風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第266回  足摺海岸

『日本百景』 秋  第266回  足摺海岸  〔高知県〕


灯台と朝日を望む

  足摺海岸 あしずりかいがん (足摺宇和海国立公園)
北緯32°43′・・。 四国最南端の足摺岬とそれに続く海岸は、隆起性の海岸段丘で豪壮な断崖絶壁が連なった情景を魅せてくれる。

岬突端の高さ70~80mの切り立った断崖の上に足摺岬灯台が建ち、その下は黒潮がすざましい波しぶきを上げている。 それと、冬でも温暖なこの一帯は、亜熱帯植物の宝庫である。 ・・アコウ・ビロウ、この地特産のアシズリノジギクなどが、岬の周りを美しく飾っている。




足摺岬周辺地図


竜串周辺の景勝地・位置図

     行程表              駐車場・トイレ・山小屋情報
宿毛駅よりバス(0:55)→竜串より水中翼船型遊覧船で《見残し》めぐり・所要1時間半
竜串よりバス(1:00)→足摺岬(1:35)→中村駅


碧く美しい海が広がる
見残しの海岸

『足摺海岸』は岬だけではない。 いろいろと見どころがいっぱいの景勝地である。 もちろん、行程で立ち寄る景勝地以外にも見どころはいっぱいある。 だが、交通機関利用となると、1日や2日ではそうはめぐれない。 全てを訪れようとすれば、車が必要となるだろう。 
そして、それなりの日数も必要だ。 

“全てを訪れたい、でも時間が・・”というジレンマは、『日本百景』の全ての項目に当てはまる“永遠のテーマ”なのであるが。 それでは、私の旅の記録より、できる限り『足摺海岸』の魅力を伝えていこうと思う。

『足摺海岸』景勝地めぐりの出発点・宿毛駅からのバスは、できるだけ早い便に乗り込みたいものである。 ともすれば、前夜に宿毛に宿泊する位の心づもりが必要だろう。 さて、宿毛駅8:30に出発するバスに乗り込み、約1時間で《竜串》に着く。


竜串の海岸も
奇岩が敷きつめられている

まずは海岸線に出て、《竜串》との地名通りに竜の背骨のような奇岩・怪岩が連なる情景を見てみよう。 波と風の創造し芸術が、海に向かって広がっている。 柔らかい波の音に耳を傾けながら自然の創造し芸術を眺めて、船待ちのひとときを過ごそう。 やがて、《見残し》への観光船の出航時間となろう。 


竜串の“奇岩”は
比較的“端正”なものが多い

船は《見残し》に寄港せず、『宇和海海中公園』のシコロサンゴ群落をめぐる半海中潜水艇タイプと、《見残し》に寄港するタイプと2種類ある。 交互に30分毎の運行だ。 ここは迷わず、《見残し》に寄港する船を選ぼう。 ここまで来て『足摺海岸』の最大の見どころである《見残し》を見残すと、弘法大師の如く大変悔いが残る事であろう。 

《見残し》との地名は、弘法大師が《足摺》を訪れた際に、この景勝地のみ見残した故事より名づけられた・・との事である。 さて、《見残し》寄港の船は船底がガラス張りとなっていて、海中を眺めながら進んでいく。 


見残しに連なる
美しい海岸線

船は『宇和海海中公園』に指定されている海域を丹念にホバーリングしながら進んでいく。 シコロサンゴの群落や、彩り鮮やかな魚を見ながらの楽しい船旅だ。 約30分の乗船で、《見残し》に接岸する。 


まるで“生き物”のような
見残しの海食遺跡岩

さぁ、これより、《見残し》の景勝地めぐりを始めよう。 《見残し》は《千尋岬》周辺の奇岩奇勝群で、寄港地より1周約50分の遊歩道が設けられてある。 その説明は“百聞は一見に如かず”の言葉通り、とくと掲載写真を御覧頂きたい。 


