風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第196回  三江線・沢谷駅

路線の思い出  第196回  三江線・沢谷駅  〔島根県〕


沢谷駅
田舎の駅には温かい人の心がある

《路線データ》
       営業区間と営業キロ       輸送密度 / 営業係数(’16)    
      江津~三次 108.1km        46  /   1109
         廃止年月日             転換処置
          ’18/4/1      備北交通・大和観光・邑南町営・石見交通
                        など区間によって分担
運行本数(’17)
             江津~三次   下り2本・上り1本
             江津~石見川本 上り1本
             江津~浜原   3往復
             石見川本~三次 上り1本
             浜原~三次   2往復
             口羽~三次   1往復
      ※ 廃止日までの残り2週間は昼間便の浜原~口羽の通し運行を実施した
             江津~三次   下り4本・上り3本
             江津~石見川本 上り1本
             石見川本~三次 上り1本 
             江津~浜原   1往復
             浜原~三次   1往復

沢谷駅(さわだにえき)は島根県邑智郡美郷町石原にあるJR西日本・三江線の駅で、三次方面に向かって左側に単式1面1線のホームを持つ停留所規格の駅である。 ホーム上に待合室があるのみの無人駅(浜田鉄道部管理)で、入場時は直接ホームに入る形になっている。 自動券売機等の設備はない。

2014年度の1日平均の乗車人員は1人である。 2004年度は7人、1994年度は25人、1984年度は29人だった。 三江線の廃線に伴い、2018年3月31日限りで廃止予定。



今回は最近この項目で続いた『スチャラカ撮り鉄』とは違って、ちょっとした名所ガイドをメインとしてその最寄り駅として取り上げようと思う。


沢谷駅自体は何の変哲もない無人駅で
『撮り鉄』の対象とはなり辛い

まぁ、今回取り上げた三江線の沢谷駅であるが、路線のほぼ全線に渡って江ノ川に沿っていくこの路線で、唯一といっていい川から離れて内陸に入った所に所在する駅だ。 それに山里のコレと言って何もない小集落にコンクリートブロックの待合室があるだけの駅で、『撮り鉄する駅』としては成立し辛い殺風景な駅である。


『撮り鉄』するなら
隣の駅・潮の方が適している

撮り鉄するなら、江ノ川の畔にあって雄大な川風景を望める隣の潮駅とかの方がずっと適しているだろう。 なら、何でこの駅を訪ねたのかというと、この旅の主目的が’18年3月末限りで廃止の決まった三江線の全駅に立ち寄って、その様子を撮る事であったからだ。


『駅めぐり』でこの駅に立ち寄ったのが
この湯治のきっかけだった

その前に、沿線の駅では交換設備を持ち、閉塞区間を閉める”大きな駅”(と言っても無人駅だが)の浜原駅に立ち寄った際、駅に置いてあった小冊子に『浜原・沢谷散策マップ』というのがあり、「沢谷駅の周辺で野菜の無人市がありますよ」、「隠れた名湯治場・千原温泉」などと記載されていた。


潮駅の『撮り鉄』は
春の再遠征の課題だね

予定通り潮駅で三江線を『撮り鉄』し終えた後で、これよりは1日4往復しかないこの区間では膨大なヒマとなる。 昨日は風呂に入らなかった事もあって、この小冊子を見た瞬間に「千原温泉に行こう」って事になった。

その前に、この旅の主目的である『三江線の駅めぐり』を完遂すべく沢谷駅に立ち寄って駅をフイルムに収めるが、駅前に掲げてある《沢谷駅周辺案内板》には「この辺りは桜の名所で、駅前を通る県道は春になると桜街道となりますよ!」とあった。 春にも三江線めぐりを計画しているので、この時も訪ねてみたいな・・と。

その《沢谷駅周辺案内板》にもこれよりいく《千原温泉》の案内があって、「底板の間から湧き出る源泉に直接に入る事のできる『足元湧出源泉』という全国でも珍しい温泉で、切り傷・火傷・慢性皮膚病に効果があり」との事である。


千原温泉にあった
温泉施設の案内書き

コレを見て、ますます『温泉湯治』がしたくなったよ。 だが同時に、「でも、”地元いち押し”の温泉なら、〔日観連〕加盟の一軒宿旅館だろうな」という冷めた感情も抱いていた。 そう・・、一軒宿に宿泊している浴衣姿の泊り客を横目にすると、日帰り入浴はなぜか肩身が狭くなる。 なぁ~んか、貧富の差を感じるんだよね~。 こう感じるのは、やはり「いつも駅寝や車寝で、旅館なんぞには泊まった事がない」という自らの旅にコンプレックスを感じてるからなのだろうかね。

