風来梨のブログ

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日本の滝を訪ねて 第146回  魚止ノ滝

日本の滝を訪ねて  第146回  魚止ノ滝  〔長野県〕


山岳地図にしか載らない大瀑
魚止ノ滝

   魚止ノ滝  うおどめのたき  落差 50m 長野県・大町市

 滝へのアプローチ  餓鬼岳・白沢登山口より白沢の2km上流

今回取り上げる魚止ノ滝は、北アルプス・常念山系の餓鬼岳に至る白沢登山道に所在するので、この餓鬼岳の登山と共にガイドする事にしよう。 なお、この項目では魚止ノ滝までを取り上げ、続く餓鬼岳へは次回アップ予定の記事『日本百景 第261回 餓鬼岳』で取り上げたいと思う。




餓鬼岳・白沢登山ルート 詳細図

    行程表             駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR信濃大町駅よりタクシー(0:30)→白沢登山口(1:30)→魚止ノ滝
     (0:30)→白沢・最終水場(2:30)→大凪山(2:30)→餓鬼岳小屋
      ※ 餓鬼岳小屋より餓鬼岳山頂まで所要5分
《2日目》 餓鬼岳小屋(2:00)→大凪山(2:00)→白沢・最終水場
     (1:45)→白沢登山口よりタクシー(0:30)→JR信濃大町駅


夕日にほのかに染まる
餓鬼岳頂上部

  《1日目》 白沢登山コースより餓鬼岳へ
この項目では、北アルプスの中でも最も標高差が大きく、かなりの健脚向けの峰である餓鬼岳 2647メートル に登ってみよう。 登山口から山頂までのこの山の標高差は1650mにも及び、北アルプス山域の単体の山では断トツの標高差を示している。 数値が示す通り、この峰を極めるにはかなりの体力を要するのである。

ちなみに、最盛期を過ぎて体力が落ちる一方の筆者は足が続かず、休憩を取りまくって登りで10時間、下りで8時間半かかっている。 まぁ、これは筆者の心がけがなってないからなのであるが、それを差し置いてもガイドなどで示すコースタイムの登り6時間半・下り4時間半では難しいコースであろう。

だが見た所、空身で日帰り往復を計画する登山者がかなり多いようだ。 体力があれば何とかなるのかもしれないが、この山で日帰り山行を実行するとなると、上記に挙げた『ガイド等でのコースタイム』を切らねば無理となるのである。

そして、このコースタイムをクリアしたとしても、山頂での滞在時間は10~15分程度と、何を楽しみに山に登っているのか問いたくなるような内容の山行となってしまうだろう。 この『日本百景』では山岳風景を愉しみ、ゆとりある旅を味わう事を目的としているので、ここは是非とも山中1泊形態の行程で進めていきたいと思う。 それでは、山旅を始めよう。


第一難関の大凪山を
正面に見て登高開始

筆者の所要10時間は日頃の鍛錬不足など『心がけ』がなっていない事として差し置くとしても、前述の如くかなりの健脚ルートである。 これは、駅に着いて・・や、マイカーで登山口に着いての引き続きの登山開始では、タイムオーバーとなってしまうのが目に見えているのである。

要するに、所要時間が大きいこのコースでは、早朝の夜明けと同時に登り始める事が必須となるのである。 従って、行程表では『引き続き』のように記してあるが、前夜までに登山口までアプローチしておく必要がある。 だが、登山口には宿泊施設は皆無で、マイカー車内泊かテントを持ち込んでの登山口での幕営となろう。

ちなみに、筆者は後者の前夜登山口でのテント幕営をしたのであるが、これはこの厳しいコースをテント一式担ぎ上げる事が課せられる事となるので、登山口のアプローチ手法に関しては事前に考慮願いたい。
さて、夜明けとともに出発がベストだろう。 筆者の訪れた秋はAM6時頃が夜明け時である。

舗装された車道の終点に車が数台駐車できるスペースがあり、そこが山道への入口となっている。
ここには工事現場などでよく設置される簡易設置トイレが置かれているが、設備はこれだけである。

山道の入口に入り、数分歩くと案内板の立つ登山道入口に出る。 登山道入口は一見すると行き止まりの袋小路状になっているが、案内板の脇の細いルンゼ状の桟道が下に延びている。 これを下っていくと、程なく清らかな流れを示す白沢の前に出る。 これより、山への取付点まで沢を遡っていく。 最初は沢に架かる桟橋もしっかりしていて難なく沢を伝っていけるが、徐々に切り立った沢の両岸が迫ってきて函状をなしてくる。


やや荒れた沢をいく
最初は桟橋もしっかりしている

このようになってくると、沢のヘツリのトラバースや吊りハシゴ(吊り下げてあるだけの不安定なハシゴ)など、沢遡行の様相を呈してくる。 これは行きは体力もまだまだあって問題ないが、帰りはそれなりに疲れて足元が覚束なくなっているだろうから、帰りは通過がかなり厳しいのである。


沢を伝っているうちに
周囲が朝日に照らされてきた

沢遡行の途中では支沢が流れ込む所が6ヶ所あり、いずれも跨ぎ渡るが、この渡渉点の全てに『水場』表示があり、いずれも水場となっているようだ。

前述の函状のトラバースと吊りハシゴを越えると、大岩が転がる沢床の荒れた所に出る。 時折大岩を乗り越えたりしながら進んでいくと、落差50m超のストレートの大瀑が滔々と白布を掛けているのが見えてくるだろう。 《魚止ノ滝》である。


沢をつめていくと百名滝にも
退けを取らない大瀑布が現れる

滝の姿は100名滝にも退けを取らない勇壮な滝で、その名の通り沢を遡る魚を止める滝なのであろう。 なお、この滝の手前に《紅葉ノ滝》があるのだが、沢ヘツリの通過に気を取られてハッキリとは確認できなかった。

《魚止ノ滝》の手前まで荒沢状の河原を伝うと、滝の右岸(滝の左側)をつづらを降りながら登っていく。 つづら折りの折り返し点に滝の案内札が掛かり、ここが滝の展望台となってるようだ。
だがこの展望台からは滝の下部が見辛く、この滝を望むなら下の荒れ河原から見上げる方がいいだろう。


もっとじっくり撮りたかったが
この山の行程ではムリというもの

《魚止ノ滝》を越えると沢は滑滝状となり、その右岸に架けられた桟橋を伝っていく。
なお、これらの桟橋は、かなり古いタイプのモノで桁の破損が多くあり、通過時には桟橋の桁の踏み外しに注意したい。

沢の右岸を伝っていくと、勢いよく流れ落ちる6つめの支沢を桟橋で渡る。 
橋を渡った袂にはテント3張位の土場スペースがあり、桟道の木材を積んでベンチとした休憩場となっている。 ここが『最終水場』である。 標高は1500m、登山口から1/3弱登ってきた事になる。


朝の光が彩る秋を照らしてくれた
さぁ・・これよりキツい登に挑もう

これより山腹に取り付いて急登していくのだが、ルート上の水場はここが最終となるので、重く感じても水筒に行動水を補給しておく必要がある。 これから大凪山までの600mと、餓鬼岳への500mの強烈な登高が待ち受けているのだから。

  ・・続く行程は、次回の『日本百景 第261回 餓鬼岳』を御覧下さい。

    ※ 詳細は『日本の滝を訪ねて』より、『魚止ノ滝』を御覧下さい。


















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