風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第17話  三段峡

よも”ヤマ”話  第17話  三段峡めぐり  〔広島県〕 ’89・4


三段峡の“代名詞”・三段滝

あらら・・、また時系列が前後しちまったよ。 それも半年もの大幅な順番違いですね。
滝探勝も”アウトドア”活動としてこのカテゴリーに入れると、こういう事になっちまうんだね。

で・・、三段峡を探勝したこの時の出来事と言えば、前夜の出来事に尽きるだろう。
それは、この時の『旅のスタイル』として当然の如くに『駅寝』だったのであるが、その『駅寝』に関わる出来事で通常人では”有り得ない事”が起こったのである。

それは、駅寝する駅の選定から始まる。 もうこの頃は廃止ローカル線の帰結に大方のケリが着いた事で、ワテ自身も鉄道に対しての情熱が薄らいできていたのである。 そして、鉄道の次に代る追いかけるターゲットが滝になってきていたのである。


水量豊かな出合滝

この時のワテの意識の中では、可部線は今まで追っかけていた『ローカル線』には含まれず、三段峡へ向かうべくの『交通手段』=『鉄道』としての存在であった。 この通りに”追っかけていた『ローカル線』”ではないので、撮り鉄する気持ちを全く持っていなかったのである。 とは言え、まだまだ『ローカル線』への未練もタラタラで、三段峡を探勝した後は当時のワテが『ローカル線』と見て追いかけていた三江線の『撮り鉄』も予定に入れていたのが今回の旅なのである。


チョロチョロの滝が
三段峡・五瀑の一つ三ッ滝
滝よりも龍門の淵が目を惹いていた

要するに、鉄道を追いかけていた『少年期』から滝や山といった”アウトドア”に飛び出していく『青年期』への過渡期だったのですね。 でも、滝や山の”アウトドア”をするのに、そのアプローチ手段として必須である車の免許も持ってない(この年の7月に取ったけど)状況なら・・、そして今までの旅のスタイルが主に宿泊費を削る『貧乏旅』であったなら・・、”アウトドア”を目指すにしても、今までの『旅のスタイル』である「移動は鉄道利用で、泊る場所は無人駅」を踏襲するしかなかったのである。

でも、当時は全く『ローカル線』として見ていなかった可部線の非電化区間の方が、『ローカル線』の三江線より先に廃止になるなんて思ってもみなかったよ。 だから、可部線の非電化区間が廃止になった時は、この時の出来事を思い出したと同時に、可部線を『ローカル線』として見なかった事を少し後悔したよ。


三段峡 行程図

・・で、その"アウトドア"の三段峡の探勝の事であるが、先程に述べた『過渡期』である事もあってか、全く探勝計画を立てていなかったのである。 即ち、「三段峡の駅にさえつけば、三段峡めぐりができるもの・・」とばかり思っていたのである。

そこで「三段峡を朝一から探勝し始めるには、最寄り駅の三段峡駅で駅寝するのがベスト」と、安易過ぎる位に考えていたのである。 でも、それは三段峡駅に着いて、駅と駅前に立つ観光ホテルを目にした途端に行き止まってしまったのである。 駅は完全無欠の有人駅で、しかも目の前に宿泊施設=ホテルのある状況では、さすがに駅寝は無理だろう・・って事である。


駅前は『国民的な観光地』で
駅寝は無理っぽかった三段峡駅
※ グーグル画像より拝借

仕方なしに折り返しの列車に乗って、三段峡の手前の駅・戸河内駅を駅寝場所とするべく移動する。
降りた戸河内駅は誰もおらず、何の確認もせずに無人駅だと思って自炊用具に火をつけたのである。
この時の自炊用具は、高校のワンゲロの備品を私物化して果てはマイ所有物化した「ホェ~」と唸る程に重くて形が歪なガソリンコンロ『ホェーブス』だったのである。

そして、メニューは釜飯の素を入れた炊き込みご飯と缶詰類と味噌汁付(生味噌ずいだけど・・ね)で、普段の食生活に比べても格段にゴージャスなモノだった。 で・・、そのホエーブスの上に置いた釜飯の炊き込みご飯が「♪ジュウジュウ噴いたら火を引いて・・」となるクライマックスの時に、地元のおばさんと思しき人物が、駅の窓口を閉めにやって来たのである。 実はこのおばちゃん・・、駅長さんでこの駅は委託駅だったのですね。


