2016-09-25 (Sun)✎
名峰次選の山々 第123回 『177 広河内岳 その3』 静岡県・山梨県
白峰南嶺(南アルブス国立公園) 2895m コース難度 ★★★ 体力度 ★★★★ のハズ
こうして、〔名峰次選〕踏破は翌年へ先送りとなってしまった。 その広河内岳への『ファイナルアタック』であるが、「やっはり」というか「またもや・・」というか、キッチリ『オチャメ』をカマシているのである。 それは、もう『遭難フラグ』立ちまくりであった。 それでは、その『オチャメ』を含めての〔名峰次選〕ファイナル踏破への道を語っていきましょうか。
今回は、そのクライマックス!?の『ファイナル峰踏破編』でっす。
誰も目指そうとはしない峰の頂で
達成した歓びを一人しみじみと味わおう
達成した歓びを一人しみじみと味わおう
メインサイトの山行記
『数えて5度目の正直 ようやく”ファイナルアタック”へ・・』より
《アプローチ》 今回はさすがに敗退は許されないので
『安全パイ』ルートで行く事にしよう
前回、『死亡フラグ寸前の遭難フラグ』という『オチャメ』をカマシて敗退したので、今回は何度も通った事のある北岳周りで行く事にしよう。 要するに、『安全パイ』ルートで確実に『ファイナル峰・広河内岳』を仕留めよう・・って事である。
前回、『死亡フラグ寸前の遭難フラグ』という『オチャメ』をカマシて敗退したので、今回は何度も通った事のある北岳周りで行く事にしよう。 要するに、『安全パイ』ルートで確実に『ファイナル峰・広河内岳』を仕留めよう・・って事である。
それに前の『オチャメ』でナーバスになっていて、「金かかっても、全泊山荘泊まりにするか」と悲壮な考えをもたげていた位である。 でも、宿泊費を合計すると6万円を超えるのが判明して自重する気になったよ。←自重するキッカケは金かよ
その北岳への基点である《広河原》であるが、何も遠い甲府周りでなくてもよい訳で、戸台から伊那市営(旧 長谷村が伊那市に編入)と南アルプス市営(こちらも旧 芦安村が合併統合で南アルプス市になった)の『南アルプス林道バス』を乗り継いで《広河原》にアプローチするのが一番近く、なおかつ最も安いのである。
・・で、今日は昼前の《戸台》発の《北沢峠》行きのバスに乗って、《北沢峠》で南アルプス市営バスに乗り継いで広河原にアプローチする『移動日』で時間的にも余裕があるので、旧 高遠町(ここも伊那市に併合された)にあるクアハウスで風呂に入る余裕もあったよ。 「余裕ある行動に『オチャメ』なし! でも筆者(タワケ)を除く」の格言通り、何事もなく広河原山荘横のテント場に着く。 今日は、明日に備えてテント場で惰眠を貪ろう。
その北岳への基点である《広河原》であるが、何も遠い甲府周りでなくてもよい訳で、戸台から伊那市営(旧 長谷村が伊那市に編入)と南アルプス市営(こちらも旧 芦安村が合併統合で南アルプス市になった)の『南アルプス林道バス』を乗り継いで《広河原》にアプローチするのが一番近く、なおかつ最も安いのである。
・・で、今日は昼前の《戸台》発の《北沢峠》行きのバスに乗って、《北沢峠》で南アルプス市営バスに乗り継いで広河原にアプローチする『移動日』で時間的にも余裕があるので、旧 高遠町(ここも伊那市に併合された)にあるクアハウスで風呂に入る余裕もあったよ。 「余裕ある行動に『オチャメ』なし! でも筆者(タワケ)を除く」の格言通り、何事もなく広河原山荘横のテント場に着く。 今日は、明日に備えてテント場で惰眠を貪ろう。
《1日目》 何度も通ってる道で何で間違うかなぁ・・
最近、朝4時台に出発するのができなくなってきている。 やっぱり、歳を取ると共に行動力が減退してるからだろうね。 今日は長丁場故にできるだけ早く出発したかったのだが、いつもと同じ5時半が限界でした、ハイ。 広河原山荘脇にある登山口より登っていくが、何か違和感がある。
