2017-03-05 (Sun)✎
よも”ヤマ”話 第15話 大杉谷めぐり 〔三重県〕 ’89・11 、’90・5 他
『百名滝』にも指定された
大杉谷随一の大観・七ッ釜滝
大杉谷 おおすぎだに (吉野熊野国立公園)
大台ケ原を源にした宮川が、その源流地帯で創造した峡谷を大杉谷といい、黒部渓谷にも引けを取らない壮大な渓谷美を魅せている。 日本有数の降水量を誇る大台ケ原山からの水は山肌をV字に深く刻み、幾つもの滝が白布を掛けている。 その中で、7つの滝を渓谷探勝路より望む事ができる。 しかも、この7つの滝はいずれもバリエーションに富んでいて、眺めて歩く渓谷探勝はとても楽しい。
まずは《千尋滝》、落差160m。 “”ともいえる一枚岩を“しだれ滝”で落下する姿はとても美しい。
次に《ニコニコ滝》。 ストレートの大瀑で60mの落差で水を淵に落とし、深い山峡の幽谷に響音を轟かせている。
大台ケ原を源にした宮川が、その源流地帯で創造した峡谷を大杉谷といい、黒部渓谷にも引けを取らない壮大な渓谷美を魅せている。 日本有数の降水量を誇る大台ケ原山からの水は山肌をV字に深く刻み、幾つもの滝が白布を掛けている。 その中で、7つの滝を渓谷探勝路より望む事ができる。 しかも、この7つの滝はいずれもバリエーションに富んでいて、眺めて歩く渓谷探勝はとても楽しい。
まずは《千尋滝》、落差160m。 “”ともいえる一枚岩を“しだれ滝”で落下する姿はとても美しい。
次に《ニコニコ滝》。 ストレートの大瀑で60mの落差で水を淵に落とし、深い山峡の幽谷に響音を轟かせている。
そして、落差150mの“三段滝”・《七ッ釜滝》。 紅葉時の美しさは格別である。 その他、《光滝》と《隠滝》の対象的な眺めや《与八郎滝》、大きな滝つぼを持つ《堂倉滝》と探勝路に沿って魅力的な滝や淵が次々と連なっている。
大杉谷・遡行図
行程表
《1日目》 松阪市街より車(2:00)→宮川第三発電所(2:20)→千尋滝(0:50)→ニコニコ滝
(1:20)→桃ノ木小屋
《2日目》 桃ノ木小屋(0:30)→七ッ釜滝(1:45)→堂倉滝(1:45)→桃ノ木小屋
(4:00)→宮川第三発電所より車(2:00)→松阪市街
我が登山史(・・というより、オチャメ行動記だね)の記憶を辿っていくと、高校の部活を終えてから本格山行程をしたのは、この大杉谷遡行であったと思う。 本格的に一泊の山行をしたのも、初めて山荘に泊まったのも、この大杉谷が初だったと思う。
(1:20)→桃ノ木小屋
《2日目》 桃ノ木小屋(0:30)→七ッ釜滝(1:45)→堂倉滝(1:45)→桃ノ木小屋
(4:00)→宮川第三発電所より車(2:00)→松阪市街
我が登山史(・・というより、オチャメ行動記だね)の記憶を辿っていくと、高校の部活を終えてから本格山行程をしたのは、この大杉谷遡行であったと思う。 本格的に一泊の山行をしたのも、初めて山荘に泊まったのも、この大杉谷が初だったと思う。
この大杉谷遡行の2回を経てからは爆発的な体力絶頂期、そう・・『奇跡の体力』を発動する最盛期への道を駆け上がっていくのである。 でも、この時は未だ何から何までビキナーで、靴はワンゲロ時代から使っていた千円台(確か6000円だった)のビニール靴『キャラバン』であったし、小屋泊は当たり前でザックもワンゲロ部から持ち去って私物化し、その『IBS・アイガー』に入れているのはカメラと水筒と原チャリ用の雨合羽だけという体たらくだった。
免許を取って最初の車がこのリーザちゃんだったよ
:
と口ずさんでいると
「お気に入りのソープの娘か?」って言われた事あったよ
そして、山に向かう”足”も550CCの軽のしかも”パワーのつくステアリング(俗に言う『重ステ』)”という年代を感じさせる車の『若葉マーク』で、昔は登山口に駐車場も無かったので《宮川第三発電所》の前の道路の幅が膨らんだ所に止める“怖いモン知らず”だったよ。 このように、何から何まで『無知』の『無思考』でやってきたのだった。 この時唯一知っていたのは、「我が国で有数の落差を誇る160mの《千尋滝》が、この大杉谷にある」という事だけであった。
こんな感じで大杉谷の入口までやってきたので、「行き止まりのドン突きまで車で入ってしまってバックで戻らざるを得ないハメに陥ったが、『初心者マーク』という事でバックに自信がなく、それを回避する為に幅2.5mの道で『重ステ』を何度も切り返して、やっとこさ転回した事を今でも憶えている。
宮川湖畔を望む
ここまで渇水状態だと遊覧船は運休だな
《宮川第三発電所脇》からヘツリ場に掘られている探勝路を行くと、「500mはあろうか・・」という《大日》の大岩盤が目に入って来た。 ・・で、これがこのファースト山行で撮った唯一の掲載写真である。 ・・あり丁寧にいうと、最初の’89・11は余りにも”使える写真”が撮れなかった・・という事である。
大日嵓
最初に行った時に撮ったモノで
”唯一”掲載できた写真
2度目の時は
ちょっち写真のウデが回復した・・かな?
