風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第135回  阪本未成線(JR西日本バス・五新線)・城戸駅

路線の思い出   第135回  阪本未成線(JR西日本バス・五新線)・城戸駅  〔奈良県〕


今回は鉄道未成線転用の専用道を通る
バス路線の『駅』を取り上げよう
※ グーグル画像より拝借

   〔路線の概要〕
五新線(ごしんせん)は、奈良県の五条駅と和歌山県の新宮駅を結ぶ計画だった日本国有鉄道の鉄道計画路線(未成線)である。 五条駅 - 大塔村阪本(現・五條市大塔町阪本)間を阪本線として、先行開通させる予定だった。

1959年に五条駅から西吉野村城戸(現・五條市西吉野町城戸)まで路盤が完成したが、西吉野村内の駅設置数が思惑より少なく、バスであれば随所に停留所を設置できる事から、西吉野村が鉄道としての部分開業に反対してバス路線としての開業を主張した為、五条 - 城戸のうち11.7kmの路盤をバス専用道路として暫定使用する一方、城戸 - 阪本は引き続き建設し、この区間の完成後はバス専用道路を鉄道に切り替えるという、バス派と鉄道派の両者を立てた決着が図られた。

その後も城戸 - 阪本の建設工事は進められたが、国鉄再建法施行により1982年に工事が凍結され、モータリゼーションが進展するなかで採算が見込めない事から、結局列車が走る事なく計画は断念された。


JRバス時代の阪本未成線・城戸駅
バスの形式といい
結構貴重な写真だと思うけど

城戸駅(じょうどえき)は、五條市西吉野町城戸(旧 西吉野村)にあった鉄道未成線転用のJR西日本のバス路線・五新線のバス停である。 五条 - 城戸間はバス専用道路として西日本JRバスが運行していたが、並行道路の改良が進み専用道路の優位性がなくなった事や鉄道からバスへ乗り換えの煩わしさなどで、開業時は続行運転をする程にいた乗客もほとんどなくなり、2002年10月1日にJRバスは撤退。

その後は地元自治体の委託を受ける形で奈良交通のバスが運行された。 しかし便数は減少の一途を辿り、2008年3月時点では土休日は早朝の1往復だけとなっていた。 衣笠トンネルの状態が悪い事から2014年9月30日をもって運行終了し、翌10月1日に廃止された。




五条駅の近くにある
阪本未成線の遺構『連続アーチ橋』
※ グーグル画像より拝借

このバス専用路線の停留所を訪ねた理由は、30年近く前の・・ワテがまだハイティーン(死語)の時の鉄道を追っかけていた頃に見た一冊の鉄道雑誌の特集ネタに感化されたからである。 それは鉄道趣味自体がミーハー化した事により読者層が消失し、もはや風前の灯となった『鉄道を考える』専門情報誌『鉄道ジャー○ル(一部伏字)』という雑誌で取り上げられた特集で、内容は『鉄建公団の工事線の現状』というお題であった。


見た目は綺麗でも
未使用で放置されれば草ボウボウ

そう、この頃・・即ち30年近く前は凍結されつつあったが、まだ鉄道のローカル路線建設が行われていたのである。 同時に鉄道再建法が施行され、特定地方交通線の廃止(いわゆる廃止ローカル線の事)が提言されるなど、鉄道建設の情勢はローカル線の建設と廃止が平行して行われる迷走しきり・・の状態であった。


阪本未成線転用の
JRバス・五新線の路線バス専用道
※ グーグル画像より拝借

その特集記事の《近畿》の項目に記されていたのが『阪本未成線』だったのである。
それで、この『阪本未成線』を訪ねるべく、このバス路線を訪ねたのである。

だが、『鉄道未成線を訪ねる旅』だけに終わらないのが、小僧の頃からタワケなワテなのである。
この『未成線を訪ねる旅』のついでに南紀まで抜ける旅を計画したのであるが、その内容がかなり・・どころか『基地外』認定を受ける位にヤバい内容なのであった。


『ヤバい画像・その2』でっす
2日目に登場しまっす
乞う!? 御期待

・・という訳で、これより先は『有り得ない』状況の連発に神経が刺激され、ムカつき・動悸・息切れ・目眩を及ぼす事がありますので、その症状を自覚した場合は速やかに然るべく処置を撮って頂く様、お願いしますね。 要するに、この旅での筆者の行動様式は、怒りさえ湧き出る超ド級の『なんでもあり』っていう事ですわ。

