2017-02-25 (Sat)✎
JR北海道が経営危機に瀕している。 でも、分割民営化の際に北海道・四国・九州の3島は、利用の元となる居住人口や現実の輸送実績から鑑みて分割民営化後の経営が危惧されていたのは周知の事実であって、「今更ですが、ダメでした」はいい訳として通用しないのである。
でも、JR九州や四国はその「今更ですが、ダメでした」の言い逃れを決して出さぬべく、分割民営化時に予知された経営困難の危惧を克服するべくの『努力』を行って、JR九州は見事に株式上場化も果たしたのである。 JR四国も、瀬戸大橋や明石海峡大橋を通る高速道路という強敵を相手に必死に戦っている。 本四備讃線での毎時2本の特別料金不要の快速列車運行という、フリークエンシーサービスもその一つだ。
でも、JR北海道は赤字を理由に在来線を切り捨て、鉄道運営上の国策ではあるが航空機に完全に押さえられて見込みの全くない『シンカンセン』の開業延伸に投資して、更に赤字を増大させている。
そして、ついに経営再建の見込みがないと、自らで『敗北宣言』をする始末である。
その現状に地元に住む方々も(一部ではあると信じたいが)、「北海道という利用度の少ない地域だから仕方がない」、「北海道での鉄道経営は土台無理」、「JR北海道の経営状況が示す如く、これからも北海道は人口流出が止まらず衰退の道を向かう」などと諦めの愚痴を言い出す始末である。
でもこの方々は、なんで「その状況から這い上がろう」との向上心を見せないのだろう?
これらの愚痴を聞いていれば、「都会と違って仕事がない」だの「今の北海道は閉塞感や疲弊感で充満していて、それは住んでる人間にしか理解できない」だの「(都会と違って)とても暮らせる場所じゃない」などという。
これはある北海道に住む鉄道好きのブログ主が『JR北海道の再建放棄』を題材にした記事を挙げて、そのコメントでのやり取りで出てきた事なのであるが、コチラが「諦める前に何かと知恵を絞るべき」と浮上案を挙げても、「今更経営再建は無理だ」、「北海道の観光に未来的な伸びはない」、「鉄道好きや安さを求める客などを追い求めるというのは、貴方(ワテの事)の願望で現実性がない」、「住んでいる人間でなければ、この悲壮感は解らない」という悲観に明け暮れているのである。
これらの裏を返せば、「都会はいいよな・・、生活が楽で・・」という甘えて都会の生活をナメた思考が渦巻いているのである。 要するに「都会に出れさえすれば豊かに暮らせるんだ」という、『北海道シンカンセン』なみに見込みのない『願望』を、北海道からの人口流出にかこつけて『現実化』している訳である。 でも、それもできそうにないから、自分の住む地域が衰退していく様を『座して死を待つ』如くに見守るだけなのである。
故郷での生活の苦しさを悲観してその現状を詰っても何の解決もしないし、逃げるように故郷を捨てるような奴に都会生活が務まるとは思えない。
現実的に考えても、新卒の子が都会に働きに出るならいざ知らず、中高年の人が「仕事がない」と都会に出ても余程のコネでもない限り非正規だろうし、そんな甘えた考えでは、都会の競争から真っ先に脱落してナマポのお世話となるのである。 続いたとしても、以前の暮らしより金銭面で遥かに苦しい『ワーキングプァ』生活なのである。 これはワテが都会に住んで都会で働き、いつも目にする『現実』なのである。
もし、営業としてならキツイ『営業ノルマ』が乗っかかるし、商売するなら様々な知恵を絞って自らが扱う商品をお客に売らねばならないのである。 製造業なら非正規雇用の中での競争となって、ついていけない奴はスポイルされるか自ら脱落していくのである。 要するに、現状から這い上がる事を「今更・・」と考える者は、都会に居場所はないのである。
正直言うと、這い上がる努力も見せぬ『負け犬』のような考え方に共感する気はないし、支援する気も・・応援する気も失せるのである。 だが地方の衰退は、やがて日本国全体の衰退につながっていくのだ。
だから、切り捨てる訳には行かないのだ。 そう・・、どうにかして、これ以上衰退しないように『現状維持』していかねばならないのである。