最近、朝4時台に出発するのができなくなってきている。 やっぱり、歳を取ると共に行動力が減退してるからだろうね。 今日は長丁場故にできるだけ早く出発したかったのだが、いつもと同じ5時半が限界でした、ハイ。 広河原山荘脇にある登山口より登っていくが、何か違和感がある。
登れども登れども沢や砂防ダムが現れないのだ。
確かこのルートは沢に出て、遠くにそびえる《八本場のコル》を見ながら登っていくハズだったのだが。 でも、登れば登る程に森の中に分け入っていき、挙句の果てには沢とは最も縁遠い『木のハシゴ』が現れる始末であった。
前を行く人も「沢が現れない」事を訝りながら歩いていたようで、ワテに「道が間違っていないか」訪ねてきた。 ワテもこの御仁と同じく訝っていたので答えに困ってしまったが、その時他の登山者が「このルートは御池小屋のルートだ」と教えてくれたのである。 つまりこのタワケは、これまでで3度も通りながら《大樺沢》への道を見逃したのである。 でも、この間違いは「30分の遠回り」の被害のみで、実質的には影響はないのであるが。
やがて、コースタイムより30分早い2時間で白峰御池小屋前の広場に着く。 今日は『日本晴』といっていい程の好天で、北岳バットレスや草スベリの急坂を登る登山者の姿が見渡せる。 図らずも道を間違えて始めて白峰御池ルートを通ったが、「これは行きの登り時ではなく、下りで間違うべきだった」と3日後の下山日に思う事になる。 それは、このルートが土の道床で目立った浮石もなく歩き易いからである。
前を行く人も「沢が現れない」事を訝りながら歩いていたようで、ワテに「道が間違っていないか」訪ねてきた。 ワテもこの御仁と同じく訝っていたので答えに困ってしまったが、その時他の登山者が「このルートは御池小屋のルートだ」と教えてくれたのである。 つまりこのタワケは、これまでで3度も通りながら《大樺沢》への道を見逃したのである。 でも、この間違いは「30分の遠回り」の被害のみで、実質的には影響はないのであるが。
やがて、コースタイムより30分早い2時間で白峰御池小屋前の広場に着く。 今日は『日本晴』といっていい程の好天で、北岳バットレスや草スベリの急坂を登る登山者の姿が見渡せる。 図らずも道を間違えて始めて白峰御池ルートを通ったが、「これは行きの登り時ではなく、下りで間違うべきだった」と3日後の下山日に思う事になる。 それは、このルートが土の道床で目立った浮石もなく歩き易いからである。
北岳バットレスと青空
お花畑の草付が
あの有名な”草スベリ”
あの有名な”草スベリ”
さて、この白峰御池小屋からであるが、シンドそうな草スベリの急登は「もちろんパス」して、トラバース道を伝って大樺沢の二俣へ。 ここは肩ノ小屋へ至る右俣ルートと八本歯ノコルへ直登する左俣ルートとの分岐点で、15年位前の環境保全が叫ばれてから簡易トイレが設置されている所だ。 思えば、トイレの無かった頃から、随分と様変わりしたような気がする。
それは以前のこのルートが大樺沢の『雪渓ルート』と呼ばれた雪渓登高を含むルートで、この二俣の上部から雪渓の登高となっていたのだが、今は脇の左岸(雪渓の右側)に延々と瓦礫を切り開いた道が続いていて、雪渓には一切入らないみたいである。
それは以前のこのルートが大樺沢の『雪渓ルート』と呼ばれた雪渓登高を含むルートで、この二俣の上部から雪渓の登高となっていたのだが、今は脇の左岸(雪渓の右側)に延々と瓦礫を切り開いた道が続いていて、雪渓には一切入らないみたいである。
そして、その雪渓も夏のお盆時とは言え、最上部に僅かに長さ200m程の雪田状に衰退してヘバリ着くようにして残っているのみだった。 たぶん、近年の地球の温暖化や集中豪雨の多い異常気象などが影響して、雪渓が大規模に形成されなくなってきているのだろう。
地球の温暖化や集中豪雨などの異常気象が