見残し・ツツミ岩
なんともいえない奇妙な形だ


化石漣痕群が
千畳に敷かれた縞岩

ハチの巣状の穴が無数に空いた岩模様や様々な風化奇岩群、化石漣痕(海水による波模様の化石が隆起したもの・・)など、いろいろと魅せてくれる。 また、その岩々の性格に応じて“蛙の千匹連れ”・“らんま石”など、風貌と同じく滑稽な名前がつけられている。 


ラクダ岩
ラクダというより
空母の艦橋と飛行甲板のようだ


潮と風がおりなす彫刻

《見残し》海岸散策の後は、展望台に上がって《竜串》の美しい入江を眺めよう。 1周約50分だが、こんなに楽しい景勝地を時間通りに戻るなんてもったいない。 少し余裕を持って次の船便にしてもいいだろう。


海中展望塔・足摺海底館の入館券

《見残し》を見残す無念を晴らした!?なら、《竜串》に戻って『海底館』などを見学しよう。
『宇和海海中公園』に棲息する美しい魚達が、自由にその絵姿を魅せてくれるだろう。

スンマセン
魚の名前・・ 全く知りません

クッピー?
キス魚?


最も海の魚っぽいね


熱帯魚?

さて、午後を周ったなら岬へ行こう。 バスは、13時台の便が最適だろう。 バスでちょうど1時間で《足摺岬》に着く。 サンセットが海原に輝く夕暮れまで、岬の周辺を散策しよう。 まずは、ジョン万次郎の銅像が入口に立つ岬展望台へ。 ここは展望はすごぶる良いが、観光客の巣となっていて人の波が途切れないのが難点だ。 

次は岬灯台へ。 スラリとした白亜の灯台だ。 サンセットの瞬間は、この前の展望台(かなり狭い)がベストだろう。 遊歩道は更に続いていて、これに沿って歩いていく。 周りは椿林や、ビロウ・アコウなどの亜熱帯植物の並木道だ。

これを700m程行くと、日本でも最大級の海食洞門である《白山洞門》がある。 高さ60mの大岩礁に、直径30mの洞穴を刳り貫いた波の力はすざましい・・の一言である。 洞門に船が通過する瞬間を狙ってみよう。 これは、カメラコンテストの格好の作品となるだろう。 


残念ながら
船が洞門を横切る瞬間は
撮り逃したよ

帰りは車道に出て、亜熱帯植物園や四国霊場三十八番の札所・《金剛福寺》などに立ち寄って岬へ戻る。 夕日のシーンは先程の予告通り、灯台前の小さな展望台の前にいこう。 この小さな展望台の前で、水平線の先まで雲一つない好条件になる事をひたすら願おう。 もし、願いが叶ったなら(なかなか願いは通じないが)、海原を赤く染めての“ダルマさん”(夕日が海原に映りダルマのように輝く絶景)を望む事ができるだろう。 


残念ながら”ダルマさん”は
念願叶わず

初めて訪れてこれが叶ったなら、後は最終バスで中村駅へ戻るのみだ。 だが、願いが叶わなければ、朝日を狙うべくこの地でもう一泊したいものだ(こういう時、マイカー・レンタカー利用が望ましい)。


朝日と釣り舟
海の情景として撮りたかったもの

朝日は、岬の中央展望台より東側の方が眺め良いだろう。 中でも一番のお薦めは、中央展望台より遊歩道を東に歩いて7分の《天狗ノ鼻》だ。 人が群れる中央展望台を尻目に、一人でのんびりと灯台に朝日のシーンを望めるのだ。 


可憐に咲くアシズリノジキク

また、辺りに咲き乱れる可憐なアシズリノジギクも心を和ませる。 ここで海の朝景を思う存分味わったなら、ゆっくりと帰路に着こう。 バスは1時間に1本の間隔であるので、時間の心配は無用だ。

     ※ 詳細は、メインサイトの『足摺海岸』を御覧下さい。












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