それは地方の末端部は得てして国境と接する地域と成り得るし、その国土の保全は国の存続の根幹に関わる事だからである。 末端である根や葉が枯れていくと、やがては『幹』そのものが倒れてしまう道理からである。 例として挙げると、末端のローカル支線を全て切り落とした北海道の石北本線や宗谷本線という『幹線』が、現在では自らが存廃問題に晒されている事からも証明される事なのである。
だから、敢えてJR北海道の経営再建案の知恵を絞ろう・・と思う。 これはワテが鉄道好きであると同時に自らが生まれ育った国・日本国という国が大好きで、それを守りたい・・繁栄し続けて欲しいという気持ちからである。
だから、一つの案として見て頂けるなら幸いと考えるし、「そんなの無理だ」と否定するなら「なら、テメエがそれに代わる対案を示せよ!」と返そうと思う。 対案も示さず「座して死を待つだけ」の輩に用はないのである。 この事に対して知恵を絞って何らかの案を出して、それを実行するべくアレコレと模索するこそ大切なのである。 それでは、その『本題』を語ろうと思う。
経営を再建させるには、何にせよJR北海道に金を落す乗客の利用促進、利用客の掘り起こしなのである。 そして現状で考えたなら、北海道地域内の輸送は人口減少や過疎化、マイカーの普及などで利用促進・掘り起こしの両方共に適うべくもない。 だが、本州から北海道へ渡る客を考察すると、そのほぼ全てが航空機やフェリーで占められているのである。 要するに、『渡道してくる観光客』という『巨大なパイ』が存在し、現状は競争相手がそれをほぼ独占状態で押さえているという事だ。
この事から考えると、地域内の利用客の掘り起こしは不可能だが、本州から北海道に渡る『観光客』を航空機やフェリーから奪還する事での利用客増加は考え得るのである。 即ち、如何にして、これらから乗客を奪い返すか・・が課題なのである。 そして、これらの競争相手から乗客を奪い返す事ができたなら、その乗客の北海道での更なる観光利用という需要の掘り起こしも適うのである。
でも、所要時間では飛行機に適うべくもなく、現状では航空会社でさえ3ヶ月前の予約ならシーズン中の便でも70%割り引きの15000円程度のチケットを出しているのに、シンカンセンならば東京〜札幌で27000円もする上に、割引料金もほとんど設定されていないのである。 真にヤル気ナシなのである。
でも、この「ヤル気ナシ」の現状に、これらの競争相手からの利用客奪還の方策がハッキリと見えているのである。 それは、ほぼ独占状態である航空会社でさえ、3ヶ月前予約とはいえ大幅割引で誘客する程に『安さを求める客』は存在するのである。
所要時間では飛行機に敵う訳ないのだから、ターゲットとしてこの『安さを求める客』に切り替える頭が必要なのだ。 となると、飛行機より遅く通常の航空運賃並に値段の高いシンカンセンは、完全に不要なのである。 そして、この『安さを求める客』が「もし鉄道を使って北海道に渡る」と仮定したなら、どんな切符を使うだろうか。 それは間違いなく、価格が安価で行先に制限のないフリー乗車券なのである。
そして、『価格が安価で行先に制限のないフリー乗車券』なら、春・夏・冬の長期休暇シーズンにJRグループで発売してるじゃない。 そう、その切符とは『セ・セ・セ・セ青春18きっぷ』である。
料金不要の列車ならJR線のどこであろうと1日2300円で乗り放題の切符は、JR各社全体で70万枚売れたという。 そして、その売り上げの伸びしろも、「毎年3%くらい増加している」との事である。
つまり、収益的にかなり見込みのある切符なのですね。 この『セ・セ・セ・セ青春18きっぷ』は・・。
でも、この切符は売り上げた会社が20~30%を取り、後は「この切符を使用しての行先」アンケートを元に配分するという。 ・・と言う事は、ただでさえシンカンセンで『セ・セ・セ・セ青春18』キッパーの渡道を阻害しているJR北海道には、ほとんど配分がない事が考えられるのである。 同様に『東日本・北海道パス』でも、企画して売り上げた会社=JR東日本が売上の半分は取るだろうから、JR北海道の恩恵は思ったほどにないのである。
でも、毎年3%売上を増やす伸びしろを示し、年間収益額が80憶円という『巨大なパイ』なのである。 これに『東日本・北海道パス』の数を入れると、シーズン中の『いくら所要時間がかかっても、自由に行先を決める事ができて、なおかつ安い料金を求める客層』が年間で100万人以上いる訳である。
これをターゲットにしない手はないではないか!