雪渓の規模を削っていく
雪渓の規模を削っていく
雪渓からの涼しい風を期待していたのだが、盛夏の熱風と照り付ける日差しと、瓦礫の登高でヘタリが早まる区間となったよ、この登りは・・。 白峰御池小屋まで順調に段差を踏みしめ登高していた足は、すぐさま筆者と同じ素養の「ヘタレ」へと堕ちていく。
そこに、『キング・オブ・ヘタレ』である筆者の上半身のメタボッティが更なる「ヘタレ」を要求するもんだから、足も刃向かう訳にはいかず従順に動かなくなってくる。 これが、タワケた筆者特有の「気から入るヘタレバテ」である。
このバテの特徴は宿主の心の持ち様次第で現れる症状なので、あまり翌日に尾を引かない『利点』があるが、バテている間は「ブチブチと『過去の栄光』を嘆き悲しんで鬱陶しい事この上ない」というリスクを負うのである。 そして最大のリスクは、ブチブチと『過去の栄光』を嘆き悲しんでいる間は『ほとんど前に進まない』という事である。
北岳バットレスの大岩壁が
青空に突き上げて・・
大樺沢二俣に着いたのが8時半位だったのが、みるみる内に時計の針が進んで八本歯のコルに着いたのは正午を周っていたよ。 我が『過去の栄光』である『奇跡の体力』を保持していた頃は、同じ時間に同じ重量の荷物を背負って広河原を出発しても、10時には八本歯に登り着いていたのだが・・。 そして、この八本歯に登り着く頃から、空が急速に陰りだしてきたよ。
八本歯ノコルに登り着いて鳳凰三山を望んだ数分後
天候がドス曇りに急変した
天候がドス曇りに急変した
時間の超過と慢性的な『気からくるヘタレ』という持病に加えて、雨も降りだしそうな怪しい空となり、そして歳を食うと共に『後回し』の美学に心をワシづかみにされたタワケ(筆者)が決断するのは早かった。
その決断は、「北岳は帰りに通るので、行きはパス!」って事である。 八本歯からの岩塔登りはハシゴ登りが連なるのだが、下山のオバちゃん登山者の集団がワテの免許皆伝ワザである『必殺・クマ下り』を駆使して降りてくるよ。 その様相は他の『急ぎたい』登山者にはイライラの元なのであろうが、ワテにとっては『ダラケ休憩』を取るまたとない口実を得ると共に『免許皆伝ワザ・クマ下り』の登山界への拡散を喜び、その亜流作法を研鑽する「いい機会」だったよ。
・・でも、ここでも無駄な時間経過のリスクが覆い被さり、北岳山荘へのトラバースルートへ差しかかる時にはポツポツと雨が降り出してきたよ。 でも、北岳をパスった手前、このトラバース道のお花畑は無視できず、ポツポツ雨の中で花の接写で更に時間を潰す。
・・でも、ここでも無駄な時間経過のリスクが覆い被さり、北岳山荘へのトラバースルートへ差しかかる時にはポツポツと雨が降り出してきたよ。 でも、北岳をパスった手前、このトラバース道のお花畑は無視できず、ポツポツ雨の中で花の接写で更に時間を潰す。
ナデシコ
最近はザックを下ろすのも面倒臭いので、背負ったまま撮る事が多くなったな。 こんなズボラかまして『それなり』の写真が撮れるのだから、筆者はタワケではあるが相当な悪運を持っているのだろうね。
キジムシロ
・・で、以前は北岳を往復しても山荘前には昼過ぎには到着したのだが、今は北岳をハショってショートカットルートを通っても、着いたのは14時半だったよ。 実に9時間・・。 『奇跡の体力』のあの時より3時間以上かかってるよ。 今日は、この無残な現実を儚んで、枕となる合羽(テント泊の時、枕は合羽巻きなの)を涙で濡らしましょうか。
テント場は、以前の間ノ岳がそびえる高台ではなく、建設に億の金がかかったバイオトイレの前に移設されてたよ。 トイレには近くなったけど、展望はかなり殺がれてしまったね。
さて明日は、いよいよ4回もハグらかされるなど2年越しの『ファイナル・アタック』だ。
さて明日は、いよいよ4回もハグらかされるなど2年越しの『ファイナル・アタック』だ。
