風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第474回  大峰・奥駈 その2

『日本百景』 春 第474回 大峰・奥駈 その2 (小笹ノ宿~大普賢岳~大峰・弥山) 〔奈良県〕

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この稜線の起伏を端折る事なく
駈けていくのが『奥駈』だ

  大峰奥駈道 おおみねおくがけみち (吉野熊野国立公園)
吉野と熊野を結ぶ大峰山を縦走する壮大な山岳縦走ルートで、古くから修験道の修行の道として開かれている。 一般的には、1000~1900m級の険しい峰々を踏破する『奥駈』という、峰入修行を行なう約80kmに渡る山岳古道を指している。 2002年12月19日に国の史跡『大峰奥駈道』として指定され、ユネスコの世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』(2004年7月登録)の一部に含まれる。

大峯奥駈道は修験道の根本道場である金峯山寺などがある奈良吉野山と熊野三山を結ぶ、修験道の修行場として開かれた道であり、熊野古道の中で最も険阻なルートを成している。 修験道の開祖とされる役行者が、8世紀初頭に開いたと伝えられている。

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奥駈道は修験道の道らしく
急な上下が連続する
※ 『大峰・奥駈をゆく』より

一般的に大峰山といえば山上ヶ岳を指すが、大峰奥駈道でいう『大峰』とは、吉野から山上ヶ岳を経てさらに奥の山々、そして最終的には熊野三山に至る大峰山脈を縦走する修行の道全体を指している。
道中の最高峰は、大峰・八剣山の1915m。

吉野から熊野までは、神社や寺の他に大峰山脈の主稜線沿いに75の靡(なびき)と呼ばれる行場(霊場)があり、修験者は5月3日の大峯山寺の戸開けから9月23日の戸閉めまでの間に奥駈修行を行なう。
奥駈は修験道でもっとも重視される修行であり、神仏が宿るとされる岩や峰、滝などで祈りを捧げる。
宗教上の理由から、山上ヶ岳の北にある『五番関』(レンゲ辻)から、南の『阿弥陀ヶ森』までは女人禁制となっている。



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大峰・奥駈《2日目》前半(小笹ノ宿~行者還岳)の詳細図

   行程表           駐車場・トイレ・山小屋情報 
《1日目》 大阪・阿部野橋駅より鉄道(1:15)→下市口駅よりバス(1:30)→洞川バス停
     (0:15)→稲村ヶ岳登山口(2:20)→山上辻(0:50)→稲村ヶ岳(1:30)→山上ヶ岳
     (0:55)→小笹ノ宿跡
《2日目》 小笹ノ宿跡(2:00)→大普賢岳(2:45)→行者還岳(2:00)→石休場ノ宿跡
     (1:00)→聖宝ノ宿跡(1:00)→弥山小屋
《3日目》 弥山小屋(0:35)→大峰・八剣山(2:00)→舟ノ垰(3:50)→釈迦ヶ岳
     (1:00)→太古ノ辻(1:50)→前鬼
《4日目》 前鬼(0:40)→林道ゲート(0:30)→不動七重ノ滝展望台
     (1:20)→前鬼口バス停よりバス(2:25)→大和上市駅より鉄道
     (1:20)→大阪・阿部野橋駅
  ※ 前回第473回 その1』の続き

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この日は1日本降りの雨だったが
着いた夕暮れに天気が回復し
雲海となった雨雲がおりなす絶景が望めた

 《2日目》 大普賢岳・行者還岳を経て弥山頂上へ
この日の行程を歩く前に、まず頭の整理をしなければなるまい。 それは、この行程が徹底的に長いという事である。 山岳ガイド等が記する8時間強の歩行時間では、たとえ空身でも到底たどり着けそうにないのである。 

もちろん、『奥駈』縦走の荷物持ちの者には「言わんやかな」である。 途中に見つけた道標に記してあった山上ヶ岳~弥山の距離17.7kmも、あながちオーバーに感じないのもうなづけるのである。
それを踏まえて出発しよう。 

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小笹ノ宿の水場
始めて歩く縦走路では
宿泊地の水場で
行動水を汲んでいくのが鉄則だ
※ 『ヤマレコ』より

やはり、このコースは“行場”である。 苦労を伴わずに行ける訳がないのだ。 《小笹ノ宿跡》のキャンプ場で、1日の行動水を水筒に汲んでいこう。 キャンプ場から石畳の崩れたような坂道を登っていく。

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トウヒ・シラベの
樹林帯の中を縫っていく

この坂をつめて竜ヶ岳の肩を乗っ越すと、《阿弥陀ヶ森》へ向かってトウヒ・シラベの美林の中を縫っていく。 やがて、樹海の中にポツンと『女人結界門』の立つ《阿弥陀ヶ森》に出る。 ここから《川上村・柏木》へのエスケープルートが分かれているので、体調不良などの時に備えて憶えておこう。 

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阿弥陀ヶ森側の女人結界門
コチラ側は人の気配が少なくなり
『掟破り』が多発したのか
より厳しい警告文看板が設置されていた