さて、いつもは一人旅なれど・・っていうか、ワテの『旅スタイル』についてこれる奴もいないだろうからの『一人旅』なのだが、今回は未だ『写真床』下を統一する前の殿下も御同道されていたのである。
時はまだ殿下の天賦の才が発揮開花される前・・、即ち下剋上と相成ったあの『阿下喜の誓い』での殿下への臣下の忠誠の誓う前の事だったのである。

その時は『ワテが師匠で殿下が下辺』であり、この旅道中の殿下はあまりにも『有り得ない』事の連発で、常に苦悶の表情を浮かべておられたよ。 さて、ヨタ話はこれ位にしといて、上出の『鉄道ジャーナ●(一部伏字)』の記事に記載された内容通りに関西本線・和歌山線と乗り継いで五条に向かい、五条駅の建物脇にあるバス停から発車するバスに乗る。


阪本未成線転用の専用道を通る
JRバス・五新線は五条駅脇より発車していた

当時の時刻は憶えていないが、確か日に7~8本はあったと思う。 でも、2008年には日に1往復にまで減らされていたんだってね。 バスは程なく阪本未成線の路盤をそのまま転用した専用道に入る。
道はアーチ造りの陸橋の上を通ったり、田んぼの真ん中に真っ直ぐに切られた中をゆく。


阪本未成線から転用した
『路線バス専用道』だが
トンネルの老朽化が理由となり廃止となった
※ グーグル画像より拝借

途中に何本かトンネルを通るが、全く照明のない鉄道用トンネルで、専用道でなければかなりデンジャラスなトンネルである。 距離は12kmそこそこなので、30分程で専用道から出る事もなく終着の城戸駅に着く。 城戸駅は建付けは鉄道駅のような造りで、表示も『城戸駅』となっている。

これより、殿下を苦悶の表情に追い込む『有り得ない』旅が始まる。 そう・・それは、到着するアテも宿泊場所の確約もなく、「道をひたすら歩いて南紀に抜けよう」という『能天気』以前の『コイツらマジでヤバイぞ・・』な道中なのである。

基本は国道168号線を伝っていくのだが、当時の国道168号線はまだ道路拡張が完全でなく、所々で先程の専用バス道で通ったのよりはマシだけど、トンネル内の照明が未設置の単線トンネルもある道であった。 そこに道路需要は今と変わらずトラックやバスもバンバン通るので、「トンネル歩くのも命がけ」なのである。

ワンゲル用のカンテラを照らしながら、単線トンネルを轟音を上げて走りくるトラックを避けて歩く。
道幅一杯を使って走るトラックは本当に避けねばならんし、大型車同士のすれ違いに遭遇すると、下手すりゃ挟まれかねない「デンジャラス」この上ない道中であった。 まぁ、こういうヤバい状況は2~3ヶ所程度だったけど。

とにかく、国道168号線を未成線の終点である阪本を目指して歩いていく。 目的地である阪本に着いても何の安寧の保証もないのだが、城戸駅を出たからにはとにかく歩いていくしかない。 歩いていくと、この旅の目的であった『阪本未成線』の路盤やトンネル、橋梁が所々に現れる。


建設途中で放棄され
未使用でピカピカの未成線区間

このハチャメチャ旅の目的がこれらの鉄道未成線の遺構なので、それらを見かけると、逐一立ち寄ってみる。 中には、築堤をよじ登ってトンネルに入ったり・・と、ポリさんがいたなら立入禁止区域への不法侵入でしょっ引かれる事も有り得るような・・、いや通行する車の運転者などが訝って不審者通報するような行為を繰り返していた。


列車はおろか人さえも通らないのに
防護柵まで着く立派な橋梁だった

道中の天嶮は、幕末の『天誅組の変』の舞台となった天辻峠である。 この峠を刳り貫く《新天辻トンネル》で抜けるのだが、このトンネルまで標高差300mを登らねばならない。


