2016-11-07 (Mon)✎
『日本百景』 秋 第265回 夜明島渓谷 その2 〔秋田県〕
十二単を纏い美しく
みちのくの滝めぐり みちのくのたきめぐり
(森吉山県立自然公園・十和田八幡平国立公園)
『みちのく』と呼ばれる所は自然の宝庫だ。 さして高い山はなく、深いV字谷を形成するような渓谷はないが、豊富な森林が清らかな水を育み、そして山奥に秀麗な瀑布を密かに掛けている。
(森吉山県立自然公園・十和田八幡平国立公園)
『みちのく』と呼ばれる所は自然の宝庫だ。 さして高い山はなく、深いV字谷を形成するような渓谷はないが、豊富な森林が清らかな水を育み、そして山奥に秀麗な瀑布を密かに掛けている。
だが、その神秘につつまれた滝たちを目にするのは容易ではない。
なぜなら、これらの滝たちが潜む“人知れずの地”へたどり着くまでに、山へ奥深くまで分け入らねばならないからだ。 時には沢を漕ぐ事や、鎖片手に大岩のへつりなどの困難が立ちはばかるのである。
だが、厳しい道のりを乗り越えた先には、神秘のベールをまとう美しき瀑布が心を虜にしてくれる事だろう。 目的を果たす為の道のりは長く嶮しいが、その先にある感動を求めて行ってみよう。
もちろん、装備や知識・体力などの準備を万端にして・・である。
だが、厳しい道のりを乗り越えた先には、神秘のベールをまとう美しき瀑布が心を虜にしてくれる事だろう。 目的を果たす為の道のりは長く嶮しいが、その先にある感動を求めて行ってみよう。
もちろん、装備や知識・体力などの準備を万端にして・・である。
夜明島渓谷 ルート詳細図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
鹿角市街より車(0:50)→夜明島渓谷入口(0:15)→泊滝(1:30)→クグリ滝
(0:40)→茶釜ノ滝分岐
※ 分岐より左の本流沢を行くと雲上ノ滝、右の支沢を行くと茶釜ノ滝 いずれも所要20分
茶釜ノ滝分岐(2:10)→泊滝(0:15)→夜明島渓谷入口より車(0:50)→鹿角市街
〔鹿角市街より盛岡市内へ約100km・車で所要2:30,秋田市内へ約125km・車で所要3:00〕
茶釜ノ滝分岐(2:10)→泊滝(0:15)→夜明島渓谷入口より車(0:50)→鹿角市街
〔鹿角市街より盛岡市内へ約100km・車で所要2:30,秋田市内へ約125km・車で所要3:00〕
※ 前回の『第264回 夜明島渓谷 その1』からの続きです。
夏にこの矢印を見逃した筆者は
秋にお得な思いをしましたが
秋に見落とすと来年まで
秋に見落とすと来年まで
待たねばなりませんのでご注意を
左の本流沢へ行くと《雲上ノ滝》で、右の支流沢へ入ると『百名滝』の《茶釜ノ滝》だ。
いずれも、この分岐から20分程である。 なお、沢に転がる岩には《茶釜ノ滝》へ誘導すべく右の支流沢へ赤ペンキの矢印が打ってあるので見落とさぬように・・(先にも記したように、これを見落とした筆者は《茶釜ノ滝》を見る事が適わず再訪を余儀なくされ、再訪した秋に素晴らしい情景に魅せられるという『お得』を味わったのであった)。
分岐を過ぎると
すぐに7m瀬滝の岩崖を登る
それでは、本流沢の《雲上ノ滝》から探勝してみよう。 ハシゴが転がり、一見進路であるような錯覚にとらわれる本流沢を行くと、すぐに瀬滝の左岸(右側)をロープとアングルで10m程よじ登る。
後は河原を伝っていくと、落差60mの大瀑布《雲上ノ滝》が正面に行止まりを示すが如く発ちはばかっている。
滝つぼは流木などが横たわっていて
あまり見栄えが宜しくない
あまり見栄えが宜しくない
滝前は気象災害で凪ぎ倒された流木が岩と積み重なり、やや荒れている。
だが、上部の秋色はまた格別だ。
滝の上に秋が輝いていた
この滝は滝つぼは荒れているようなので、一歩下から見上げる方がいいようだ。 また、《大場谷地》からの山道ルートの登路もあるので、途中まで登って上から滝を見下ろすのもいいだろう(図らずも筆者は道を間違えてこの登路を登ってしまい、想定外の《雲上ノ滝》の俯瞰を体験したのであった)。
十分に《雲上ノ滝》を楽しんだなら、往路を分岐まで戻ろう。
道を間違えると損もするけど
得をする事もあるのデス
これを諺で「急がば周れ」と表します
これを諺で「急がば周れ」と表します
↑
違ったかな?