前述した通り、今日も患った『気からくるバテ』は明日には持ち越さないので、何とか『5度目の正直』はなるだろう。 まぁ、ならなければ、何かと理由をつけて『6度越しの制圧』を目論むだけだしィ。←こういう反省しない所が、この筆者(タワケ)の成長しない所以なのですな。
〔名峰次選〕ファイナルアタック
《2日目》の行程図
《2日目》 しみじみと達成を味わうのもいいもんだ
昨日のポツポツ雨はさして大きく崩れる事はなく、夜半過ぎには満天の星空となっていたようだ。
昨日のポツポツ雨はさして大きく崩れる事はなく、夜半過ぎには満天の星空となっていたようだ。
朝も日の出は昨日の残り雲に遮られて今イチだったものの、空が明るくなっていくと共に爽やかな青空が広がる登山日和となってきた。
ファイナル峰・広河内岳へは
間ノ岳・農鳥岳という”サミット”を
間ノ岳・農鳥岳という”サミット”を
越えていかねばならない
昨日にキッチリとバテて余分な血糖が抜けたせいか、今日は何か調子がいい。
今朝目にして「ウェ~」と思った間ノ岳への稜線の道でも息が上らないよ。
鶴翼の如くに主稜線を広げる
巨大峰・間ノ岳
まぁ、最盛期の『軌跡の体力』の時は、見る人にして「走っているかの様・・」との驚嘆の声をもらっていたのは藪の中に。 ・・で、花を撮りながらも間ノ岳まで、久々の登りでのコースタイム切りを達成。
まぁ、10分程だけど。
スラリとした三角錐を魅せる北岳
天気上々の間ノ岳の頂上でスラリとした三角錐を魅せる北岳や、これより向かう農鳥岳の山塊などをカメラに収めて苦手の下りに臨む。 間ノ岳の頂上から見た農鳥岳の山塊は大して離れておらず、地図に記載された農鳥岳までのコースタイム2時間半は『噛ませ』にも感じる。
農鳥岳へのプロムナード(山游の道)
が視界に入る
そして、かつての『奇跡の体力』の時には農鳥岳まで2時間を切っていた(ホントだよ!)事もあり、今日は体調も良くて間ノ岳までコースタイムを切った事もあり、かなりお花畑な妄想の中にいたのである。
コースタイムを切った事で増長したタワケの妄想は
このトウヤクリンドウのように真に花開こうとしていた
このトウヤクリンドウのように真に花開こうとしていた
それは、「コリャァ、広河内岳に11時には着いてしまうよ」という、コースタイム1時間以上ハショリの広大な『脳内お花畑』である。 だが、これより400m下って300m登り返さないとならないのだ。
しかし、かつての『奇跡の体力』が『メタボ脂肪』に変わっている事を完璧に忘却している恐ろしき『忘却力』の前では、目の前のアップダウンが「Not of 眼中」となっていたのであった。
だが、「下り始めて判る・・ 己の下り技量の下手さ」が、下り始めて10分も立たぬ内に『お花畑』から
現実に引き戻してくれた。 願わくば・・ いつまでも夢の中に居たかった・・のだが、ザクザクの礫石に
乗って『オーバースリップ』←ダウン(転倒)の手前の状態をして、我に返る。
現実に引き戻してくれた。 願わくば・・ いつまでも夢の中に居たかった・・のだが、ザクザクの礫石に
乗って『オーバースリップ』←ダウン(転倒)の手前の状態をして、我に返る。
下っている時は気付かなかったけど
芸術的な岩峰がアチラコチラに
芸術的な岩峰がアチラコチラに
『オーバースリップ』状態で踏ん張った為に、かつての『奇跡の体力』が『メタボッティ』に変わったタワケをして、『本日の持久体力の相当数』をこの踏ん張りで消費してしまったのである。
・・で、後に残るはズル滑りを恐れて足が出ず、農鳥小屋までの下り1時間のコースタイムを1時間30分もかかってしまったのである。
そして、下り始めに「広河内岳に11時・・」と『お花畑』に浸っていたが、ここでテントを張って水を購入(『メタボッティ』の今は、水場まで往復30分を歩く根性はない)しなければならないのだ。
この一連の動作で30~40分はかかるのだ。
