風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第21話  奥匹見峡

よも”ヤマ”話  第21話  奥匹見峡  〔島根県〕 ’91・5


落差53mの大竜頭
渓谷随一の滝を観る展望台すらないなんて

  奥匹見峡 おくひきみきょう  (西中国山地国定公園)
恐羅漢山を挟んで、三段峡の反対側にも美しい渓谷がある・・というのを御存知だろうか。 
そのほとんど知られていない“秘境”とは、この匹見峡である。 この渓谷の第一の魅力は、美しい滝があちらこちらにひそんでいるという事である。 また、もう一つの魅力は、雨や霧によって幻想的な情景となる・・という事である。 

特に《大龍頭》。 雨霧によって霞んだファインダーから覗いて、その幻想的な美しさに愕然としたものである。



この冒頭文は我がHP『日本百景』で記したモノだが、この匹見峡という景勝地の『観光エリア』は遊歩道が完全に整備されていて、駐車場前にゲストハウスの建っている『裏匹見峡』が該当するのである。


匹見峡のメインは
遊歩道が完全整備された『裏匹見峡』だ

実際に匹見町(現在は町村合併・統合により益田市に編入)の観光広報でも『匹見峡』と言えば、『裏匹見峡』を指すようなガイドが成されている。 実際にショボイ『表匹見峡』は主景勝地の《小沙夜淵》の写真が小さく掲載されているだけだったし、今回目指す『奥匹見峡』に至っては「滝が潜む素人を寄せ付けない秘境」と、完全に観光客の視線をフェイドアウトさせる思考があったようである。

まぁ、この匹見町の観光客を呼び込む町おこし振興策が『巨大迷路』と、哀れを誘って”もらい泣き”しそうな位のショボさだったのは藪の中に。


これが町おこし策のメインだった
悲しきかな・・ 匹見町
※ グーグル画像を拝借

話は反れたが、町がフェイドアウトするような秘境には興味を惹くもので、当時滝に熱中していたワテはこの『奥匹見峡』をターゲットにする。 でも、今の様にインターネットもないので『奥匹見峡』に関する情報は全く入らず、町の観光広報パンフレットに記された「滝が潜む素人を寄せ付けない秘境」という言葉に想像を膨らませる以外になかったのである。 でも、考えてみるに旅をするに当たっては、こういった想像力を掻き立てる状況の方が”旅が豊かになる”のであるが・・。


小竜頭の流れ
何でもこの滝を覗き見しようとして
転落し昇天された御仁がいるとか

不動産屋を辞めて、10ヶ月働いては夏の2ヶ月を放浪するアウトロー生活に突入という満を持して、後に控える北海道への放浪旅の前哨戦として、山陰へのアウトローな旅を企画したのである。
その内容は、計らずも今の旅スタイルをこなすべくの鍛錬そのものだったのである。
それは全て車中泊で、旅に出る前に事前に情報を何ら調べず・・の行き当たりバッタリで、食糧は缶詰やレトルト・パック御飯の自炊・・と、旅というより無銭放浪の修行のようなモノであった。

・・と言う訳で、景勝地を探勝する以外は全て車の中で過ごし、この5日間の旅の計115時間の内の95時間を車の中で過ごす・・という金字塔的な旅でもあったのである。


沙羅双樹の花の色・・じゃなかった
サワウツギの花の色

もしかしてこの「115時間中95時間」が
ワテの人生のボタンの掛け違え?

・・で、地図(ワラジヤの地図・・ 潰れたけど、景勝地ドライブガイドが秀逸の道路地図を出版する出版社だったよ)を見て滝マークを見つけてはアチラコチラと寄り道しながら、この地図にも「滝がひそむ」と記載されてある『奥匹見峡』にやってくる。


魚切の流れ
三脚使わずに『Fits』を使ったりして
この状況で片手を三脚で塞ぐのは自殺行為だよ

前日はこの渓谷の駐車場で車寝をするが、当時は今の様に駐車場が整備されているハズもなく、この前年にあった山陰地方の水害で、駐車場のアスファルトには亀裂が入り、街灯は切れて真っ暗闇のかなり”そそる”車寝だったよ。

