2016-07-31 (Sun)✎
『日本百景』 夏 第249回 海芝浦 〔神奈川県〕
首都圏屈指の
海浜情景を魅せる海芝浦駅
:
だがここは企業私有地故に
制限にまみれている
我が国の鉄道線で最も『行動範囲が限定されて著しく不自由な駅』は、恐らく今回取り上げる『海芝浦』駅であろう。 それは駅といい、線路といい、その敷地の全てが会社企業の私有地内にあるからである。
だが、この駅から見る京浜運河の情景は、首都圏では指折りのビュースポットの景観を魅せているのである。
この運河越しに望む夜景は
真にいち押しの情景だ
だが、この地を私有地とする企業・東京芝浦電気は秘密の保持を社訓にするような閉鎖的な企業で、永らくは駅敷地を所有する事業所の従業員及び関係者以外はホーム上以外の立ち入りを一切禁止する処置をとっていた。
従業員以外は外に出られない・・という
閉鎖極まる駅を造った
閉鎖極まる企業
当然にこれは不評極まりない対応で、東芝の評判や顧客に成り得る当地への一般訪問者への対応姿勢などの『企業評価』は、落ちるだけ地に落ちたようである。 それに加えて、ココム違反事件や事業での巨大損失と赤字決算を繰り返し、東芝と言う我が国屈指の大企業でも「顧客と成り得る人々をぞんざいに扱う事は自らの首を絞める」と言う事に漸く気が着いたようで、1995年に敷地の一部を公園整備して一般に開放する事にしたようだ。
企業倫理を犯して叩かれて
漸く譲歩したのがこの公園
だが、これまでの『人に対して冷たい』イメージが定着しきってからの”遅かりし”決断だったようで、今や東芝の電化製品は日常生活の中でほとんど目にしなくなったようだ。 実際にワテの居宅の家電製品を見回してみても、「♪みんな~みんな・・東芝! 東芝のマ~ク」は一つも見当たらない。 実際に東芝の家電はそこまで落ちぶれているのである。
まぁ、関西圏に居住するワテだから・・でもあるが、今までは東京の・・、しかも電車路線の駅など眼中になかったし、そこが立入禁止である事などどうでも良かったのである。 だが、ちょっとした事でこの地に立ち寄る機会ができて、その運河から見る夜景をカメラを通して語る機会ができたなら、やっぱりこの企業の『度量の狭さ』が目についたのである。
以前はこの駅名標を目にして
帰る他に術がなかったのだ
まぁ、天下の大企業である東芝では一般ユーザーの気持ちが左右する『家電製品』のシェアなど大した問題で無いかもしれないが、その一般ユーザーが抱いた『不評』は、めぐりめぐって企業主幹事業へジワジワと浸透していくものである。 そのいい例が、大企業・東芝の今もなお続く著しい業績不振であろう。
相次ぐ所有不動産の売却やら、音楽や携帯電話といった事業からの撤退、配当見送りや粉飾決算など、『東芝』でググってもロクでもない話題しか出てこないのである。 京浜運河のビュースポットを活かして活況づける・・などの人を呼ぶ事を拒否して陰に籠ってしまった大企業の成れの果て・・を表しているのが、この海芝浦駅での対応だとワテは思うのである。
こんな情景を背に
イベントを立ち上げたなら
東芝も活況づくハズなのに
そう、夏の休日の夜に敷地を解放して、一般客を相手にビアガーデンやバーべキューイベントを催したり、海上花火大会を催したり、小さなコンサートを開いたりするだけで閉鎖的なイメージは簡単に払拭できるのだ。
でも、東芝という会社は、それをする事をヨシとしないようで、ココム違反事件(発覚は1987年)などで大々的に企業倫理を叩かれていた1995年に漸くビュースポットを《海芝公園》として『一部開放』したのみである。 そう・・現在も、奥行き50m程で幅3m程の小敷地のみの解放しか行われていないのである。
まぁ、この地を訪れて現状を垣間見て、この企業に対してのイメージを悪く持ってしまった事もあり、辛辣な批判めいた事を記してしまったのであるが、その情景をカメラに収めるべくこの地に立っていても、一般の人々と共有しようとしないこの企業に対しての不遜な気持ちがカメラを通して情景と語るうちに鼻歌として現れたよ・・、ワテは。
「♪禿る禿るトウシバ! 落ちる落ちるトウシバ! 転ぶ転ぶトウシバ! 喚く喚くトウシバ! 家電はみんなパナばかり、トウシバのマ~クはどこいった!」などと、鼻歌を掛けながらカメラをいじっていたのである。 でも、この歌、守衛に聞かれたらつまみ出されるかもね。
でも、こんな素晴らしい海の情景を未だにごく一部しか解放しないこの企業の度量の狭さを鑑みると、自然と憎まれ口が浮かんでくる・・それが度量の狭い”ワテ”という人間である。
それでは、その素晴らしき海情景をごろうじろ。
暮れなずむ京浜運河
人工物が美しく調和した海浜風景
この日は天気が悪かった事もあって
一瞬の夕焼け光の差し込みで
運河が真っ赤に染まった
夏の運河では
納涼の遊覧船が往来していた
《鶴見つばさ橋》の弱い光と
海浜コンビナートの強い光の調和
海浜を照らす光で
ドレスアップ
首都高のジャンクションを望むと
黄金色の光がボンヤリと
海を照らしていた
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No title * by 風来梨
きゃみさん、こんばんは。
鶴見線・・、美味しいですね。
国道駅の胡散臭いバラックな雰囲気もいいし、休日3往復の大川支線、そして海のビュースポット・海芝浦etc・・。
実は、沢を遡行して滝を見に行くつもりで関東方面に来たのですが、土砂崩れで通行止めでして、急遽思いついたのが鶴見線めぐりだったのですね。
沢の道具は鶴見駅のコインロッカーに預けて、鶴見線めぐりをしましたが、撮影スポットが多くて楽しかったですね。
め
こんな楽しい路線なら、旧型国電の時に訪ねるべきだった・・と後悔しています。
鶴見線・・、美味しいですね。
国道駅の胡散臭いバラックな雰囲気もいいし、休日3往復の大川支線、そして海のビュースポット・海芝浦etc・・。
実は、沢を遡行して滝を見に行くつもりで関東方面に来たのですが、土砂崩れで通行止めでして、急遽思いついたのが鶴見線めぐりだったのですね。
沢の道具は鶴見駅のコインロッカーに預けて、鶴見線めぐりをしましたが、撮影スポットが多くて楽しかったですね。
め
こんな楽しい路線なら、旧型国電の時に訪ねるべきだった・・と後悔しています。
海芝浦などの鶴見線の駅は都会にあってローカルの雰囲気が味わえる好きな路線のひとつです。
もっとも海芝浦は駅からはでられませんが・・・それがまた興味をそそる駅です。
夕方から夜にかけて缶詰め状態の駅に滞在されてらしたんですね。
私も何度か訪問した駅ですのでTBさせていただきます。