・・で、期待と冷めた感情の相反する二つの感情を抱いて、沢谷駅から4.3km離れた《千原温泉》に向かう。 途中から、同じく《千原温泉》に向かう車があって2台連なってゆく。 道は山奥に向かって続き、《千原温泉》の案内板の矢印に従ってこの先は行き止まりっぽい脇道に入って、その予想通りに山峡の行き止まりに建つ一軒家の所で道が途切れていた。 この一軒家が《千原温泉》であった。


道の行き止まりには
『ストライク』な一軒家の湯治場があった

でも、最初の「冷めた予想」である『〔日観連〕加盟の一軒宿』は、大いに予想をひっくり返してくれたのである。 昔ながらの素朴な湯治場で、その湯治場の雰囲気自体がワテをして『重要民俗文化遺産』だったのである。


その湯治場の雰囲気は
『重要民俗文化遺産』級のモノだった

そして温泉・・。 『足元湧出源泉』という浴槽の床板から直接湧き立つ源泉が炭酸ガスの湯気を立てていた。 泉温は体温より低い35℃程度で、入った瞬間は「寒い」であるが、10分程浸かると不思議にポカポカと温かくなってくる。


昔の湯治場そのままの温泉施設


35℃の人肌よりぬるい泉温なのに
湧き出る源泉の炭酸ガスでポカポカと温まる
※ いずれも地域温泉紹介のウェブサイトより拝借

風呂に入ると『カラスの行水』で、いつもすぐに洗い場にいってしまうワテであるが、この時は(洗い場もないし)20分以上湯船に浸かっていた。 先に入っていた地元の人っぽい爺さん達なんぞは、世間話をダベりながら1時間以上浸かっているみたいだ。 まぁ、ここの湯治スタイルは、この爺さんのような浸かり方なのだろうね。

・・で、湯から上がる時は、人ひとり浸かれる大きな瓶に加温した源泉を入れた五右衛門風呂の『上がり湯』に入って体温を保持してから上がるのである。


五右衛門風呂の『上がり湯』
壁には利用の『掟』が掲示してある

この『上がり湯』は女湯からも入る扉がある男女混合で、女湯から利用の場合はカーテンを閉めて利用するとの事。 なので、この扉は「男は触れる事を禁ズ」な扉で、この『上がり湯』を使う際は『レディファースト』で、カーテン越しに利用者がいないか呼びかけるノックする必要あるとの事である。
この『掟』を破ると、「今後当温泉への一切の出入り禁止」との事である。


一軒家の秘境の湯治場の玄関口
庄屋の門構えのようだ

風呂からあがってからも、温泉館の雰囲気の言い居間の休憩所とか、情緒豊かな暖簾とか、とにかくストライクな風情があった。 でも、温泉と言う事で写真を撮るのは控えたけど。 なので、これらの3つ画像は全てアェブの温泉紹介サイトからの借りモノです。


情緒豊かな暖簾をくぐると
秘湯の湯治場だ


風呂上がりの休息所
縁側に際した雰囲気の言い居間だ

ひと風呂浴びた後は、三江線沿線の全駅訪問と沿線にある『百名滝』の《常清滝》(三江線沿線の滝めぐりはこの旅の第2の目的なんだよね~)を訪ねて、この2泊3日の小さな旅を終える。




 








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No title * by hatahata
こんばんは。はじめまして。
沢谷駅は私の父の故郷なので以前は、よく帰省しました。駅も近かったのでよく行きました。千原温泉の近くに神社があり、秋祭りには石見神楽が披露さるました。廃止が決定したので今年の夏には訪問したいと思います。
突然の訪問、失礼致しました。

No title * by 風来梨
hatahataさん、こんにちは。

この沢谷付近は、三江線沿線でも桜の名所との事ですね。
残念ながら来年の3/31と、来年は桜の満開を待たずに廃線となる事が決定していますので、桜と撮るのは今年が最後となりますね。

・・で、来月に再訪しようかな・・って思ってます。
秋と冬も訪ねて、三江線の歳時記的な記事を書きたいな・・と思っています。

コメント






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こんばんは。はじめまして。
沢谷駅は私の父の故郷なので以前は、よく帰省しました。駅も近かったのでよく行きました。千原温泉の近くに神社があり、秋祭りには石見神楽が披露さるました。廃止が決定したので今年の夏には訪問したいと思います。
突然の訪問、失礼致しました。
2017-03-03 * hatahata [ 編集 ]

No title

hatahataさん、こんにちは。

この沢谷付近は、三江線沿線でも桜の名所との事ですね。
残念ながら来年の3/31と、来年は桜の満開を待たずに廃線となる事が決定していますので、桜と撮るのは今年が最後となりますね。

・・で、来月に再訪しようかな・・って思ってます。
秋と冬も訪ねて、三江線の歳時記的な記事を書きたいな・・と思っています。
2017-03-04 * 風来梨 [ 編集 ]