風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第153回  根室本線・花咲駅

路線の思い出  第153回  根室本線・花咲駅  〔北海道〕



廃止されて間もない花咲駅
貨車駅舎の窓ガラスには見る人のいない
『駅廃止のお知らせ』が張ってあった

《路線データ》
     営業区間と営業キロ          輸送密度 / 営業係数(’15)       
    滝川~根室 446.8km               976  /  424
                        ※ 新得~帯広を除いた数値

釧路~根室 運行本数
          釧路~根室 6往復(うち下り2本、上り1本 快速)
          釧路~厚岸 2往復

花咲駅(はなさきえき)は、かつて北海道根室市花咲港255番地にあったJR北海道・根室本線の駅。
1面1線のホームの無人駅で、駅舎は貨物列車の車掌車を再利用していた。 かつては名産のハナサキガニのイラストが描かれていたが、末期は西和田駅と色違いのシンプルな塗装に塗りかえられていた。



かつては有人駅で駅員もいたという・・
筆者の愛読書『北海道690駅』(宮脇俊三 原田勝正 著)より

かつては駅員のいた有人駅で木造駅舎もあり、貨物の取り扱いもしていたが、民家は離農と共に移転し、駅周辺は道道だけが走る原野になっていた。 周囲が原野となって利用客もゼロが続き、2016年3月26日に利用者減少とダイヤ改正に伴い廃駅となった。



今回取り上げた花咲駅であるが、この地を訪ねる1ヶ月前に駅が廃止となってしまっている。
いわゆる本年('16年)3月の北海道シンカンセン開業によるダイヤ改正で、ひっそりと廃止になったローカル無人駅8駅の一つである。


この旅の主目的は
野鳥の楽園《春国岱》での野鳥撮影だった

ワテはそれほどまでに廃止駅に対して執着はないので、この春の北海道旅の計画でもこの駅を訪れる計画は無かったのだが、根室には野鳥の楽園《春国岱》があり、その近くにあるこの駅がある事を思い出して、”ついで”感覚で立ち寄ったのである。


駅名標が外されているのが無ければ
廃止駅だとは思えまい・・

立ち寄ったその駅前は、道道が前を走るだけで完全な原野帯だったよ。 その道道には防風柵が延々と連なり、訪れた時間が夕暮れの時間である事も重なって、荒涼しきり・・の感覚に支配されたよ。
ここで夜食のホカ弁を食うつもりだったが、夕飯を食うにはあまりにも侘しいので廃駅の駅見学(といっても、あるのは鍵が閉められた貨車駅舎のみだったど)だけに留めたのである。

ここで夕食の『ホカ弁』というキーワードを出したのには訳がある。 それは、先程に「この花咲駅の周囲は原野である」と記述したが、花咲の集落は隣の西和田駅どころか落石をも凌ぐ規模の集落なのである。 そう、それは、ガソリンスタンドあり~の、コンビニ数件あり~の、果てはコインランドリーや銭湯、そして花咲毛ガニのラーメン屋も数件あるのだ。 ホカ弁屋も地域で言えば東根室駅に近いが、花咲駅に通じる県道沿いにあって、大まかに言えば”アリ”と言えるだろう。

ただ、その割と大きな港町への道は、花咲駅から落石に抜ける道道の「花咲駅の1kmほど手前」で分岐して海側へ向かう道道〔道道310号〕側にあり、その分岐は高架で根室本線を跨いでいるのだ。
そして、その高架道路には結構車が行き交い、実情は根室市では2番目に大きな集落なのである。


大きな集落と言っても
集落街より外に出ると原野となる
※ 右奥に見える港集落が花咲集落

そして、港も花咲ガニの水揚げ漁港であると同時に海上保安庁の巡視船が停泊するなど、国土保全上でも重要港なのである。 更にググって調べたなら、輸入外航船(そのほとんどがロシア船籍)の受け入れ港で、活ウニが輸入されているとの事である。 また、サンマ(秋刀魚)の水揚げ日本一の港も、この花咲港との事である。


花咲港に停泊する海上保安庁の船舶と
颯爽と飛び交うカモメ

だがら、駅を見学した翌日に、花咲港の観光スポット《根室・車石》を訪ねた時は、昨日の駅周囲の荒涼とした原野とのギャップに困惑したよ。 そして、探さずともあったコンビニや花咲ガニの食堂街(といっても数件だけど)にも、正直想定外の驚きがあった。 何でもこの食堂は、外航船でやってくるロシア人の船乗りや商人が客先との事である。


花咲岬にに建つ岬灯台
カモメと狙ったけどちょっち失敗・・

恐らく・・であるが、この花咲駅は3月のダイヤ改正で廃止となった8駅の中でも、ダントツの駅周辺人口を持つ駅だったであろう。 だが、一家に一台車を所有するようになると、ヒトは駅まで歩く事をやめたのだ。 そして、周辺にある《春国岱》や《温音沼》という野鳥の楽園、《長節湖》・《根室・車石》といった大自然の魅力もアピールできずに放置されていったのである。


野鳥の楽園《春国岱》での1シーン


臨場感溢れる大自然
春国岱にて


長節湖と潮で藁となった木


天然記念物《根室・車石》の上で羽休めする
カモメやウミネコたち

この地域の『最後の武器』である花咲ガニを始めとした水産物も、”歩く事をやめた人”を商売相手とするならば、買い手の手元に届けないとならないのだ。 そして、鮮度も保つ為に陸路ではなく空輸となり、大量陸路輸送の主を担った鉄道貨物は滅小しきり・・となったのだ。

でも、自然と対峙するにはその地を訪れる事が必要だし、手足を使わず利便にかまけていると手足が退化して、思う様に歩けなくなるのだ。 そして、食い物も本当に美味いのは、現地の獲れたてを現地の人に捌いてもらって食う事で、これを食う事は高級食材を一流シェフが仕立てた料理より、ことさらに贅沢な事なのだと思う。

話は脱線してしまったけど、自然と対峙して、身体を動かし、そして本当に美味いモノを食える(ワテはこの”食”方面は追及してないけど)、色々な体験を得る事ができる『旅』を住処として生きてきて、ワテは本当に良かったと思うのである。

この地を『旅』して
出会えた奇跡の情景

どんな言葉を使っても表現しきれない・・
味わうなら現地に赴くしかないのだ


大自然の朝は
なぜにここまで崇高なのか・・
温根沼にて


オジロワシにも思えるし・・
カモメにも思えるし・・


水鳥達が一斉に飛び立ったなら
オジロワシだろうね・・

    ※ 根室地域の自然に興味のある方は、メインサイトの『春国岱』をどうぞ。









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