更に歩いていくと、美しい枝垂れ模様を魅せる《千尋滝》が眼前に現れる。 最初の時は滝前には何も無かったが、2回目の’90・5の時は滝前にあずま屋が建てられていて、そこで持ってきていたお弁当(一時期、金をケチる為に弁当を2つ作って持って来ていた)を食べた事も憶えている。
遙か空高くから
枝垂れの白布を掛ける千尋滝
二度目に訪れた時は
萌える新緑を愛でる余裕があった・・かな?
春の日差しを浴びて輝く千尋滝
:
ピンが甘いのは
未だ滝撮りのビキナーだったんで
《千尋滝》のある水越谷を越えると3回のアップダウンがあり、2回目の下りが少しキツかったのも憶えている。 このアップダウンを越えると、山水庭園の様相を魅せる《猪ヶ淵》にさしかかる。
この山水庭園の最奥に落差60mの直瀑が滔々と白布を掛けていた。 これが《ニコニコ滝》である。
幽谷の趣き深い猪ヶ淵と
ニコニコ滝
岩壁で護られた御神体のような
見事な直瀑を密かに掛けるニコニコ滝
この深山幽谷に掛かる神秘的な滝に、”ニコニコ”という間の抜けた名前がどうもしっくりいかなかった事も憶えているよ。 この山水庭園の最奥に掛かる滝は、左岸を高巻いての急登で登っていく。
途中にあずま屋があるが、このあずま屋からの展望は窮屈で、この滝の魅力は山水庭園の最奥を滔々と白布を掛ける神秘的な眺めだと思う。
上にあるあずま屋は
岩壁にへばりつく様な所にあり
展望は今イチ窮屈だ
このあずま屋からは《ニコニコ滝》と離れて、左岸(右側)の大きな岩盤を刳り貫いたヘツリ道を伝っていく。 このヘツリ道は垂直標高差1000m超の《平等嵓》の大岩盤を刳り貫いた道で、通り終えた後に振り返るとそそり立つ大岩盤がそそり立っていた。
この時は滝ばかりで
平等嵓は撮ってなかったよ
※ 大杉谷紹介のウェブサイトより拝借
この大岩盤がそそり立つ大迫力の眺めを見ながら、大きくなった沢を伝っていく。
途中には岩が沢の流れに浸食されて後退した難所(もちろん、鎖場である)もあるので、《平等》に見とれてばかりはいられない。
途中には岩が沢の流れに浸食されて後退した難所(もちろん、鎖場である)もあるので、《平等》に見とれてばかりはいられない。
2004年の水害からこの橋が完成する2012年まで
大杉谷の核心部分は通行不能だった
※ 大杉谷紹介のウェブサイトより拝借
やがて、小さな吊橋を渡り、豪壮な滝・《不動滝》がひそむという《不動谷出合》(不動滝は探勝可能であるが、道は踏跡程度で一般向けではない)を見やると、程なく『桃ノ木小屋』の前に架かる吊橋の前に出る。 今日は、この『桃ノ木小屋』でストップとしよう。
桃ノ木小屋
大杉谷探勝にはこの山小屋が欠かせない
※ 大杉谷紹介のウェブサイトより拝借
その周囲の関係者全てを蹂躙して成り立ってきた証の『円手裏剣』のあの紋様・・。
でも、こんな事を考察するのは、まだ『鉄』から完全に離れていなかったのだろうね。
若き日の殿下と連れ立って大杉谷を探勝した3度目の時は、この『円手裏剣』の事をダベりながら遡行したっけなぁ。
・・で、翌日は、真冬の駅寝までして金をケチってきたワテでは”有り得ない”程の贅沢の1000円の『昼食おにぎり』を注文して、大杉谷随一で名が知られている『100名滝』の《七ッ釜滝》へ向かう。
・・とは言っても、『百名滝』の指定は2002年だから、この時は『100名滝』自体が無かったんだけどね。
小屋の裏手から、大岩がゴロゴロと転がる不安定な道を伝っていく。 30分程岩伝いに歩いていくと、美しい釜を魅せる三段の白布が見えてくる。 これが、『大杉谷』の大壮観・《七ッ釜滝》だ。
この三段の滝は、いずれの段にも美しい釜を持つ優雅な姿が印象的だ。 滝前のあづま屋で、しばしその優雅な眺めを楽しむ。
大杉谷随一の名瀑・七ッ釜滝
