風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第283回  利尻富士の見える丘

『日本百景』 春  第283回  利尻富士の見える丘  〔北海道〕


あの頃は行き交う車両も魅惑的だったね

北海道へ渡ると、毎年のようにある所に通っている。 それは、通称・『利尻富士の見える丘』と呼ばれる宗谷本線の南稚内~豊富辺りまでの末端区間である。 ここに何度も通い詰めているワテ(筆者)の目論見は、すぐに察知して頂けるであろう。 そう・・、それは、宗谷本線の列車と利尻富士を絡めて『風景鉄道』を撮る目論見だ。

でも、筆者が写真を撮りたいと欲すると、何も考えずに訪れた最初は結構『お宝写真』を撮る事ができるのだが、その情景に絆されて「あの感動をもう一度」と”二匹目のドジョウ”を狙うとターゲットとなる情景が雲に隠れたり、道を間違えて断念したり、その地にアプローチする前にアクシデントが起こったりして、尽く思惑が外れてしまうのだ。 事実、ヤマでは何度も『遭難フラグ』が立つような『オチャメ』を何度もしでかしてるし。 ヘリのお世話になって新聞(地方紙だけど)に載った事もあるし・・


最近撮ったのは天塩川が凍って
『川』である事が判らないしィ

この宗谷本線でも、その『法則』が大いに当てはまるのである。 天塩川を撮った時も、最初に撮った30年前は列車利用の徒歩撮影であるにも関わらず結構いいアングルで収められたのに、満を持してレンタカーで訪れた時は、なぜか今イチなのしか撮れなかったよ。


『撮り鉄写真』としては
車両が点景のボツ作なんだろうけど
天塩川を"主"鉄道を"従"とした
『風景鉄道』としてはOKなのデス

排雪ラッセル列車も、出合頭のほとんど『事故』のような状況だった30年以上前の廃止路線で撮ったのはグーグル画像の上部に食い込む程の傑作『お宝』写真が撮れたのに、ネットで情報を調べて挑んだ天塩中川はそれなりだったよ。


線路を歩いて移動していたら
出合頭で"ズワイガニ"に襲われたよ
雪を思いっきりブッカケられたけど
貴重な『お宝写真』となったよ
旧興浜南線・沢木~元沢木にて

続く翌年は天塩中川はレンタカーのガス欠危機で断念(JAF呼んでムダ金使っちまったよ)だし、人目を避けてノーマークの所で狙えば雪跳ね飛ばさないし、他の所も撮るには撮れたが”それなり”のデキだったよ。


多少雪は飛ばしてるけど
迫力的には今イチ
この翌年に撮ったのは更にショボくなり
天塩中川にて

で・・、この『利尻富士の見える丘』も、キッチリとその『法則』が当てはまっているのである。
最初の30年前は、その撮影地にどのようにアプローチしたかの記憶も曖昧(帰りはヒッチハイクで抜海に戻った記憶があるので、行きは歩いて行ったのかも・・)なのに撮ったのは『一番星』で、その後に”もう一度あの情景を・・”と足しげく通ったなら、晴れてても雲が掛かったり、撮る気力も無くなる程の大雨だったり・・。

この様に最初の『一発目』だけで、全く後が続かないのである。 まぁ、30年前の方が情熱あったし、体力も気力もあったし、写真の”ウデ”も底辺の『写真床』であるには変わらないが、情熱があった分だけ今よりも抜け出てたのかも・・ね。 それでは、当時の記憶と最近の出来事との対比を写真で語っていこうと思う。


満を持して挑んだ近年は
晴れていても利尻富士だけが雲にお隠れになり
勇知にて


昼まで粘っても列車本数が少なくなって
あまり狙っていない『特急』の上に
逆光で利尻富士も裾野だけ
勇知にて


利尻富士がお隠れになって撮れないので
フテくされて撮ったコレがこの時の『一番星』に

コレに味をしめて「仕事(雪を跳ね飛ばし)している排雪列車を狙うようになるが、後が続かない『写真床の法則』が発動して、未だ満足いくモノが撮れず。 しかも回を追う毎にガス欠危機などのトラブルに巻き込まれ。


