風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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日本の滝を訪ねて 第145回  尾鈴山瀑布群

日本の滝を訪ねて  第145回  尾鈴山瀑布群  〔宮崎県〕


渓谷で唯一名が知られている
矢研ノ滝

   尾鈴山瀑布群 おすずやまばくふぐん (尾鈴県立自然公園)
尾鈴山を源とする名貫川には、《矢研ノ滝》をはじめとする滝が大小多数掛かっていて、これらは『尾鈴山瀑布群』と呼ばれている。 この瀑布群の中心は、落差73mの《矢研ノ滝》と落差75mの《白滝》の二大壮瀑である。 また、源流を発する尾鈴山 1405メートル も独立主峰として眺望が良く、尾鈴寒蘭群落地としても知られている。




尾鈴山瀑布群 滝位置図

     行程表         駐車場・トイレ・山小屋情報
宮崎市街より車(1:20)→尾鈴山キャンプ場・渓谷探勝路入口より矢研ノ滝まで徒歩20分
欅谷〔白滝〕渓谷道は約5km・所要1時間半
尾鈴山瀑布群は名貫川上流の3つの沢沿いに滝が散らばっている


渓谷随一の大瀑布・白滝は
上下で違う落水模様を描く

『尾鈴山瀑布群』・・。 たぶん、ほとんどの人が始めて耳にする景勝地であろう。 実を言うと、ワテも今回の探勝を実行するまでは、“どういう所で、どんな滝があるのか。 期待に違わぬ所なのだろうか”と期待大きく、少しの不安をずっと抱いていたのである。 それでは、期待を胸に、そして不安を払拭しにでかけよう。


岩に美しい落水模様を描く

・・宮崎市街から、車で1時間少々で尾鈴山のキャンプ場に着く。 路線バスは4km手前の集落まで生活路線が細々と運行するのみで、車は必要不可欠だろう。 3方向から流れる沢は、キャンプ場で合流し《名貫川》となる。 『尾鈴山瀑布群』は、その3つの上流沢がそれぞれに大小の滝を形成している。 

また、この3つの沢の奥や支沢にも、人知れず瀑布を掛けているとの事である。 渓谷探勝路はその3つの沢にそれぞれ設けられていて、キャンプ場から放射状に延びているので、3つの沢を全てめぐるとなると裕に1日を費やすのである。 この事を念頭において、時間を上手に使って渓谷探勝をしよう。 


美しい滝に魅せられる至福の時

まず最初は、『尾鈴山瀑布群』で唯一名の通っている《矢研ノ滝》からいってみよう。 
キャンプ場から《矢研ノ滝》へは、徒歩20~25分である。 探勝ルートは《九州自然歩道》として指定されていて、先は《椎葉》や《高千穂》へと続いているとのことである。 落葉で埋まった道を登り気味に進むと、早瀬が岩をかむ清流が近づいてくる。 この《仙人ノ瀬(滝)》という早瀬を過ぎると、支沢の方へ少し迂回する。 


美しい三条の筋を魅せる
若葉ノ滝

そこには、絹糸のようにしとやかな滝が白布を掛けている。 樹間からの木漏れ日が滝しぶきに虹を呼び、黒い岩肌に木漏れ日が斑模様を描く。 カメラを手にしたなら、そして少しでも絵心を抱くなら、もうこの滝の撮影だけで裕に1時間は費やしてしまう事だろう。


木漏れ日が
滝飛沫を宝石に変える


滝と影と差し込む光が
絶妙のハーモニーを奏でる

この滝の名は《若葉ノ滝》で、その名の通り新緑の芽吹きがさぞ引き立つ美しい滝である。
なお、滝しぶきに虹を魅るなら、午前中がいいだろう。 


光と影と三条の白筋が奏でる詩


木漏れ日に滝が輝く

《若葉ノ滝》よりちょっとしたへつりを越えると、落差73mの大瀑・《矢研ノ滝》が滔々と白布を掛けている。 滝の前は大きな岩が積み重なって滝つぼまでは寄れないが、何も近寄るだけが滝見物の妙ではない。 前景を如何に活かすかが、滝をより魅力的に撮影するコツである。


大和尊命が滝の落水で矢を研いだ
と伝えられる矢研ノ滝

その荘厳さゆえ、信仰の対象(岩肌に日向藩主の実彫りの“神社”の文字が刻まれている。
また、“矢研”の名は日本神話の逸話よりとの事である)となった《矢研ノ滝》を十分堪能したなら、往路を戻ろう。