それに加えて、下りでコースタイム30分オーバーに気が萎え、危うく「広河内は明日にして、今日はこ
こでストップ!」という毒気タップリの『黒雲』に呑まれる所だったよ。 まぁ、『メタボッティ』に変わって、元から人一倍あった「自分の気持ちに素直に従う」行動が更に磨かれたからねぇ。
でも、その『黒雲』を吹き飛ばさねば、下手すると『5度目正直』が『6度越しの制圧』になっちまうのである。 だから、「テントを建てる際には、絶対に中で寝転がらないようにしよう」と心に誓う。
寝転がってしまうと筆者(タワケ)の性質上、そのまま起き上がる事が出来ずに「今日は御臨終」とな
る事必至だったからである。 要するに、このタワケはそこまで『ダメな子』なのである。
そのデンジャラスシーンは、テントを張って中にテントマットを敷く時である。 テントマットを広げる時に身体を這ってしまうと、筆者(タワケ)をして「今日は終了」のスイッチが入るのである。
だから、タワケなりに「このような落とし穴に落ちぬ様」考えたよ。
そして、この『落とし穴』にハマらぬ一つの完璧な答えが導き出されたのである。 それは、「テントマットは広河内岳から帰って来てから敷こう!」という事だ。 これは石を投げられかねない『答え』だが、この時の筆者は真剣に「これで『黒雲』は払いのけられる」と思っていたのである。
そして、この『落とし穴』にハマらぬ一つの完璧な答えが導き出されたのである。 それは、「テントマットは広河内岳から帰って来てから敷こう!」という事だ。 これは石を投げられかねない『答え』だが、この時の筆者は真剣に「これで『黒雲』は払いのけられる」と思っていたのである。
ファイナル峰・広河内岳への行程図
さて、何とか『6度越しの制圧』への先延ばしの誘惑を振りほどいて、水とカメラと合羽だけの空身で西農鳥岳の登りに取り付く。 西農鳥岳は本峰の農鳥岳より25m高い標高3051m。 だが、登りは急ではあるが素直で、割とハイペースで登っていけた。 上り50分のコースタイムを40分で登りきって、西農鳥岳の裏側に移る。
西農鳥岳から農鳥岳の間で
行く手を阻むが如くガスが涌き出してきた
行く手を阻むが如くガスが涌き出してきた
ここから山塊の裏側を伝って40分で農鳥岳だが、この山塊の裏側は雪触を受けたのかガチャガチャの岩場の上下で、この区間を伝った感想を声を大にして言おう。 「絶対40分では無理!」と。
「行き帰りとも63分(偶然にも往路復路同タイム)かかったよ!」
『間ノ岳の下り』に続くビッグな『タイムオーバー』に、農鳥岳の頂上では心が折れかかったよ。
『間ノ岳の下り』に続くビッグな『タイムオーバー』に、農鳥岳の頂上では心が折れかかったよ。
「農鳥から広河内までの往復にコースタイムで2時間半」、「道が嶮しければ、3時間以上だな」、「グズグスしてると、カンテラかざして夜道歩きになりかねんわ」と、”疲れたオッさんモード”に入っちまったよ。
まぁ、ブチブチ言っても仕方がないので、北岳の三角錐(農鳥岳から魅る北岳が最も”三角錐”だと思う)をカメラに収め、取り敢えず目標を「日没までにテントに戻る」に下方修正して農鳥岳を発つ。
まぁ、間ノ岳の頂上で「11時までにホニャララ・・」と寝言を垂れていてたので、現実的にもその修正は必至だよね。
さて、農鳥岳からは、思ったよりも歩き良いなだらかな下り坂がくのだが、同時に二重山稜のようになっていてルートはその谷間に続いていて、周囲にはクレーターのような谷間が散らばっているので、間違えて変な谷間に迷い込みやすい、つまり道をロストしやすいのである。
まぁ、間ノ岳の頂上で「11時までにホニャララ・・」と寝言を垂れていてたので、現実的にもその修正は必至だよね。