天辻峠は『天誅組の変』の舞台となった
幕末動乱の歴史香る地だ
※ グーグル画像より拝借

そして国道168号線は、まだ拡張前で狭隘区間が連続していたので、タイミング悪く車の離合に出くわすと必ずクラクションを鳴らされるのである。 でも、「そもそも道ってのは、人が歩く為に通されたモノなのに、何故に歩行者が追い散らされるのか」なんて、ツボを踏む発言は止めておく事にしよう。


天誅組本陣跡
※ グーグル画像より拝借

天辻峠に登り着くまでの途中に、天誅組の石碑や隊士の墓などの遺跡があったので、歴史にも興味あったので少し立ち寄ってみる。 峠まで登りつめると、拡張工事中の国道168号線は《新天辻トンネル》前で完全2車線に拡張される。 道路行政上では、峠を越える核心部分は峠越えの難儀を克服すべく、道路拡張に先行して峠貫通トンネルを完成させるケースが多いのである。 だから、この峠貫通トンネルだけは、トンネル灯完備で歩道も設けられるなど『高規格』なのである。


峠越えの難儀を克服すべく
道路拡張に先んじて
高規格で開通した《新天辻トンネル》
※ グーグル画像より拝借

このトンネルを越えると天辻の小集落があり、今はクアハウスも併設されている『道の駅・大塔』の所で岩風呂の温泉看板があるのを見つける。 当時は《太郎坊ラドン温泉》の看板を掲げていたようである。
ここでひと風呂浴びると、時刻は午後3時を周って斜陽が射し始めていた。

天辻からは、眼下に阪本の集落が見える。 天辻峠まで登った標高差300mを大きくループしながら吐き出していく。 もし、鉄道が敷設されていたならこの区間はループ予定だったとの事なので、線路が通じたなら全国でも有数の『鉄道名景』となった事だろう。

さて、天辻からは直線距離は1km程だが、ループで大回りしているので歩く距離は3km超となる。
要するに、峠を下りるだけで小1時間かかる・・つまり、峠を下りて阪本に着いた時点で、日没直前となるのである。 つまり、峠下の阪本集落で今日の宿泊場所を見つけなければならないのだ。
でも、鉄道はないので『駅』はなく、バス停もポール看板のスタンダードなモノで、待合室なんかある訳もない。

宿も探せばあるみたいだが、殿下と二人合わせて所持金1万円割れを起こしている(南紀からの帰りは、『セ・セ・セ・セ青春18キップ』を持ってるので心配ナシ)現状から、ほぼ不可能な状況である。
でも、旅に出て、所持金が二人で1万円割れってのは、傍からみても「人としてどうよ?」と思うのだが。


「人としてどうよ?」な仕打ちを受け
心を掻き乱す『写真床』下統一前の若き日の殿下

とにかく、この二人の現状は『詰んだ』のである。 まぁ・・、普通の人なら『詰んだ』のだろうが、ここからが「ゴ▲ブリ並の精神力」と言わしめる能力が発揮されるのである。 取り敢えず峠を下りて阪本集落に着くと、寝床を探してキョロキョロと見回す。 その動きは、真にゴキ▼リそのものであった。

・・で、すぐさま『寝床ターゲット』を発見! 凄ましい限りの「この手の」嗅覚である。
その『ターゲット』とは、小学校であった。 「今は冬休み、しかも今日は大晦日・・で誰もいないだろうから、校舎に侵入して教室で寝よう」と画策する。 でも、筆者に比べて精神がマトモな殿下が訝り、また校舎の扉は残念ながら鍵が掛かっていて、侵入に失敗。

『校舎占拠ミッション』に失敗し、腕を組みながら次のターゲットを探しつつ高台にある校舎からトボトボと引き上げる道すがら、何の用途に使っていたのか解らんが、物置き用のテントを発見する。
これを目にしたタワケは、スキップ足でその蒲鉾状に膨らんだ緑色の物体に近寄る。


偶然見つけた
蒲鉾状の緑色の物体の中で

その後を追う殿下は、もはや自刃寸前の様相を呈していたな。 たぶん、このタワケのコレより取る行動が、殿下には解り過ぎる位に解ったから・・であろう。 まぁ、このタワケの感覚は、普通の精神を持つならば『訝る』他にないだろうし。 で、ついにキターっ! 路上に新聞紙敷いての、『真冬の路上寝 by放置テント』が。


「人としてどうよ?」な中で
除夜の鐘に耳を棲ます『写真床』のタワケ共
でも結構暖かそうでソ?