次は、尾鈴山を源とする本沢沿いの滝を訪ねよう。 この沢を上流に遡ると、尾鈴山の登山口がある。
それまでに、《蜂ノ巣滝》と《千尋滝》、そして数多くの早瀬を魅せてくれる。 このルートは距離が5.5kmと長く、途中で沢と離れて大きく迂回しているので、車でピンポイントで狙った方が時間の節約となるだろう。 但し、道そのものは林道規格で、大半が砂利敷の悪路なので運転には注意が必要だ。 

キャンプ場前の駐車場から《尾鈴山登山口》へ向かって車を進めると、程なくダート道となる。
約1km位先の路肩工事現場付近に、最後にめぐる《白滝》への探勝路入口がある。 ここから《蜂ノ巣滝》までの3kmが悪路で、道に拳大の石が転がり轍が相当にえぐられているので、タイヤパンクの危険もある。 悪路を越えると、《蜂ノ巣滝》に着く。 


正面より見る蜂ノ巣滝
やや迫力不足だ

この滝は本流の流れがそのまま10m位を落とす形の滝で、車道からは滝の上部からイッキに下までの流れの妙を一望できる。 車道脇に沢への降り口があり正面からも見上げる事ができるが、高さがそれ程でもないのでやや迫力に欠ける。 この手の滝は、やはり横から流れの妙を活かすのが撮影のコツではないだろうか。 


蜂ノ巣滝は
横から望むとより印象深い

《蜂ノ巣滝》からは簡易舗装となり、1.5km程進むと車が5台程止められる駐車場がある。 
ここからが、尾鈴山 1405メートル の登山道となる。 《千尋滝》は駐車場のすぐ奥の橋を渡った所だ。 山からの沢水が段を刻んで流れ落ち、滝下に小さな釜淵を形成している。 この奥にも“人知れず”の滝がひそんでいる・・との事だが、この奥を行くとなると沢遡行の装備が必要だろう。 


小さな釜を持つ千尋滝

今回は《千尋滝》で往路を引き返す事にするが、余裕があれば尾鈴山の登山もいいだろう。 
山には尾鈴寒蘭の群落があり、また山頂からは海に近い高峰ならではの景色が待っている事だろう。
それでは、最後にメインである《白滝探勝路》にいってみよう。

・・往路を路肩工事現場まで戻り、その脇の邪魔にならない所に車を置いて、カメラ等を持って出発だ。 これより5km程歩くので、リュックサック等が必要だろう。 探勝路は《矢研ノ滝》からの《九州自然歩道》で、最初は沢から離れて樹林の中をいく。 やがて沢は近づいてくるものの、まだ滝を見るには離れ過ぎた間隔で歩道に沿う。 このまま2km程歩くと、『白滝近道↑・紅葉滝→』と記した札が掛けてある分岐に出る。 

『白滝近道』は、山の土手をよじ登るように直上していく。 一方、《紅葉滝》は、そのまま自然歩道を500m直進し、道がつづら折りになる直前で沢への踏跡に入っていく。 そこには何とも艶やかな瀑布が、滔々と白布を掛けているではないか。 落差30m・・。 水量豊かで、辺りの樹木と調和した姿に艶やかな色気を漂わせている。 このまま見とれていたいが、時間がない。 
《紅葉滝》の色気に溺れる前に、先に進むとしよう。 

欅谷にひそむ三滝

紅葉滝
美しい段瀑を魅せていた

自然歩道に戻り、つづら折りの道を登っていく。 すると、先程の『近道』が道脇から迫り上がってくる。 どうやら『近道』とは、つづら折りをはしょっているだけのようである。 この後もこの手の『近道』が幾つかあり、かなりの高度を稼いでいく。 『近道』で高度を上げていくと、岩壁にヘツリ状に伝うようになる。 沢は100mも下にある。 


さぎり滝
50m超の落差を岩陰に隠して

そこに落差50~60mの滝・《さぎり滝》が現れる。 《さぎり滝》横の岩盤には短いトンネルがあり、これを抜けると遙か下方にあった沢が20m位にまで近づいてくる。 《さぎり滝》がその差を埋めたのである。 道は岩盤に沿ったヘツリ道が続き、対岸の大岩盤に玉簾れを掛ける《すだれ滝》が望まれる。 
この岩盤も、40~50mはあるだろうか。 《白滝探勝路》は大瀑が多く潜み、長い歩道歩きを飽きさせないのがいい。


すだれ滝
40mの岩壁を簾れ落ちる

《すだれ滝》を過ぎてしばらく歩くとヘツっていた岩盤がなくなり、沢もすぐ近くに寄り添ってくる。 
周囲の景色は、“大瀑あり、ヘツリあり”の峡谷風景から沢と森のおりなす静かな雰囲気に大きく様変わりする。 景色が様変わりすると、程なく浅く広い釜を持つ《やすらぎの滝》が見えてくる。 