先の記述で「3ヶ月前からの予約なら70%もの割引をする航空会社もある」と書いたが、シーズン中の航空機の首都圏~千歳の通常料金は片道約40000円なのである。 それが『セ・セ・セ・セ青春18』なら、その4日分の10000円強で往復できるのである。 だから、それに対応する列車を運行しさえすれば、その価格になびく客を航空機から奪い取る事も可能なのだ。 それに安ければ、「北海道に行くのは運賃が高すぎる」と見送っていた客層の掘り起こしも、充分に期待できるのである。
その列車はかつて大阪~九州などでシーズン中に走っていた【ムーンライト号】形式の客車夜行列車がいいだろう。 もちろん、『セ・セ・セ・セ青春18』で乗れる快速列車で、長い乗車時間を考えるとオールカーペット車、又は普通車がカーペット車で特別席がレガートシートがいいだろう。 もちろん安価である事が絶対条件なので、寝台車輌なんかは不要だ。
そして、切符販売の利ザヤを旅行代理店や他のJRに取られないよう、この列車の始発駅(候補としては首都圏の客は仙台駅、関西圏の客は新潟駅)にJR北海道の支店を置き、このJR北海道の支店のみでこの列車の『乗車整理券』=料金は1000円程度を発売するのである。 同時に『セ・セ・セ・セ青春18』も売ればいいだろう。
利用客の数を調査する事は必要だが、この列車はシーズン中なら恐らく12両編成でも超満員となるだろう。 これを仙台・新潟からそれぞれ2往復させれば、1日に5000人の鉄道利用が見込めるのである。
そして、この列車が好評なら、青森から函館のシャトル快速も復活させればいい。 もちろん、青森にも支店を置いて、仙台・新潟同様に利ザヤを独占するべく手を打つのは言うまでもない。
その上で、JR北海道の販促活動を仕掛けるのである。 それはこの列車を函館止として、それから先のJR北海道管内の周遊に使う切符を独占販売するのである。 7日間有効で特急にも乗れるこの切符は26230円。 ・・というか、これだけ普通列車が削減された北海道で鉄道旅をするなら、この切符を買わざるを得ないだろう。 もちろん、シーズン中は多少の普通列車の運行本数増大が求められるけれど。
仮に『セ・セ・セ・セ青春18』だとしても、JR北海道で売ってJR北海道で使用するのなら、切符の全ての代金収益がJR北海道に入る事になるし。 その上での見込める収益額の計算をしてみよう。
これらの列車に加えて青森からのシャトル快速も運行したとして、年間シーズンの輸送量は50~60万人はゲットできるだろう。
『セ・セ・セ・セ青春18』の配分を5割として、『セ・セ・セ・セ青春18』だけで30億の収益となる。
これに『乗車整理券』1000円の往復2000円で50万人が利用するとすれば、収入はざっと10億円だ。
この上に、仙台・新潟・青森の支店と函館駅での道内周遊きっぷの販促の効果を、この列車の利用客の半数(たぶん、利用客の半分以上が買わざるをえないので26000円のフリーパスを買うでしょう)とするなら、65億の収益が見込めるのである。
これにこの利用者達が道内で更に落とす乗車券類の収益を20億とすれば、この企画だけで120~130億の売上を見込めるのである。 恐らく・・であるが、これらの列車の利用客のほぼすべてが26000円の『北海道フリーパス』を買うでしょう。 つまりそれは、見込み売上額が200億に迫る勢いとなる訳で。