さて、農鳥岳からは、思ったよりも歩き良いなだらかな下り坂がくのだが、同時に二重山稜のようになっていてルートはその谷間に続いていて、周囲にはクレーターのような谷間が散らばっているので、間違えて変な谷間に迷い込みやすい、つまり道をロストしやすいのである。
それにメインルート過ぎる為か、思ったほど『ピンクリポン』がないのである。 まぁ、冷静さを失わなければ道を外す事はないと思われるが・・って、ここでもキッチリハイマツの茂るクレーター状の谷に入り込んで道をロストしかけたタワケなのであるが。 しかも、その迷い込んだクレーター状の谷の入口の左側の足元に、背丈の低い杭のような道標もあったりして。
ファイナル峰・広河内岳は
農鳥岳以南の白峰南嶺と呼ばれる山群の最高峰だ
農鳥岳以南の白峰南嶺と呼ばれる山群の最高峰だ
・・で、これを下っていくと、「本当に遠かった」大門沢への下降点を示すべく設置された鐘が見えてくる。 でも、本当に遠かったよ。 その遠かった様子は、前項目で記した『コレってワザと!? 1つの山行で2度の神がかり「オチャメ」業』を見て頂くと判るだろう。 この鐘のある《大門沢下降点》からは、この地点を通る者のほぼ全てが下降点を下りるか、下降点に向かって登ってくるか・・のどちらかだ。
つまり、ワテを除く全ての者が、この鐘の地点で90°折れて谷筋へと降りていく道を往来する訳である。 そんな訳で、ワテの目指す広河内岳への取付点はハイマツに隠されて不明瞭だったよ。 まぁ、縦走ルートから外れて、人はほとんど通らないみたいだし。
そのハイマツに隠されて不明瞭な取付点をハイマツをまさぐって抜け出ると、広く緩やかな稜線上に出る。 稜線上は赤い岩石とハイマツの織り成す庭園状となっていて、所々にリンドウなどの秋の花々が岩間から姿を魅せている。 この庭園上の赤岩帯を越えると、こんもりとした頂の上に頂上標と思しき標柱が立っているのが見えてくる。
あの上に立つ棒の所まで登りつめれば
永かった道程も完遂を迎える
永かった道程も完遂を迎える
これを目にして、少しときめいたよ。 なぜなら、5回のシクジリを経て、〔名峰次選〕の全峰登頂を目論んでから2年という年月を経た事などが頭を過ったからだ。 そして、〔名峰次選〕全峰踏破まであと8つとなってから、連発的に見舞われたシクジリや撤退の一つ一つを思い返しながら頂上へ向けて登っていく。
ワテだけの『オリジナル』・〔名峰次選〕の峰々を
「ワテが完登した」というただそれだけの
「誰も見ていない」し「祝う者は誰一人いない」
フィナーレをしみじみとかみしめよう
「ワテが完登した」というただそれだけの
「誰も見ていない」し「祝う者は誰一人いない」
フィナーレをしみじみとかみしめよう
・・2015年8月11日の昼の12時28分、全峰登頂のシーンをお花畑な妄想で仕立てた『ミレニアム』とは程遠い盆休みの1日に、25年の時を経てようやく全てを登りきる事ができた。 その喜びは、なんか照れくさい感じだった。 誰もいない、誰も目指そうとはしない峰の頂で、達成した歓びを照れを隠すように一人しみじみと味わおう。
そう・・それは、目指す者が誰もいないワテだけの『オリジナル』である〔名峰次選〕の峰々に「ワテが完登した」という、ただそれだけの「誰も見ていない」し、「祝う者は誰一人いない」フィナーレをしみじみとかみしめようと思う。
何か自虐っぽい事を書いたが、こういう「我一人のパラダイス」なシュチュエーションをワテは大いに好むのである。 皆に囲まれて祝福を受けるより、こういう一人で達成感にひたってニヤつく方が性にあっているのである。
広河内岳から三峰岳の方向を望む
だから・・、対面にある《熊ノ平》の小屋や南アルプスの縦走路を眺めたり、ほとんど人が通らない未知の山域である広河内岳より先の山なみを望んで、どんな山なのかを想像してみる。 そして、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、未知の山の方向へ散策してみる。 そう・・、許される時間ギリギリまでのほんの数分間だけ。