《阿弥陀ヶ森》の分岐からは、樹海の中をえぐるように深く下っていく。 約120m程の標高差を下りきると、《脇ノ宿跡》の広場に出る。 ここも沢が流れるキャンプ地であるが小屋などの建物はなく、また水場も《小笹ノ宿》に比べて細く、泊まるなら断然《小笹ノ宿》の方が上だろう

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道は整備されてるものの
眺望のない長ったるい登り坂が続く

さて、ルートはこの広場を底として、大普賢岳への長い登り返しとなる。 まずは、別名『明王ヶ岳』と呼ばれる小普賢岳への登りだ。 際立った岩登りなどはないものの、汗をじっくりと搾られる急坂だ。
これを乗りきると、刹那札の備えられた岩不動が据えられた小普賢岳の頂上に着く。 

この頂から大普賢岳までは一投足の距離位置なのだが、樹海の中へ一度深く切れ込むので距離感を感じる。 
途中に《経筥石》なる宗教色の強い岩屋があるとの事だが、無視して大普賢岳へ登っていく。 
登りきると、樹海が開けて狭い空地の上に頂上標柱の立つ大普賢岳 1780メートル だ。

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大普賢岳の頂上では
本降りの雨の中で
何の眺望もなかったよ
本降りの雨の中で
幕営装備一式担いで歩ける
若さに涙する今のワテ

ワテの登った時はあいにくの雨模様だったので展望はなかったが、晴天ならば孤高の山より望む大パノラマが楽しめるだろう。 大普賢岳からは、仏教に由来する名称の峰々を次々と乗り越えていく。

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水太覗の絶壁
※ 環境省のウェブサイトより

途中に行場としても指定されている《水太覗》の絶壁や《弥勒岳》の鎖場を過ぎると、南へ直角に向きを変えて《薩摩転げ》の急斜面に深く切り込んでいく。

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こんな鎖場で岩塔を巻いていく
※ 『大峰・奥駈をゆく』より

この下りは鎖・アングル・ハシゴが連なり、足下は至って不安定なので注意が必要だ。 一度グンと下って小さな鞍部を乗り越すと、七曜岳への急登に取り付く。 

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水太谷を背にして
ハシゴで嵓を登っていく
※ 『大峰・奥駈をゆく』より

この登りも足下が不安定で、まるで“覗”の如く《水太谷》が広がり高度感がある。 眺めが良くなってきてから(この日は小雨まじりの悪天だったが)ひと登りで、七曜岳 1584メートル に登り着く。

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晴れていれば
絶景が望めたのだろうね
※ 最後に良くなった大峰・弥山から
  『大峰・奥駈道』を望む

この頂は“国見七曜”と呼ばれる展望の峰との事で、晴天ならば大普賢岳へと続く稜線が鋸歯状を魅せて、また対面に深く切れ込んだ《神童子谷》を挟んでの稲村ヶ岳の姿は素晴らしいとの事である。
この峰は、ひと息着くにはもってこいの場所である。 ひと息着いたなら、先に進もう。 

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この日はダダ降りの雨で
『大峰・奥駈道』の核心部が
全く撮れなかったので
撮れた所の写真を使い回し
要するに「天気が良ければ
こういう絶景の中でひと息着ける」と
タワケは言いたいのである

七曜岳頂上から鎖付きの急斜面を下ると、尾根筋に出て小さな起伏を幾つか越える。 やがて、《みなきケルン》という碑を見ると、行者還岳 1546メートル の分岐だ。 この分岐付近は二重山陵気味となっていて、意識をせずに歩いていくと重い荷物を背負っての行者還岳往復となってしまいかねないので注意しよう(ちなみに、筆者は歩荷往復となってしまった)。 

荷物をデポって楽な身なりで行者還岳を往復したなら、分岐を左に折れて沢筋に下っていく。
 《行者還小屋》の水源となる《宿ノ谷》の源流沢をハシゴで伝う。 小屋の黒いホースが見えてくると、程なく《行者還小屋》だ。 この小屋は無人小屋ながら畳敷で、毛布も備え付けられ利用状況はすごぶる良い。 もし、今日の行程がキツく感じるなら、ここを中継点にして余裕のある山行とするのもいいだろう。

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建て替えられて更に快適となり
”バタンキュー”の衝動に駆られる
行者帰の避難小屋
※ ウィキペディア画像を拝借

なお、この小屋は建て替えられて更に設備のいい小屋となっているが、前述のように『奥駈』の経路の途中宿泊地に組み込むと、日程が1日増えるのである。 なぜなら、ここから今日の行程の区切りである《大峰・弥山》まででも、普通の山行の1日行程のボリュームがあるからだ。

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大峰・奥駈《2日目》後半(行者還岳~大峰・弥山)の詳細図