そして翌朝・・、この傷んだ駐車場が修復されずに放置されている景勝地『奥匹見峡』の探勝をするが、生憎朝から大雨の空模様だったのである。 その大雨の中で奥匹見峡を探勝すると、「亀裂の入った駐車場や切れて真っ暗闇の街灯」を修復する事無く『放置プレイ』する町に所在する景勝地である事が、すぐさま理解できたのである。


遊歩道は破壊され
水が流れて川床となっていたよ

崩れた大岩が落ちて遊歩道を粉々に破砕し、遊歩道にある転落防止の安全柵は完全に潰れてひん曲がり、ほぼ通行不能のレベルを呈していたのである。 中には破壊された遊歩道を回避するべく、ワテより前にここを訪ねた”スキ者”が設置したであろうザイルロープで、崩れた崖をよじ登って高巻く所もあったのである。


小竜頭の上部の流れ
周囲に落石で潰されて
ひん曲がった転落防止柵があったよ

でも、ここまで破壊されているのに『通行止』の処置もせずに『放置プレイ』だなんて、当時は”大らかな”時代だったんだねぇ。 破壊された遊歩道の中で唯一無事に”生きていた”あずま屋で雨宿りしながら、あずま屋の前に設置された”やる気の全くない”匹見町の奥匹見峡の案内手法を垣間見る。

それは渓谷の案内図に、地元の中学校の生徒が”想像”で描いた絵を採用していたのである。
そう・・、大竜頭というこの渓谷の盟主となる大瀑布は元より、「さらさら滝」や「幻ノ滝」などを想像で”魅惑的に”描かせていたのである。 これ見て思ったよ。 「やるなぁ~ 匹見町も」と。

その名前からして魅惑的な「さらさら滝」や「幻ノ滝」に興味が深まり、雨の中を討って出る。
暫く進むと遊歩道が途切れて、その先に落差53mの渓谷の盟主・大竜頭が雨で増水した水をイッキに叩き落としていた。 それが雨に霞み、幻想的な雰囲気を醸し出していた。


大竜頭
雨霧によって幻想的な雰囲気をかもし出す

でも、この滝を正面から魅る・・どころか滝の展望台すら見当たらない。 仕方がなく周囲の樹につかまって身を乗り出して滝を魅るが、渓谷随一の滝を樹につかまって身を乗り出して覗き魅る景勝地なんて初めてだよ。


コレ・・ 落ちないように
樹に身体を引掛けて撮ったのデス

そして、先程のあずま屋で絵の案内図でそそられた「さらさら滝」や「幻ノ滝」だが、大竜頭の左岸(右手)にある《鹿ノ背》という看板前で完全に道が途切れていた。 これは豪雨災害で遊歩道が崩された訳ではなく、完全に道自体が消失していたのである。 でも、「さらさら滝」や「幻ノ滝」のあの絵に興味をそそられたワテは、この《鹿ノ背》の両側の切れ落ちた痩せ尾根をよじ登っていく。


鹿ノ背から身を乗り出して撮ると
落ちる恐怖に滝の様に冷や汗が出るよ

でも、大竜頭の上段くらいまでに上がると、いよいよ道が途切れてザイルロープでもない限り進めなくなってきたのである。 さすがに大雨でこの状況では、大竜頭に転落も有り得るので引き返す事にする。


これより上流は沢屋さんの領域
この滝が魅れただけでも満足としよう

・・で、ネットで簡単に情報が手に入る今・・、この『奥匹見峡』の「さらさら滝」や「幻ノ滝」を調べると、完全に『沢屋さん』の領域だった。 でも、『沢屋さん』の領域である渓谷の奥深くを、絵の案内板でさも簡単そうにガイドする匹見町のズ太さにも恐れ入ったよ。 この絵の案内板をネットで調べたのだが、さすがに25年以上前のモノは撤去されたのか、ネットにも無かったよ。
有れば良かったのに。





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