2016-02-27 (Sat)✎
『日本百景』 冬 第224回 士幌・大平原 〔北海道〕
一枚くらいはもう少し
離れて撮れば良かった
もう叶わぬ事であるが
考えもなしに目くら滅法にネタを出してきたツケが祟り、今ネタ出しに苦労してるよ。
それは「1日1項目の閲覧で3年以上は楽しめる」がキャッチフレーズ!?の膨大過ぎる我がHP『日本百景』だから探せばいくらでも出てくるのだが、それでも微妙にネタが重複していたり、季節が微妙に合わなかったりするケースが多いからだ。
・・で、今回のこのネタも、上述の「微妙にネタが重複している」のであるが、この書庫を維持する『下心』と最初に立てた方針「写真の使い回し」という高度なテクニックの前にアッサリと陥落したのである。 このブログの筆者であるワテは、こういう理由付けになると「後ろ向き」思考へ全力疾走となるのである。
萩ヶ岡から清水谷にかけては
美しい白樺林が並び立つ
下らないヨタ話はこの辺までにしておいて、「東大雪を開拓した鉄路の跡」=旧国鉄士幌線の在りし時の情景をば・・。 今思えば、旧国鉄士幌線の車窓風景は『神』情景であった。 特に大雪の麓に広がる『大平原』の情景は、真に『神』情景であった。 当時はまだガキで、鉄道以外に目が回らなく随分と惜しい事をしたけれど、それでも・・『○鉄』だけだったけれども、30年経った今でも素晴らしい情景が目に浮かぶのである。
おわかれ士幌線・大平原号乗車証明書
士幌線が大雪の麓の大平原に差し掛かる士幌駅以北は、ローカル線のスタンダードである6往復にも満たない5往復で、通常で考えれば車が無ければ駅撮り撮影以外はかなり難しい路線であった。
特に路線の完乗と撮り鉄の両立を目論めば、糠平より先のバス代行区間が1往復減の4往復で、しかも運行ダイヤに接続は考慮されておらず、帯広で始発に乗ったとしても十勝三俣で3時間待たされて撮影場所に着くのは正午過ぎとメチャクチャだったから。
だからであろうか・・、士幌線の写真はプロ以外の撮影はあまり見かけないんだよね~。
でも、ワテの撮影行動アイテム・『駅寝』を絡めれば、これが可能になるのですね。 でも、美しい白樺林を前景に列車が行くシーンは、現在では見る事のできない『風景鉄道』の絶景だと思う。
だからこそ、「もっとアウトに引いて空も入れたら良かった」、「白樺の樹影をもっと雪のキャンパスに映せば良かった」などと、思い返す度に次々と悔いが頭に浮かぶのである。
撮影場所を探して
考えもなしに歩き周って
雪原に足跡がついて台無しになっちまった
だが、小僧の頭ではそこまで思考が回らないであろう。 だから、この線でもローカル線を語るならいつも出る感情である「撮る事ができて本当に良かった」という思いと、「もっといろんなシーンを撮っておくべきだった」という後悔の念が交錯するのである。 それでは、その時にこの小僧が目にした『風景鉄道』の絶景おば・・。
白樺の木影がいい感じに
青空と白樺林が美しい
『風景鉄道』の絶景
そして歳月が流れ、四半世紀という時が経って、あの時の『小僧』から『中年』の域に達した時に、それまで知らなかった事を知り得て、士幌線へ抱いたかつての想いが燃え上がったのである。
その「知らなかった事」というのは、タウシュベツ橋梁の事である。
その姿にオーラ漂う『幻の橋』が
時を経て中年になった
タワケのターゲットとなった
そして、この事を知り得た時の中年の歳となっても小僧の思考そのままのタワケ(筆者)は、小僧の頃にした手法で、この《タウシュベツ橋梁》を訪ねたのである。 それは「夜明けのタウシュベツの情景を撮りたい」という思いである。 それで「歳相応の思考形態なら有り得ないアタック」を2回かましている。
それは夜明け前に出て、真っ暗闇の林道を4km伝って、タウシュベツと日の出を拝もうっていう算段である。 その最初のアタックの状況おば・・。
外は真っ暗・・というほどではなく、雲間より月明かりが差し込んでいた。 気温は氷点下12~3℃だろうか。 気が入っている事もあり、あまり寒さは感じなかった。 後は、延々と月明かりの中歩くだけだ。 道は轍が掘られてあり、迷う事はない。 そして、轍は通った車の車重で踏み固められていたので、ズボズボとハマる事もない。
好条件の中で快調に歩き続けた・・ハズなのだが、なかなか4kmは手強く、『タウシュベツ入口』とある掛札の分岐に着いた頃には、7時前と空はもう明るくなっていた。 そして、最後の300mをラッセルしながら突き進むと、厳冬の神秘がそこに・・「ほとんど雪に埋もれていた」。 それでは、その時の写真をごろうじろ。
全体的に
もう1m露出していれば
この時の“キメ”はコレかな
少しアンダーで
大雪の白嶺を強調してみる
半世紀に渡って
風雪と水にさらされて
『まぼろしの橋』の傷みは激しく