分岐まで戻って、岩にある『判り辛い』(※発見できなかった筆者がそう思っただけ)赤ペンキの矢印に従って、右の支流沢に入っていく。 支流沢に入って100mもせぬ内に、《茶釜ノ滝》の前衛滝である《茶筌ノ滝》が滔々と白布を掛けているのが見えてくる。
分岐を支流に進路を取り
100mも進むと
前衛の茶筌ノ滝が見えてくる
前衛滝の茶筌ノ滝
以前はその後ろにショボイ旧ハシゴが垂れ下ろされていたが、最近《茶筌ノ滝》のすぐ側に新しいハシゴが設置されている。
放置された旧ハシゴ
ショボかった
この新しいハシゴはシッカリしているが、ハシゴの設置位置がほぼ垂直の崖の為に高度感は旧ハシゴより大だ。 また、ハシゴの長さが短く、何回かハシゴの横移動を強いられるようになった。
即ち、新しく取り換えられた割には、“シッカリした”という以外にメリットの見出せない新ハシゴである。
即ち、新しく取り換えられた割には、“シッカリした”という以外にメリットの見出せない新ハシゴである。
取換えられた新ハシゴ
高度感は旧ハシゴ以上
馬ノ背までは旧ハシゴが
傾斜に敷かれている
これを登りつめると、旧ハシゴが滝前の馬ノ背の坂を埋めるように敷設されている。 馬ノ背は粘土質の土砂崖で滑り易く、旧ハシゴを滑り止めにして登っていく。 これを登りつめると馬ノ背上のテラスから名瀑《茶釜ノ滝》が滔々と白布を掛けている。
十二単の衣を纏った名瀑が
滔々と白布を掛けていた
その際に赤や黄色に彩られた紅葉が滝を絢爛絵巻に彩っている。 その姿は十二単を纏う絵姿を彷彿させる。 もう言葉では上手く表現できそうもないので、拙い写真で私の感じた思いを記す事にしよう。
それでは、しばし錦絵巻きをごろうじろ。
緑・赤・黄色・橙の紅葉に
白布の白と滝壁の銀色の斑が織り成す絶景
絢爛たる錦絵巻に酔いしれて
落水の白銀の帯と
花火のような紅葉の点々
滝の落ち口にも秋があった
鮮やかな色の帯が縦に描かれて
絢爛たる錦の絵姿を魅せられて
しばし我を失う
本当に美しい情景だからこそ
“本物”(フイルム)で撮って
その証を手元に残したい
いつまでもこの情景に酔いしれて
いたいがそれは適わぬ事
そろそろ帰路に着こうか
帰りは往路を戻っていくだけだが、往路で容易だった所が帰りは下りとなって難度が増す事もある。
また、帰りを焦って思わぬ転倒や躓きなども有り得る。 だが、あまりモタモタしていると、限られた旅行時間のタイムオーバーともなりかねない(特にレンタカー利用の場合は、返却時間が気になってしまう事であろう)。
また、帰りを焦って思わぬ転倒や躓きなども有り得る。 だが、あまりモタモタしていると、限られた旅行時間のタイムオーバーともなりかねない(特にレンタカー利用の場合は、返却時間が気になってしまう事であろう)。
沢の流れ中にも秋絵巻があった
時間配分・自らの体力を考慮したペース配分をしっかりと把握し、街までの帰りの所要時間を計算して余裕ある行程計画を立てて頂きたい。 最後の最後で、楽しく美しい思い出が苦く痛い思い出に変らぬように。 余裕を持って、最後の最後まで美しい情景を目一杯味わいたいものだ。
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No title * by 小幸
風来梨さんの訪問当時は左谷の滝を雲上の滝と言ってたんですね、今回の看板は白雲の滝60mとなり、茶釜の滝100mの上の滝を雲上の滝20mと書かれていました・・・名前変えちゃうんですね~ビックリです。
No title * by 風来梨
小幸さん、こんばんは。
>風来梨さんの訪問当時は左谷の滝を雲上の滝と言ってた
これは興味津々と、早速ルットで調べてみました。
すると、ほぼ全ての夜明島渓谷訪問者の方が「雲上ノ滝」と言ってましたね。 夜明島渓谷入口にあった旧看板には、”雲上ノ滝”と記されていましたし。
恐らく・・ですが、茶釜ノ滝上に新たな滝が認知されて、茶釜ノ滝上=雲上に相応しいとして名前変えされたか、旧案内板の記載が間違っていたか・・ですね。 新しい案内板が間違い表記っていうのは考え辛いし。
でも、落差60mの大瀑布たるあの滝は、『白雲』より『雲上』が相応しいと思いますね。
>風来梨さんの訪問当時は左谷の滝を雲上の滝と言ってた
これは興味津々と、早速ルットで調べてみました。
すると、ほぼ全ての夜明島渓谷訪問者の方が「雲上ノ滝」と言ってましたね。 夜明島渓谷入口にあった旧看板には、”雲上ノ滝”と記されていましたし。
恐らく・・ですが、茶釜ノ滝上に新たな滝が認知されて、茶釜ノ滝上=雲上に相応しいとして名前変えされたか、旧案内板の記載が間違っていたか・・ですね。 新しい案内板が間違い表記っていうのは考え辛いし。
でも、落差60mの大瀑布たるあの滝は、『白雲』より『雲上』が相応しいと思いますね。