在りし時の戸河内駅
ここでの『スクランブル』が
普通では有り得ない出来事につながった
※ ウィキペディア画像を拝借

このおばちゃんが、「この駅は次の(最終)列車で駅舎締めますよ」という。 当時の可部線の終端区間は1日僅かに5往復で、最終は18時半とかなり早かったのであるが、この言葉と共に暖かくて楽しみな釜飯ご飯が炊きあがるまでの”お楽しみタイム”が「途方に暮れる状況」と共に『スクランブル』となっちまったのである。


このいびつな形のモノを
『スクランブル』で詰め込んだら
背負うザックの形は
得体の知れないモノとなった
※ グーグル画像を拝借

もう、ブスの火を止め、食器から用意していたオカズやらの自炊用具一式を全てザックにゴチャゴチャに叩き込んだのだが、炊きかけの釜飯の炊き込みご飯だけはどうする事もできず、すぐにやってくる最終列車の到着時刻が近づいてきた。

まぁ、この駅長のおばちゃんは、列車到着の5分位前にやってきて業務をこなすだけだったので、状況的にはおばちゃんが現れた途端に”詰む”数分前のデンジャラスな状況となるのである。 でも、シュラフなど広げてなくて良かったよ。 寝具を広げていたら『スクランブル』が間に合わず、駅も締め出されて、どっかの公園のベンチか電公衆電話ボックスの中(公園ベンチも公衆電話ボックスも1回ずつ経験あるけど、アレは辛い)となっていただろうし。

・・で、前に『路線の思い出』でも記述したが、「こういう体験したのは人類でも稀な事」という位の『オチャメ』である「炊きかけ御飯の炊飯鍋を両手に持ったまま列車に乗車する」という出来事が起こったのである。 

詰め込んでゴワゴワになったザックを背負って鍋の両取っ手をつまむ鉄道乗車としては有り得ないいでたちとなったタワケは、乗車後に使用していた「セ・セ・セ・セ青春18キップ」を鍋の上に置き、検札を受ける。 鍋を持って両手が塞がっていたからであるが、車掌氏が視線を逸らして炊飯鍋を両手につまみ持つ”変な奴過ぎる”唯一の乗客の検札業務に当っていたのが印象的だったよ。 まぁ、唯一の乗客がこんなおかしな奴なら、顔も背けたくなるだろうね。


『公衆電話ボックス』と居住環境を
比べるなんて泣けてくるぜ・・ 全く!
※ グーグル画像を拝借

で・・、着いた次の駅の土居は、プラスチック椅子で駅舎ナシ、待合室も囲いだけで椅子に横たわると下の道路から丸見えの先程に挙げた『公衆電話ボックス』レベルの駅寝環境だった。 比較すれば、足を伸ばせて寝っ転がれる分には『公衆電話ボックス』より優れているが、気密性と遮断性は間違いなくアチラの方が優れているだろう。


下の国道から駅寝シーンが丸見えだった
※グーグル画像を拝借

ラッキーな事に学校も春休み期間で、始発の7時半過ぎまで下のバス停も人がおらず、こんな駅で駅寝していた醜態が秘密裏に隠せた事であろうか。 まぁ、下手すりゃ通報されて、交番の詰所・・って事も有り得たし・・ね。 まぁ、交番の詰所は、居住環境は抜群だけど心理的に・・ね。


よくよく考えると
交番の詰所の方が良かったりして
もしかしたら三段峡まで
パトカーで送ってくれたかも
※ グーグル画像を拝借

さて、長々と三段峡探勝前夜の出来事を記したが、肝心の三段峡探勝は「駅を出てすぐに三段峡探勝」の目論見は崩れ、金を節約すべくこんな奇妙キテレツな事までしたのに、三段峡最奥の聖湖までタクシーに乗ってしまい、5000円超の散財。 こんな事なら、安い民宿に泊まって翌朝宿屋に車で三段峡の駐車場まで送ってもらうか、泊り客をヒッチハイクで捕まえた方が良かったかも。


幽谷に明るい瀬音を響かせる三段滝

猿飛二段滝を含めると全長16kmの遊歩道を歩き切る若さもあって、探勝自体はつつがなく終わった。


深い淵と嶮しい崖に囲まれた
猿飛二段滝
これより奥は踏跡まれな秘境だ














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