でも、26000円の『北海道フリーパス』を買ったとしても、飛行機での渡道の片道分と同じくらいの値段で7日間北海道全域を周れる(もちろん、帰路も含む)ので、『青春18キッパー』のお得感と満足度は十分得れると思うのである。 これに『安さを求める客層』がなびかない訳がないと思うのだが、悲観に明け暮れると「現実的ではない」との答えとなるらしい。
そして更なる販促の手段として、この『北海道フリーパス』に1万円の追加料金で『3日間レンタカー・リッターカークラスの利用OK(但し、1ヶ所で連続3日間で購入時にレンタカーの予約が必要で保険費用は別途)とすれば、更なる販促ができるだろう。 下手すれば20~30%の利用客増で、列車運行では捌ききれなくなるかもね。
でも重要なのは、これはあくまでもシーズン中の臨時列車で、決してオフシーズンには収益は見込めないので、まかり間違っても定期列車にはしてはいけない・・という事である。 それと、この列車を運行したり、レンタカーの差額を補填したりする『経費』だが、これこそ政府による支援金を充てればいいのである。
政府の支援金を赤字補填に充てる事などあまりにも無策すぎる訳で、同じ金を出すなら利用促進の為の経費に出せばいいのである。 つまり、仙台・新潟からの夜行列車2往復の運行経費とレンタカーの差額補填は政府持ちとなるので、収益をまるまる計上できるのである。
それに政府の支援金の拠出にしても、利権にまみれた下らないオリンピックや外国人のナマポなど外国人の為に2兆3兆と出す位なら、地方に住む日本人の為に・・、日本の国土保全に使う400憶(JR北海道の赤字額)など安いものであるし、日本人の支払った税金は日本人の為に使うのが正しい使い方だとも思う。
それに加えて、北海道の貨物も利用促進のテコ入れをするのである。 その方策としては、北海道内の貨物輸送に鉄道コンテナを利用した場合、料金の25%を政府からキャッシュバックさせる手法である。
これも、赤字補填の為に出していた支援金を充てればいいだろう。 これでJR貨物の北海道内での業績改善が適い、また線路使用料がJR北海道に入るしくみだ。
これらの再建策で、恐らくJR北海道の年間赤字額は100億を切るだろう。 となると、経営積立金の運用で何とか補填できる=政府が赤字補填の理由で支援金を出す必要がなくなる・・と言う事で、概ね再建が適うと考えるのだが。
更に、飛行機に完全に押さえられて見込みが全くなく、年間50億の赤字を垂れ流すシンカンセンは廃止するのも経営改善としては有効な手立てかもしれないね。 要するに、在来線と共存できない程の輸送量しかない地域では、『シンカンセン』は必要としないのである。 あっ、これで50億の赤字が消えれば、収支トントンになるかもね。
最後に、最終的な経営安定化は『再国有化』でしょうね。 今のJR東日本という分割民営化で発足した一企業に担わぜるのは賢いやり方だとは思えない。 つまり、余りにも頭の悪い救済策であるといえる。
それはJR東日本に経営統合される・・となるとJR北海道は『JR東日本・北海道支社』となる訳で、これは赤字を垂れ流す経営統合前と何も変わらないし、経営統合後に赤字が再び臨界点に達したなら、一企業のJR東日本は躊躇なくJR北海道の在来線を切る=赤字になったら在来線を切るという『先祖返り』となるからである。 経営再建に邁進させる為には、バックアップに不安がないように国が経営するのが最も妥当な手法なのである。
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