《七ッ釜滝》からは、右の岩壁に刳り貫かれたヘツリ道を登っていく。 このヘツリ道からは《七ッ釜滝》の全容を見下ろす事ができるが、何分天地が狭く中腰のまま鎖を片手に伝っていかねばならなかった。
この格好だと、ちょっとカメラを構える余裕はなかったよ。 《七ッ釜滝》の上部に出るとこのヘツリ道は終わり、沢は幅広く穏やかな流れとなる。
《沖見沢》が合流した少し上流側で吊橋を渡り、左岸を伝っていく。 ここから《光滝》までは沢に浸食されて丸く後退した岩の上を伝っていくが、これがまた岩の踏み幅が狭く、しかもツルツルと滑って伝いにくい。
《沖見沢》が合流した少し上流側で吊橋を渡り、左岸を伝っていく。 ここから《光滝》までは沢に浸食されて丸く後退した岩の上を伝っていくが、これがまた岩の踏み幅が狭く、しかもツルツルと滑って伝いにくい。
一番の悪場では完全に岩が浸食されて、沢の流れスレスレの所をトラバースする所もあるので注意が必要だ。 約1km程この悪場を伝うと、《光滝》が見えてくる。 白く光った岩を滑るように白布を落とす。 そして、その裾は末広がりで、見るからに福を呼びそうな滝である。
光る岩を滑るように流れ落ちる光滝
探勝路はこの滝の滝つぼまで進み、そのままこの滝の左岩盤を直接登っていく。 その高度差40m。 横に滝しぶきが上がるのを目にしながらだと、40mという高さが手に取るように判る。 滝しぶきが降り注ぐ中を登りつめて《光滝》の上部に出ると、先程の明るくはつらつとした《光滝》からは想像できない情景が目に入ってくる。
光滝の奥に潜む隠滝
吊橋の下にあって撮り辛い
・・吸い込まれそうな深く大きな釜に蒼き澄んだ水をたたえ、その淵にひっそりと《隠滝》が静かに飛沫を上げている。 見た目では《光滝》の明るい雰囲気よりも、こちらの情景の方が幽谷に相応しい情景に思うのだが。 さて、この《隠滝》と深い釜を吊橋で跨いで、再び右岸を歩いていく。
《隠滝》から10分ほど探勝路を伝っていくと、対岸に三段のつづらを成した《与八郎滝》が絹を裂くような細い白布を掛けていた。 《与八郎滝》を越えると岩壁がますます迫り出してきて、やや歩き辛くなる。 でも、渓谷の終点・《堂倉滝》はもうすぐだ。
与八郎滝
高さはあるが対岸にある滝なので印象度は今イチ
《堂倉吊橋》で対岸に渡り、少し歩くと広い滝つぼと20mのストレート滝が見えてくる。
《堂倉滝》だ。 滝前の“いわく付き”の吊橋(昭54年にこの吊橋の落下死傷事故があり、この後4年間『大杉谷』は封鎖されたのである)を渡り、滝つぼの前に出よう。 滝つぼの周りは広い砂浜となっていて、岩の上に腰を下ろすと滝の飛沫が心地よく肌に当たり、爽快感この上ない。
堂倉滝
魅惑的な濃い碧蒼の縁を魅せて・・
車を下の発電所に止めている為に、ここで往路を引き返す。 だから未だに、大杉谷から大台・日出ヶ岳へは登っていないんだよね。 まぁ、大台・日出ヶ岳から粟屋小屋までは、シャクナゲ観賞で降りた事があるのだけれど。
堂倉避難小屋
今だったら間違いなく『無料』のこの小屋泊まり
※ ウィキペディア画像を拝借
大杉谷から下り終えた後に、もう一つ見どころがある。 その滝は《六十尋 むそひろ 滝》といい、写真映りが最もいい滝である。 滝飛沫が日の光でキラキラと輝くシーンをゲットして、滝の写真を撮り出したのもこの時だったっけ・・なぁ。
六十尋滝
普通に撮ればこういう滝デス
でも・・ 明暗をつけるなど
ガンバッてみますた
この滝飛沫のキラキラが
ワテを滝撮りに誘いましたね
結構いいのがあるね(但し、ワテ判定)
こういう滝下だけを
切り取る写真を撮りだしたのは
この六十尋滝からかも
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