さて、重い荷物持ちの縦走だと、この辺りが早めの昼食場所となるだろう。 ここで“バタンキュー”にならない限り、まだまだ道程は長い。 食事も軽く済ませた方がいいだろう。 《行者還小屋》からは、樹林帯の中をやや下り気味に伝っていく。 ほとんど起伏状態はないものの、とにかく長いし、また変化に乏しい樹林帯が続き気分も滅入ってくる。 やがて、長い樹海歩きの中で、樹海の中にポツリと半壊状態の“バラック”もとい『避難小屋』が見えてくるだろう。 

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もう半壊状態のバラックだった
一ノ垰の避難小屋
※ 『大峰・奥駈の避難小屋一覧』より

《一ノ垰》である。 この小屋は宿泊に利用する事は、まず無理そうだ。 だが、雨宿り位は何とかなるだろう。 でも、同じ大峰の“バラック”避難小屋でも、床が1段高く床がぬかるんでいない分だけ、天川河合へ下る途中の《栃尾辻》の避難小屋よりはマシだろうね。 なお、この“バラック”もとい『避難小屋』は、2014年11月に撤去されている。

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こんなのでも雨宿り位は何とかなったし
実際に本降りの雨の中で
15分程雨宿りしたよ
※ 『大峰・奥駈の避難小屋一覧』より

しばし、この“バラック”の中で休憩してから先に進もう。 《一ノ垰》からも同じような樹林帯の中を今度は登り気味に伝っていくと、弥山への最短ルート《トンネル西口》からの登山道との合流点に着く。
近年ではかなり多数の登山者がこの登路を利用するようで、分岐には真新しい道標とテラスに置かれる丸太椅子などが設置されていた。 

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ここから先は初冬の夜中に
カンテラかざして登っただけなので
ルートの記憶がない
※ 『大峰・奥駈をゆく』より

ここからひと登りで1600mの三角点の置かれた《石休場ノ宿跡》である。 本来ならば、今までの道程で越えてきた山なみを見ながらの楽しい森林歩きなのであろうが、ワテの通った時は大雨で、しかも長い行程に疲れていてそれ所ではなかったのが実情である。 

残りは、『胸突八丁』と呼ばれる《聖宝八丁》の急坂を約1時間登りつめると、弥山頂上台地に飛び出る。 
今日は明日の好天を願って、大峰随一の眺めといわれる《国見八方覗》の幕営地で一夜を過ごそう。 

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テント前で絶景を望むのは
山行での最高のシチュエーション

明日も、《前鬼》までの果てしなく長い道程が待っている。 それでは、《大峰・弥山》の《国見八方覗》に着いた途端に急速に天候が回復して、今日歩いた山々の絶景が望めたので、その絶景をごろうじろ。

弥山・国見八方睨 発 夕景の絶景かな
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今日歩いてきた方角に
陽は落ちていく

n473-2 (6)
今日ダダ降りの雨がウソみたいに
快晴の夕空となったよ

n473-2 (8)
今日歩いてきた大普賢岳の上空を
燕雲が飛びかっていったよ
・・何気に今日の一番星

n473-2 (5)
そして今日タダ雨を降らせた
雲海の中に陽が沈んでいく

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陽が沈んだ直後の一瞬の間
空が赤く焼けて明るくなった

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程なく濃紺の夜の闇が
空を支配していく

   ※ 続きは、次回の『第475回 その3』にて


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『武漢ウイルス』の感染の急拡大も
在日チョンによる日本の国の棄損行為も
全て「その場の感情」のみを取り上げ
原因を放置した為の当然の『結果』である

日本に『恨』を抱いて
在日チョンを招き入れた
チョンの背乗り天皇ヒロヒトを
処罰しなかったツケが今日の
在日チョンによる我が国の棄損という災禍だ

同様に世界覇権の目論見を抱き
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東京五輪開催の為にシナの機嫌を取って
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北海道から感染が広がり
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この外人の中にはウイルスを撒き散らす
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No Subject * by 鳳山
大峰山って修験道の山ですよね。写真を初めて見ました。修行者もこの景色を眺めていたんでしょうね。

Re: No Subject * by  風来梨
鳳山さん、こんばんは。

大峰・修験道の過酷さは想像を絶するもので、聞く所によると一昼夜で吉野の大峰山寺から熊野大社まで80kmを駈けたそうです。 そして、行が成し得ない時に自害する為に、短刀を懐に忍ばせていたそうです。 現代人にはチト無理なようで。 そして、ヤマノボラーの私からすると、あまり楽しくなさそうな・・です、ハイ。

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No Subject

大峰山って修験道の山ですよね。写真を初めて見ました。修行者もこの景色を眺めていたんでしょうね。
2021-04-29 * 鳳山 [ 編集 ]

Re: No Subject

鳳山さん、こんばんは。

大峰・修験道の過酷さは想像を絶するもので、聞く所によると一昼夜で吉野の大峰山寺から熊野大社まで80kmを駈けたそうです。 そして、行が成し得ない時に自害する為に、短刀を懐に忍ばせていたそうです。 現代人にはチト無理なようで。 そして、ヤマノボラーの私からすると、あまり楽しくなさそうな・・です、ハイ。
2021-04-30 *  風来梨 [ 編集 ]