景を眺め、また周囲の景勝地も同時に味わおう・・という、ちょっと贅沢なプランを組んでみた」と、我がHPの『日本百景』では”もっともらしく”記してあるが、これに登ったのは前回の《奥匹見峡》からの続きという『放浪旅の演習の旅』で・・だったんですね。

だから、総旅時間115時間の内、95時間が車中にいた・・という、とんでもない設定の旅での事だったのですね。 それは、この旅での行動時間全体である20時間の約1/3の6時間半を連続的に車外に出ていたこの旅での『最大イベント』だったのですね。 まぁ、ヨタ話は置いといて大山に登るが、登山自体は無雪期の超初心者ルートと言う事もあって、ヘタレまくってはいるけど”山の経験者”のワテであるので、登山自体は何事もなく終わったのである。


ナイフリッジの手前で・・
この先は”馬乗り必至”で
写真どころでなかったよ

でも、「進入禁止の剣ヶ峰まで行こう」と侵入防止の柵をかいくぐって、ナイフリッジを跨ぐ恐怖を初体験して怖くて途中で引き返す・・という、これより多々ある『オチャメ』な行動はキッチリかましているしィ。

剣ヶ峰までの途中のナイフリッジは凄かったよ。 ホントに跨いで進まねば転落しかねない程に両側がスッパリと切れ落ちていたしィ。 こんなに切れ落ちていたのは、これより数年先に体験する戸隠・西岳の《蟻ノ戸渡リ》位だね。


馬乗りになったのは数年先に体験する
戸隠・西岳の《蟻ノ戸渡リ》くらいか

もちろん、ここも跨いで馬乗りになり、ナイフリッジに身体を密着させてノメり渡ったしィ。
まぁ、大山の剣ヶ峰のナイフリッジは『デンジャラスゾーン』が長過ぎて、『馬乗り対応』では時間がかかり過ぎるので引き返したのであるが。 ここで落ちかけてヘリなどを呼ぶ『ワールドクラス級のオチャメ』をかましていたなら、これ以降の山体験は全て無かったかもね。 結構、こういう時のワテって”チャレンジャー”だしィ。

なお、この先の『よも”ヤマ”話』では、「行ってはいけません!」という所に進入しての『ワールドクラス級のオチャメ』が多発しますので、このような事を「倫理的に許せない!」という潔癖なお方は見るのを控えて頂く方が良いかと。

それでは、我が登山史でも『数少ない』何事も無かった(進入禁止の柵をかいくぐって、ナイフリッジを跨いだ”アウトロー”があるだろうがよ)大山の登山の様子を、我がHP『日本百景』に記述したガイド文に多少の”突っ込み”を交えて代弁する事にしよう。

  『日本百景』・大山 より
それでは出発しよう。 《大山寺》の山門の前に立つと、左右二つの石畳の階段がある。 この左側が奥社に通じている。 これを登って、《大山神社》・奥社の『大神山神社』へ向かおう。 
この石段は結構急である。 しかし、最初のこの時点で息が切れるようだと、少々運動不足である事を認識せねばなるまい。・・さすがに、旅に出ての80%以上を車の座席に座っていた・・となれば運動不足だわな
 
『大神山神社』の奥より登山道が続いている。 神社で安全祈願をして登っていこう。 
・・そんな神妙な心、このタワケにあったのか?

道は、杉の深い樹林に囲まれた森林浴気分いっぱいの道だ。 この並木道を伝っていくと《元谷》の沢の流れが響いてきて、やがてこの沢の河原に出る。 河原を少し伝って、避難小屋の建っている堰堤の袂で河原を横切って《行者谷》に移り、道標に従って階段状に切られた登山道を登っていく。 

ブナ林の中の急登をジグザグにひと登りすると、支尾根の上に出て傾斜は少し緩やかになる。 
支尾根上を登っていくと、辺りは徐々にブナ林から潅木帯に変わっていく。 やがて、下り道で使う『夏道登山道』との合流点・《夏道五合目》に出る。 辺りは完全な潅木となり、見晴らしも良くなる。


大山・六合避難小屋
写真で撮ると結構立派な小屋だねぇ

登っていくと、高度を上げる毎に《大山寺》の山門や社が望めてきて、山頂に一歩づつ自分の足で近づいているのが実感できるだろう。 まもなく、《六合目》の避難小屋だ。 
・・これ以降、こんなレベルの避難小屋に数多く泊まる事になるとは知る由も無かった