昔撮った南稚内~抜海の撮影地は
今は進入禁止なんだってね
30年前の『利尻富士の見える丘』の上にて

アプローチ方法は全く記憶にないのだが、行きも帰りもヒッチハイクの“大技”だった記述があったよ。
でも、行きも帰りもヒッチハイクだなんて、チャレンジャーだねぇ、ガキの頃のワテ。
それに、そんなガキの要望に乗ってくれる車があるなど、大らかな時代だったんだねぇ。

今はデジタルの時代となって、離れた所からリモコンで撮る事もできるらしい。 また、レンズも望遠側に特化して技術革新となっているようだ。 だから、普通の市販の安価な三脚で超望遠撮影も可能となってきている。 そして、結果がすぐ判るデジタル。 失敗はすぐに消去すれば、何枚でも撮れるデジタル。
パソコンを使うと、有り得ない映像さえ『造れてしまう』デジタル・・。


ここまで歩いて登ってきたからこそ
コレが撮れたんだ・・と思う

そのお陰で被写体との距離感や、とっさの判断力、可能かどうかの分析力、危機回避が可能かどうかの限界察知能力、失敗した事を取り戻すべくのリベンジ心、トラブルに陥った時の脱出を模索する思考能力といった人間として大切なモノをポロポロと失う事になってしまったのだ。 それをパソコン技工を駆使して改編するデジタルカメラは、ワテには永遠に「有り得ない」のである。 そう・・、より良く見せる為に、自分が手掛けた『行為』を改変する『デジタル』を。

でも、パソコン技工で、現実的には人の力だけで撮るのがほぼ不可能な映像が持てはやされるのが、今の『デジタル』世代なんだろうね。 でも、そういうのって、人間の持つ『己の力』に諦めが入っているように思えるのだな・・、ワテからすると。

恐らく・・であるけど、デジタル世代にワテのこれまでの体験(恥じなる体験を含めて)を味わうのは不可能だと思う。 だから・・、ワテの眼からして、つまらない“ありきたり”なのばかりが氾濫しているように見えるのだな。 ワテは「恥じなる体験」であっても、それは「自分で体験して、そのトラブルは自身の力で切り抜けてきた」との自負があるのだから。  あ・ら・ら・・、熱くなって脱線しちまった。

その30年前の『お宝写真』であるが、往復のアプローチは『ヒッチハイク』という奇跡的な事をして、自分の足でこの土手の雪を掻き分けて這い上がって立ったからこそ撮れたのだと思う。 今の困難や失敗を恐れて回避しがちな自分自身では、たぶん撮れない写真だとも思う。


あらゆる奇跡的な事を体験して
自分の足でこの地にやってきてゲットした写真
それが今の『お宝写真』となっているのだ

だから、ワテが写真を知った世代がフイルムでほんとに良かったと思うし、「助かった」とも思う。
完全な失敗はその場で消去して、小さな失敗はPC技工で改編し、失敗の悔しさと「取り返そう」というリベンジ心をポロポロと捨てていく無機質な『デジタル写真』。 なぜなら、それは自身の人間としての能力をポロポロと捨てていってるような気がするから。

見渡してみても、皆同じような被写体を狙い、皆同じ教科書で示されたようなアングルで撮ったものばかりで発想力をあまり感じないんだな。 そして、失敗は陽の目に触れる事無く、瞬殺で消去されるのだから・・。 これを「何度失敗しても、費用を気にせず繰り返してチャレンジできる」と解釈する向きもあるようだが、ワテは「違う」と思う。 失敗作は手元に残してこそ・・で、「なぜ失敗したのか?」「失敗の原因は何か?」といった理由をつかめない限り、再チャレンジとは言えないと思うからだ。