時の経てと共に
“魅せる”役割も終えようとしている
2度目も同じく夜明け前の林道歩きで前回の経験が大いに活きたのであるが、気温は氷点下20度近くまで下がり、日の出を待つまでの間がキツかった。 でも、その情景には言葉が出なかった。
そう・・、最高の情景が広がっていたのだ。 それでは、この2回目の写真もごろうじろ。
夜明けのタウシュベツへ
夜明け前の素晴らしき情景だったが
橋はほぼ雪に埋もれていた
タウシュベツの露出部分と
朝に染まる東大雪の山なみ
氷点下20度の中1時間耐えると
美味しい事に最も望まれる所から朝日が昇り
雪に埋もれた朽ちた橋は朝の光を浴びて
湖から現われる金の龍の如く
キラキラと輝き始めた
まるで御神渡しのような
そして、東大雪・「大平原」の鉄路の終着点が、十勝三俣である。 この時はまだ目に入るのは鉄道だけで、雪に埋もれた駅しか撮らなかったのであるが、周囲は東大雪における『大平原の中の小さな駅』の情景を魅せていた。 これも未だに悔しく思う、あの時に目を向けれなかった『ガキ故の思考の浅さ』である。
列車が来なくなり
雪に埋もれた十勝三俣駅
人の往来が途切れ
雪の中に取り残された幌加駅舎
この駅跡は全て撤去されて存在せず、掲載している写真は大した事ないが、鉄道雑誌やウェブサイトから使用承諾の問い合わせが来てたりして。
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No title * by 柚子の大馬鹿
おはようございます。初めてです。
列車のモノトーン写真気に入ってます。
とてもなつかしーーい 感覚です。
列車のモノトーン写真気に入ってます。
とてもなつかしーーい 感覚です。
No title * by gre*n*hub*32
余りにも素晴らしい写真の数々!〜、
素晴らしすぎて言葉がありません!。
『まぼろしの橋』は自然がえぐった彫刻ですか?。
☆ナイス!〜
素晴らしすぎて言葉がありません!。
『まぼろしの橋』は自然がえぐった彫刻ですか?。
☆ナイス!〜
No title * by 風来梨
きゃみさん、こんにちは。
士幌線は木野・音更・士幌・上士幌・糠平と、僅か5往復の運行なのに「有人駅率」はかなり高かったですね。 この5駅では入場券も販売してましたし。
それと、代行バスは幌加・十勝三俣の既存駅の他に、糠平スキー場前(温泉街のど真ん中にバス停)、幌加温泉と臨時のバス停がありました。 そして幌加は、取り壊されるまで駅舎がバス待合室でした。
個人的に、興浜南北、白糠、宮原、名寄本線に次いで、6番目に好きな路線でした。
士幌線は木野・音更・士幌・上士幌・糠平と、僅か5往復の運行なのに「有人駅率」はかなり高かったですね。 この5駅では入場券も販売してましたし。
それと、代行バスは幌加・十勝三俣の既存駅の他に、糠平スキー場前(温泉街のど真ん中にバス停)、幌加温泉と臨時のバス停がありました。 そして幌加は、取り壊されるまで駅舎がバス待合室でした。
個人的に、興浜南北、白糠、宮原、名寄本線に次いで、6番目に好きな路線でした。
No title * by 風来梨
ggg*6x*9*さん、こんにちは。
白樺林を前景に列車がゆくシーンは、真に『風景鉄道』の絶景です。
懐かしい・・、そして叶うなら、もう一度撮りたいと願う鉄道情景です。
白樺林を前景に列車がゆくシーンは、真に『風景鉄道』の絶景です。
懐かしい・・、そして叶うなら、もう一度撮りたいと願う鉄道情景です。
No title * by 風来梨
gre*n*hub*32さん、こんにちは。
称讃頂き、有難うございます。
『まぼろしの橋』は、ダム湖完成の為に水没した旧線の橋梁です。
ダム湖の水位で水中に没したり、現れたりするので『まぼろしの橋』と呼ばれています。
湖中に水没したり、厳しい北の風雪に晒されたりして風化が著しく、ギリシャ神話に出てくる城郭のような幻想な姿を魅せてくれます。
でも、敢えて保存の為の施策は取らずに「自然のあるがままに」との方針のようで、やがて朽ちるままに倒壊する事となるようです。
称讃頂き、有難うございます。
『まぼろしの橋』は、ダム湖完成の為に水没した旧線の橋梁です。
ダム湖の水位で水中に没したり、現れたりするので『まぼろしの橋』と呼ばれています。
湖中に水没したり、厳しい北の風雪に晒されたりして風化が著しく、ギリシャ神話に出てくる城郭のような幻想な姿を魅せてくれます。
でも、敢えて保存の為の施策は取らずに「自然のあるがままに」との方針のようで、やがて朽ちるままに倒壊する事となるようです。
この線はとりあえずの帯広~木野間の往復だけで結局訪問する機会がありませんでした。糠平~十勝三股の当時は珍しい代行バスにも乗ってみたかったなあ。