荒々しい岩壁を魅せる大山・北壁の上に
日輪が輝いていた

ここからは荒々しい岩壁を魅せる大山・北壁を望みながら、浮石の多い白く乾いたガラ場をイッキに登っていく。 この登りは《八合目》までと少し長く、辺りが潅木帯ゆえ日差しもキツイので、首筋にまともに直射日光を受けないように注意しよう。 バテ・ヘバリは得てして、この首筋からくるものである。 
こういう時に、“首にタオル”はいいプロテクターとなる。 


大山の三条庭園に咲く可憐な花

《八合目》からは山上庭園を行くようになり、足場も木道が敷かれるようになる。 天然記念物に指定されるダイセンキャラボクが程よく林立し、山上台地を見事な庭園と成らしめている。 この山上庭園をシコクフウロやクマガイソウなどの高山植物の露払いを受けながら進んでいくと、大山・弥山 1711メートル の頂上直下にある頂上小屋が見えてくる。 
頂上はこの小屋からほんの10m程だ。


大山・弥山より
周囲の山なみを望む

中国地方随一の眺めを誇る独立主峰の頂に立つと、日本海に浮かぶ《隠岐島》や鋭い岩峰を従える最高峰・剣ヶ峰 1729メートル の勇姿が望まれる。 そして、その南方はブナの樹海が美しく広がり、その果ては白砂の浜・《弓ヶ浜》で途切れる・・、まるで水彩画のように整った気品のある眺めを魅せてくれる。 素晴らしい眺めを見ながら大休止したなら、往路を引き返そう。 


山の上は雲海の大海原だった


雲海の大海原が一瞬途切れて
薄らと日本海の海原が現れた

なお、大山の最高峰・剣ヶ峰の事であるが、現在は吊尾根の崩壊が著しく進入禁止となっている。 
ちなみに、ワテは(あくまでも非合法であるが)進入を阻んでいるロープをかいくぐって進んでみたのだが、途中で強風に煽られて引き返さざるを得ない・・という結果に終わってしまった。


遠かった「標高差18m」
でも”シクジリ”が次の山への原動力となる

途中は幅50cmのナイフリッジが延々に続き、それこそ稜線を跨いででないと怖くて進めない所である。 転落の危険性が高く、転落は確実に死亡事故につながるので筆者のようなバカはしない方が無難であろう。 それにしても、遙か遠い18mである。

・・ホントに「バカはしない」方が、この先の人生においても”無難”である
・・でも、「バカ」をした方が楽しい人生を送れるよ

下り道の《夏道》は、夏のシーズン中は下り専用と指定されている。 これは大山が比較的登りやすく、林間学校などの団体登山が多く押し寄せる為との事である。 帰り道も山上庭園で《地蔵ヶ池》の池塘とお花畑めぐりなど、広潤な気分を満喫できるルートを取る。

やがて、《夏道五合目》で登りで使った道を分けて、ひたすらブナ林の中を急下降していく。 
合目毎の道標を見ながら下っていくと、阿弥陀堂の灯篭の横から、飛び出るように下山口に着く。 
ここからは、広い参道を伝って車を駐車した所に戻る。 


鍵掛峠より望む大山
内陸側はまだ雪が残っていた

さて、車に戻って登山装備を外したなら、今度は“高原ドライブ”を楽しんでみよう。
まずは、『大山高原』の《桝水原》と《鍵掛峠》だ。 この辺りは、樹層が整った美しい色彩を魅せる所だ。 背後から望む、いかつい山容の大山の眺めにも魅せられる。 また、《鏡ヶ成》の展望台より、《蒜山高原》を望むのもいいだろう。 


春色に染まり萌黄色の色彩を魅せる
桝水原にて

そして、大山をドライブするなら、是非訪れたい所が次に紹介する《大山滝》だ。 ちょうど《大山寺》の反対側に位置するこの滝は落差55mで、豊富な降雪のある大山より出ずる水をイッキに落とす本沢の大瀑布である。 蒼く深く澄んだ水を勢いよく落とす様は、勇壮な事この上ない。
・・スンマセン 下山後に急速に空が曇って光量不足になり、写真が撮れませんでした


大山滝の代わりに
蒜山高原の牧歌的な風景おば・・

さて、やや急ぎ気味ではあったが、日帰りという短い時間で大山の“魅力”の押えたい所は全てめぐることができたと思う。 後は、海辺の温泉郷でひと風呂浴びて帰路に着こう。
・・そういえば、この「80%以上車中にいた旅」では、この時に初めて風呂に入ったよ

















関連記事
スポンサーサイト



コメント






管理者にだけ表示を許可