今も昔も変わらないのは
利尻富士だけなのかな

そして、その時に「失敗だ! 撮り損ねた」と思ったモノでも、、時が経てば『お宝写真』となる事もあるし、歴史を証明する貴重な財産となる事もある。 事実ワテは、結構こういうケースがあるんだよな。
・・で、今年も春のゴールデンウイークに性懲りもせず北海道に渡って、「利尻富士の見れる丘で30年前ような『お宝写真』を再び」とリベンジの夢を馳せるワテがいる。
















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No title * by ギャメロン
こんばんわ

利尻富士の見える丘からの風景は最高ですね
雪を抱いた利尻富士と列車のコラボが素敵です
排雪ラッセル列車は迫力あるお写真ですが「ズワイガニ」みたいなんですね(笑)

ナイス!

No title * by 風来梨
ギャメロンさん、こんばんは。

撮れれば最高なんですが、撮れたのは約30年前の最初の1回のみで・・。 今年のGWも「あの時の感動を再び・・」で、訪れようと思ってます。

排雪ラッセル車も以下同文・・です。 残念ながら。

おお、素晴らしい…。 * by 鉄道日本一周
すばらしいですね。
ビギナーズラックですか。
これもおてんとうさま次第なのですが、うらやましいです。

線路の山側に登られたのですね。
私は家内連れでしたので、海側の丘で我慢しました。

Re: おお、素晴らしい…。 * by  風来梨
鉄道日本一周さん、こんばんは。

> すばらしいですね。
> ビギナーズラックですか。
> これもおてんとうさま次第なのですが、うらやましいです。
>
> 線路の山側に登られたのですね。
> 私は家内連れでしたので、海側の丘で我慢しました。


鉄道以外でも、この法則は当てはまりますね。 根室の春国岱の野鳥撮影でも、ヤマでも。 やはり、最初は気合いが入って要るからでしょうかね。

丘の上に上がる道は、今はJR北海道によって閉鎖されているようですね。 そして、あの時は丘の上を歩きまわる若さのパワーがありました。 決定的な差は、コレですね。(涙)

コメント






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No title

こんばんわ

利尻富士の見える丘からの風景は最高ですね
雪を抱いた利尻富士と列車のコラボが素敵です
排雪ラッセル列車は迫力あるお写真ですが「ズワイガニ」みたいなんですね(笑)

ナイス!
2017-03-25 * ギャメロン [ 編集 ]

No title

ギャメロンさん、こんばんは。

撮れれば最高なんですが、撮れたのは約30年前の最初の1回のみで・・。 今年のGWも「あの時の感動を再び・・」で、訪れようと思ってます。

排雪ラッセル車も以下同文・・です。 残念ながら。
2017-03-25 * 風来梨 [ 編集 ]

おお、素晴らしい…。

すばらしいですね。
ビギナーズラックですか。
これもおてんとうさま次第なのですが、うらやましいです。

線路の山側に登られたのですね。
私は家内連れでしたので、海側の丘で我慢しました。
2020-02-13 * 鉄道日本一周 [ 編集 ]

Re: おお、素晴らしい…。

鉄道日本一周さん、こんばんは。

> すばらしいですね。
> ビギナーズラックですか。
> これもおてんとうさま次第なのですが、うらやましいです。
>
> 線路の山側に登られたのですね。
> 私は家内連れでしたので、海側の丘で我慢しました。


鉄道以外でも、この法則は当てはまりますね。 根室の春国岱の野鳥撮影でも、ヤマでも。 やはり、最初は気合いが入って要るからでしょうかね。

丘の上に上がる道は、今はJR北海道によって閉鎖されているようですね。 そして、あの時は丘の上を歩きまわる若さのパワーがありました。 決定的な差は、コレですね。(涙)
2020-02-13 *  風来梨 [ 編集 ]