ちょっとだけ・・ ほんのちょっとだけ・・
未知の山の方向へ散策してみる
未知の山の方向へ散策してみる
そう・・ 許される時間ギリギリまでの
ほんの数分間だけ・・
こうしていると、やがて農鳥岳で逆算して予想した限界時間の13時過ぎがやってくる。 お名残り惜しいけど、もうちょっと『我一人の達成感』にニヤついていたいが、想定時間を越えると下手すりゃカンテラを点けて稜線上を歩かねばならなくなるので、尻を上げる事にしよう。
帰りは「結構順調に歩いてこれた」と思ったが、登り着いた農鳥岳の頂上で時計をみると14時半を周っていたし、農鳥岳裏側のガチャガチャした岩場を伝って西農鳥からの下降点ではもう16時を周っていた。 でも、あの裏側の通過は、マジで1時間以上かかるよ。
まぁ、今は幸いに夏なのであと2時間は空が明るいだろうから、ヘタッている身(そりゃあ、都合10時間も歩くとヘタるよね)でも明るい内に農鳥小屋のテント場に戻る事ができるだろう。 この下りで慌てて転ぶのもアホらしいので、テント場までゆっくりと下りる事にしよう。
まぁ、今は幸いに夏なのであと2時間は空が明るいだろうから、ヘタッている身(そりゃあ、都合10時間も歩くとヘタるよね)でも明るい内に農鳥小屋のテント場に戻る事ができるだろう。 この下りで慌てて転ぶのもアホらしいので、テント場までゆっくりと下りる事にしよう。
ゆっくり歩いていく内に大門沢から登ってきた者全てに抜かれたようで、16時40分に農鳥岳方面からは殿っぽい感じで下りてきた。 後はテントの中で、今日に味わった25年越しの達成感の余韻に浸ろうと思う。
今夜はテントの中で
今日に味わった25年越しの達成感の余韻に浸ろう
今日に味わった25年越しの達成感の余韻に浸ろう
※ 続く下山行程及び詳細は、本編の『名峰次選 ファイナル峰へ・・』を御覧下さい。
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- 名峰次選の山々 第122回 広河内岳 その2
- 名峰次選の山々 第121回 名峰次選 ファイナル峰へ・・
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No title * by 蜂蜜の風
助けて
No title * by 風来梨
蜂蜜の風さん
どうされたのですか?
どうされたのですか?
No title * by 蜂蜜の風
私の記事を見てほしい。
No title * by 風来梨
蜂蜜の風さん
それでは、後ほど拝見致しますね。
それでは、後ほど拝見致しますね。
No title * by ギャメロン
こんばんわ
下から登って行くなんてかなりの上級クラスなんですね
尾根歩きをしてみたいけど私の体力では無理~
なのでお写真を見て歩いたつもりで(^.^)
ナデシコ、キジムシロの花にも出会えて嬉しいですね
ナイス!
下から登って行くなんてかなりの上級クラスなんですね
尾根歩きをしてみたいけど私の体力では無理~
なのでお写真を見て歩いたつもりで(^.^)
ナデシコ、キジムシロの花にも出会えて嬉しいですね
ナイス!
No title * by 風来梨
ギャメロンさん こんばんは。
かつての『奇跡の体力』があった時は余裕の初級コースでしたけど、今はヒーヒーいってます。 もう、かつての遺産を食い潰して山に登ってます。
山は盆ともなると秋模様を呈してきますので、ナデシコやキジムシロ、チシマギキョウなどの濃い色の花が目立ちますね。
かつての『奇跡の体力』があった時は余裕の初級コースでしたけど、今はヒーヒーいってます。 もう、かつての遺産を食い潰して山に登ってます。
山は盆ともなると秋模様を呈してきますので、ナデシコやキジムシロ、チシマギキョウなどの濃い色の花が目立ちますね。