やすらぎの滝
広く美しい翠の釜と瀬音が
心の安らぎを創造する

釜へ滑るように流れ落ちる滝水と、美しいライトグリーンをたたえた釜淵。 
その名の通り、心の安らぐ情景がそこに広がる。 そろそろ休憩時だ。 しばし、《やすらぎの滝》に心を癒してもらおう。
《やすらぎの滝》で一服を終えたなら、最後に控える大瀑・《白滝》を目指して歩いていこう。 

自然歩道は《やすらぎの滝》の上部を大きく高巻いているようだが、ここにも例の如く『近道』があり、それは《やすらぎの滝》前の沢を渡って対岸の土手を斜めに迫り上がっている。 
この付近はやや道が荒れていて、進路が判り辛いので注意が必要だ。 これを斜上していくと、再び自然歩道に合流する。 

自然歩道のつづら折りを一つ折り返すと、最後の『近道』がありこれを登る。 
これを抜けると『白滝へ 600m』の道標があり、それに従って進んでいく。 やがて橋が現れ、これを渡ると石垣の積まれたあずま屋跡に出る。

自然歩道は、ここで大きくつづら折りで折り返していく。 《白滝》へは、これより沢に沿った岩盤の踏跡を伝っていく。 滝まであと200mだが、急傾斜で直前の試練を感じさせる登りだ。 登りきると、天から飛沫が頭に降り注いでくる。 落差75m・・。 『尾鈴山瀑布群』最大の瀑布《白滝》だ。


渓谷最大の瀑布・白滝
天から飛沫が頭に降り注いできた

長い探勝路歩きで火照った体を、心地よい沢風と落水の美しい音色が癒してくれる。 
見上げると、滝の岩盤の層が上と下で異なり、それ故に上下で落水模様の変化を魅せている。 
最後の大瀑・《白滝》はこの落水の妙が美しく、そして落差以上に高さを感じる名瀑である。 
滝そばの大きな岩の上に腰掛け、しばしこの美しい滝に魅せられよう。


喘ぎ来た渓谷の最奥に
美しき白布が掛かっていた


白滝の上部が西日で輝き始めたなら
そろそろ帰路に着こう

滝の上部が柔らかい西日で輝いたなら、そろそろ“いとま時”だろう。 帰りも距離が長く山道同然の道を歩くので、日が暮れぬ内に戻らなければならない。 沢の日暮れは早い。 帰路は所々薄暗くなるので気をつけていこう。

   ※ 元ネタは、メインサイトより『尾鈴山瀑布群』をどうぞ。
















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No title * by 蜂蜜の風
素敵な炊きですね。台風の余波で生ぬるい風と雨が。今日も良い一日を

No title * by kei*****
こんにちは。
ランダムブログより勝手ながら訪問させて頂きました。
貴方のブログを拝見致しましたが、
とても素敵なブログですね。
実は私もブログを公開しております。
貴方のブログほど素敵ではありませんが、もし良かったら見に来て下さい。
内容は四コマ漫画でして、タイトルは「ボクら川越で警備員でーす!」と言います。
きっとストレス解消になると思いますので、どうかよろしくお願い致します。

No title * by 風来梨
蜂蜜の風さん こんにちは。

滝飛沫に光が当たると、素晴らしい情景を魅せてくれます。

台風での災害が多発して重苦しいですが、台風一過の晴れやかな時となります。 それを信じていきたいな・・と。

No title * by 風来梨
kei*****さん、こんにちは。

コメントを頂き、有難うございます。
後ほど、拝見させて頂きますね。

No title * by sekiyann
こんばんわー

キャンプ含め

何度か


お見事ですね。

No title * by 風来梨
sekiyannさん、こんにちは。

コメントを頂き、有難うございます。
尾鈴山瀑布群を御存知とは、通ですね。

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素敵な炊きですね。台風の余波で生ぬるい風と雨が。今日も良い一日を
2016-09-18 * 蜂蜜の風 [ 編集 ]

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ランダムブログより勝手ながら訪問させて頂きました。
貴方のブログを拝見致しましたが、
とても素敵なブログですね。
実は私もブログを公開しております。
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内容は四コマ漫画でして、タイトルは「ボクら川越で警備員でーす!」と言います。
きっとストレス解消になると思いますので、どうかよろしくお願い致します。
2016-09-18 * kei***** [ 編集 ]

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滝飛沫に光が当たると、素晴らしい情景を魅せてくれます。

台風での災害が多発して重苦しいですが、台風一過の晴れやかな時となります。 それを信じていきたいな・・と。
2016-09-18 * 風来梨 [ 編集 ]

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2016-09-18 * 風来梨 [ 編集 ]

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2019-03-18 * sekiyann [ 編集 ]

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2019-03-18 * 風来梨 [ 編集 ]