風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第19話  香肌峡・高滝

よも”ヤマ”話  第19話  香肌峡・高滝  〔三重県〕 ’90・9


落差70mの高滝
この滝遡行で写真の面白さを知った

 奥香肌峡 おくかはだきょう (室生赤目青山国定公園)
関西の景勝地の中でも、極めて知名度の低いこの奥香肌峡。 
たいがいの人は、『日本百景』のこの項目で取り上げる事で、初めて耳にする景勝地であろうと思う。 しかし、その景観は、今までこの地を知らなかったことを悔しく思う程に美しい滝を備えた渓谷美を魅せている。 

特に宮ノ谷峡の瀑布群は、そのたどり着くまでの嶮しさも伴って、“感動”せずにはいられない素晴らしい景観を魅せてくれる。 この渓谷の景観の中心は、《風折滝》と《高滝》という落差70m以上を誇る2つの美しい滝であろう。

・・《風折滝》は、落水が風になびく様から名づけられたものだが、紅葉をまとって風になびくその姿は繊細で優雅で、何か触れ難いものを感じるのである。 《高滝》は息も着かせぬ水量をイッキに落とすダイナミックな滝で、柔剛がよく調和している。

また、垂直落差が我が国第八位といわれる212mの《布引滝》をめぐるルートや、完全な沢登りスタイルで挑む《ヌタハラ谷》や《奥ノ平》といった名渓の数々。 この奥香肌峡は、訪れる度に新たなる情景、素晴らしい情景、感動的な情景を魅せてくれる。 そうなのだ。 この渓谷には、底知れぬ魅力の可能性が秘められているのである。



たぶん・・であるが、『香肌峡』という渓谷をほぼ全ての人が知らないだろう。 でも、その神秘のベールに触れたなら、その虜になる・・かもしれない。 その通り、ワテは虜になったのである。
この時は山よりも滝で、滝を上手く撮る為に、普段は「面倒臭いから」と持ち出しもしない三脚を買ったりもしたしィ。 それは、滝の落水を流して白糸に撮る為である。


この時はこういう
『滝流し』な撮り方にハマってますた

そして、この時は現在のカメラ床界の指導者にして我が師匠・・、いや生涯の臣下を誓った御主君の風来茄子マルゥテツ二世殿下を家臣として従えて(この後、写真のウデの差で決定的な違いを見せつけられる『下剋上』が起こりますた)やってきたのである。

でも、我が御主君と言えども写真界では底辺を這いずる『写真床』程度のウデ及び思考能力なので、滝を流して白糸にするにはどれだけスローシャッターにしていいかも判らず、三脚は持てどもレリーズさえ持たず・・っていうか、「レリーズって何?」ってのが『写真床』のこの連中であった。


「レリーズって何?」な『写真床』な連中だから
この「ヤマホトトギス」の名前も知らず
「毒々しい毒の花」と名付けていた

そして、身体能力的にもクラス対抗のレクリエーションである球技大会などでは、決まってグランドの隅で砂をホジっていた『クワムラハムの子』な連中でもあったのだ。


ズック靴でこんな所にいくと
敏捷な奴でも濡れるわなぁ

そんな連中が三脚という沢に入るには余計な荷物を背負って、桟橋が朽ちて落ちていたり、落ちてなくても「落ちる可能性があるから通行禁止」の看板が立てられている荒廃した渓谷探勝路をゆくのである。

そんな桟道が通行禁止の所は沢の河原に下りていくのだが、努力をしない腐った『クワムラハムの子』なこの連中は即効沢にハマって濡れて、素足にズック靴となっていたよ。 でも、これで吹っ切れたのか、この後はワンゲロの体力をもってねじ伏せる。←何を?


濡れて『素足にズック靴』になったら吹っ切れて
水に浸かりながら撮っていたよ

・・で、水越谷と高滝谷の分岐に辿り着く。 目的は《風折滝》のある水越谷であるが、見た所探勝路が完全に途切れていて、現状の『濡れて素足にズック靴のクワムラハムの子』では不可能と判断して、先に道が続いている高滝谷へ進む。

でも、高滝谷の方も朽ちたボロボロの階段があったり・・と、邪魔な三脚を持った『素足にズック靴のクワムラハムの子』には限界ギリギリの難度であったけど。 そして、『素足にズック靴』で耐え抜いた御褒美に、この連中の眼前に落差70mの大瀑・高滝が姿を現した。


美しい滝姿に
しばし心を奪われる

でも、この滝遡行で「三脚は立派なモノより軽いモノ」という事や、レリーズがなくてもセルフタイマーを使う事で滝の白糸写真が撮れる事、三脚が無くても『FITS(フィッツ)』の発動・・という知恵で乗り切る事ができる事などの「モノを使わなくても写真は撮れる」という事を知ったのだ。


三脚を立てる足場が無くても
知恵を絞って編み出した『FITS』の発動で
こんなにイイのが撮れたよ

そして、この知恵を使う・・って事は、「写真をより面白くする事だ」って事も知ったのだ。
また、今回行けなかった『風折滝』が潜む水越谷に行くには・・、『リベンジ』するにはどうすればいい?という課題も見つかった。 


この夕日を風折滝への
リベンジを果たした後に味わう為に

そうなのだ・・、こういう失敗を踏まえて、限られた条件でモノ事を成就する為に知恵を使う・・って事の楽しさを覚えたのだ。 だから、この滝遡行はこの失敗旅と同じく、ワテの経験に大いなる肥やしになったと思うし、こういう失敗や足掻いた痕が残るフイルムカメラで本当に良かったと思うのである。

















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