でも、食事は豪勢だった。 高校のW・V部から無断拝借した(ホェ~と唸る程に重たい)ガソリンコンロ『ホェーブス』の圧倒的な火力を駆使して、釜飯の素と豚汁、焼き鳥の缶詰、ウインナーの『一汁三菜』に加え、大晦日の寒空に放置して薄氷浮かぶ位に程よく冷えた『メロウ・イエロー』のペットボトル、明日朝はカップメンではあるが、オカズに『ゆであずき』を使った善哉と、後のタワケの血糖値過多を暗示するような豪華メニューである。


「人としてどうよ」な旅で
この日唯一のマトモな写真

ぢ・つ・わ・・、普段の食生活で『一汁三菜』になるのは年間で数えても『片手にさえ余る』のに、こういう時は豪華になるのが筆者(タワケ)の食生活におけるクオリティなのである。 この旅紀行は長くなりそうだし、この後も『有り得ない』事が続発するので、この日が暮れるの契機に締めるとしよう。 「続きは、次の記事に」という事で。

    続きは、『日本百景・冬 第222回 十津川郷』にて・・


















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No title * by きゃみ
お、ご本人の登場ですか?
五新線や阪本線は初めて知りました。お若いころからなかなかマニアックな場所に行かれてますね~。
しかしテントがあって良かったですね・・・。そういえば私は昔、根室で駅を追い出されて、家出少年と間違えられて警察署に連れていかれ、そこで泊まったことがあったのを思い出しました・・・今となってはいい思い出です。

No title * by 柚子の大馬鹿
始めまして です。

坂本未成線・懐かしーーい。

次の記事 楽しみです。『柚子の大馬鹿』

No title * by 風来梨
きゃみさん、こんばんは。

この旅は、かなりスペクタクルです。 私的に・・ですが。
でも、かなり経験値は上がったと思うので、思い入れ深いドタバタ旅ですね。

>家出少年と間違えられて察署に連れていかれ・・
駅で自炊途中に「夜間駅を閉鎖する」と言われ、炊きかけ御飯の両手鍋を持ったまま列車にのったミラクル体験がありまっス。
他にも、駅を締め出されて公園のベンチで寝た事もありまっス。

恥体験なら、山ほどありまっス。(笑)

No title * by 風来梨
『柚子の大馬鹿』さん、こんばんは。

阪本未成線のある十津川は、よい釣り場だそうですね。
私は登山もしますので、この十津川郷や隣の谷の奥吉野・上北山郷に挟まれた大峰山系はマイ・ゲレンデです。

あと、吉野川や池山貯水池のヤマメ釣りも有名との事ですね。

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No title

お、ご本人の登場ですか?
五新線や阪本線は初めて知りました。お若いころからなかなかマニアックな場所に行かれてますね~。
しかしテントがあって良かったですね・・・。そういえば私は昔、根室で駅を追い出されて、家出少年と間違えられて警察署に連れていかれ、そこで泊まったことがあったのを思い出しました・・・今となってはいい思い出です。
2016-02-14 * きゃみ [ 編集 ]

No title

始めまして です。

坂本未成線・懐かしーーい。

次の記事 楽しみです。『柚子の大馬鹿』
2016-02-14 * 柚子の大馬鹿 [ 編集 ]

No title

きゃみさん、こんばんは。

この旅は、かなりスペクタクルです。 私的に・・ですが。
でも、かなり経験値は上がったと思うので、思い入れ深いドタバタ旅ですね。

>家出少年と間違えられて察署に連れていかれ・・
駅で自炊途中に「夜間駅を閉鎖する」と言われ、炊きかけ御飯の両手鍋を持ったまま列車にのったミラクル体験がありまっス。
他にも、駅を締め出されて公園のベンチで寝た事もありまっス。

恥体験なら、山ほどありまっス。(笑)
2016-02-14 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

『柚子の大馬鹿』さん、こんばんは。

阪本未成線のある十津川は、よい釣り場だそうですね。
私は登山もしますので、この十津川郷や隣の谷の奥吉野・上北山郷に挟まれた大峰山系はマイ・ゲレンデです。

あと、吉野川や池山貯水池のヤマメ釣りも有名との事ですね。
2016-02-14 * 風来梨 [ 編集 ]